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アカデミー賞

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

アカデミー賞Academy Awards)は、アメリカ映画の健全な発展を目的に、監督、俳優、スタッフを表彰し、その労と成果を讃えるための映画賞

アカデミー賞は授賞式前年の1年間にアメリカ国内の特定地域で公開された作品を対象に選考され、また映画産業全般に関連した業績に対して授与される。

ちなみに基本的に前年の作品が対象となるため、例えば2006年に開催されたアカデミー賞を2005年度などと表示することが慣例である。なお、テレビ中継はアメリカの放送局、ABCで放送され、日本ではWOWOWで放送される。

概要

アメリカ映画の祭典」という冠詞を付けられることが多い事からも分かるとおり、基本はアメリカ映画を対象とした映画祭であり、その抜群の知名度に反して国際映画祭ではなく、世界三大映画祭を中核とするFIAPF(国際映画製作者連盟)公認の映画祭にも含まれてない。

しかし、その知名度故にマーケットへの影響力は国際映画祭の各賞以上に大きく、受賞結果が各国の興行成績に多大な影響を与える。このため日本をはじめ各国では、「アメリカ映画の〜」という表現を抑えて「映画界最高の栄誉」などと、あたかも世界一の映画賞のように報道する傾向にある。

受賞すると、賞の名称を刻印したオスカー像と呼ばれる金メッキの人型の彫像が送られ、賞金の類は一切付録されない。

毎年11月に予備選考が行われ、翌年の1月にノミネートが発表される。その後、映画芸術科学アカデミー会員の投票が行われ、2月もしくは3月に授賞式が行われる。

歴史

もともとアカデミー賞の授賞式は1929年に設立された「映画芸術科学アカデミー」の夕食会の一環として始まった。第1回は1929年5月16日にロサンゼルスにあるルーズベルトホテルで行われた夕食会の際に舞台上で、3カ月前に授賞を通知しておいた受賞者を招待して賞を贈与された。(当初はオスカー像ではなく、同様のデザインを施した楯が送られた。)

第1回授賞式で、『第七天国』で女優賞を受賞したジャネット・ゲイナーによれば、「これからも互いにいい仕事をして頑張りましょうという程度の、ちょっとした内輪の集まりだったのよ」と当時の様子を振り返っているとおり、授賞式は5分程度で簡単に済まされていた。

第2回から地元ラジオ局により実況が開始され、第17回から全国放送となった。エンタテインメント色が色濃くなったのは、第二次世界大戦で前線にいた兵士達の耳を喜ばせるためだったという。

TV中継が開始されたのは第25回の授賞式から。中継を担当したのはNBCであった。当時の視聴率はNBC開局以来の高記録であった。現在はABCが中継している。

授賞式会場は、2回目以降はアンバサダー・ホテルやビルトモア・ホテルが使用され、晩餐会形式で執り行われた。回を増すごとにスケールが拡大していき、やがて収容人数の多い映画館で行われるようになった。第22回から11年間はパンテージズ・シアター、第33回からはサンタモニカのシビック・オーディトリアム、第41回からはドロシー・チャンドラー・パビリオン、第63回からはシュライン・オーディトリアム、第74回からは現行のコダック・シアターで行われている。コダック・シアターとは10年の契約であり、現在のアカデミー会員数は既に収容人数の5800人を超えているため、手狭になるのも時間の問題であるといわれている。

名称

Academy Awards」は米国日本国他において商標登録されているため、これらの国では当該商標権を侵害する形での無断使用は出来ない。一部において日本語表記の「アカデミー賞」に、登録商標を示すとされる®(丸アール)マークをつける向きがあるが、そもそも日本語表記の「アカデミー賞」は(日本国において)商標登録されていない事に留意が必要である。(登録商標ではないとはいえ、不正競争の目的で名称を利用すれば不正競争防止法違反に問われる可能性はある)。

日本の日本アカデミー賞やイギリスの英国アカデミー賞などは、ロイヤリティを支払ってその名の使用許可を得ている。一方香港最大の映画祭「香港電影金像獎」は、本来の名称よりも「香港アカデミー賞」の俗称のほうが有名であるなど、アカデミー賞の権威は非常に高い。

また、例えば料理や建築、文学や美術などさまざまな映画以外の賞においても、「○○界のアカデミー賞」という具合に、その権威の高さを表す冠詞として扱われることが多い。音楽出版社の音楽之友社が主催する、優れたクラシック音楽ディスクに贈られる年間賞は、その名もずばり「レコード・アカデミー大賞」である

選考

選考はアメリカの映画産業従事者の団体、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員の無記名投票が行われ、所定の賞を授与される。

基準

アカデミー賞は、前年の1年間にノミネート条件(ロサンゼルス郡内の映画館で連続7日以上の期間、有料で公開された40分以上の長さの作品で、劇場公開以前にTV放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開されている作品を除く、など)を満たした映画作品について扱われる。

選出

投票権を持つ映画芸術科学アカデミー会員は、大部分がハリウッドの業界関係者による編成であり、新聞記者や映画評論家など公平な立場で判断できる分野の会員が少ないのが特徴。各賞の投票についても、例えば「アカデミー監督賞」であればハリウッドで働く映画監督の会員がノミネート作品選定に投票するなど、賞に応じた業務に携わる会員が担当する(なお、作品賞のノミネートおよび各賞ノミネート発表後の本選の投票は全会員が行うことができる)。

情報管理

最終投票は授賞式の一週間弱前に締め切られ集計されるが、結果は厳重に封印されて、大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパースの金庫に保管され、結果書類は当日、事務所の職員2人が授賞式会場に直接持ち込む。(生中継では、会場に入っていく会計事務所の職員が映されることもある。)賞の授与担当プレゼンターがステージで開封するまでは、外部へは一切知らされない。

受賞結果について、当初は報道の関係上マスコミには事前通達してあったが、1939年に『風と共に去りぬ』が作品賞を受賞した際に、一部新聞が主宰者との協定を破って前日に抜け駆け報道をしたため、翌年より前記会計事務所の管理するシステムとなり、今日に至る。

特色と現状

アカデミー賞はハリウッドの映画業界関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多いのは有名。故に、どうしても選出作品の足並みが揃ってしまう他の国際映画祭では見られない、独特の傾向と盛り上がりを見せる映画祭である。

授賞式

式典

授賞式は毎年2月の最終もしくは3月の第1日曜日にハリウッドコダック・シアターで行われる。会場への通路は赤い絨毯で装飾され、一般に「レッドカーペット」とも呼ばれている。

出席は招待客のみで、チケットの販売は行われておらず一般人は出席できない。

主演男女・助演男女の各賞のプレゼンター(賞の授与者)は、基本的に前年度の受賞者が反対の性の賞(前年の主演男優賞受賞者が翌年の主演女優賞)に対して行うことが慣例となっているが、支払われるギャランティはなく、あくまでも無償奉仕である。

第66回のクリント・イーストウッド、第67回のスティーヴン・スピルバーグ、第68回のロバート・ゼメキス、第69回のメル・ギブソン、第80回のマーティン・スコセッシのように、近年は監督賞プレゼンターを前年度の受賞者が担当している。

受賞スピーチ

スピーチは45秒以内と制限されている。これは、第15回に主演女優賞を受賞したグリア・ガースンが自分の生い立ちまで話し始めてしまい、実に5分半もスピーチしたためである。以来、時間制限が導入されているが、第73回ジュリア・ロバーツは4分以上、第74回ハル・ベリーは約5分と、感激の余り制限を無視する人もいる。

エピソード

種類

賞はいくつかの部門に分かれている。

部門

撮影賞・美術賞(当時の呼称は室内装置賞)・衣裳デザイン賞はカラーと白黒で部門分けされていた時期がある。第30回1957年度)に一本化されたが、撮影賞は第31回1958年度)に、美術賞と衣裳デザイン賞は第32回1959年度)に二分化された。第40回1967年度)から全てが一本化された。

特別賞

本賞以外に、『表彰に値する顕著な功績のあった者』に対して贈与される賞全般を指す。毎年必ず選出されるわけではなく、該当者が存在する場合に設定されている。これらの賞には定まった賞の名称はなく、単に「特別賞」として贈与されるものや、「名誉賞」の名称で贈与されるものもある。なお、特定の条件を満たした者は、特別賞枠内に設定された下記のような特定の賞が贈与される。
映画業界に顕著な功績のあったプロデューサーに対して贈られる賞
長年にわたり映画業界全体の発展に顕著な功績のあった人物に対して贈られる賞
映画業界に技術面で顕著な功績のあった技術者に対して贈られる賞

最近では、アメリカのスタントマンが在籍している団体が、スタントマン部門賞を設立してほしいという嘆願を出している。

英語以外の映画の扱い

アカデミー賞は「アメリカ映画の祭典」と銘打ってはいるものの、前記ノミネート条件を満たしていれば、英語音声以外で公開される映画(アメリカ以外の国で製作された映画を含む)であっても作品賞を含む本賞にノミネートされたり、あるいは受賞したりということは可能である。(但し実際には、ハリウッドの業界人が選出するというシステム上、純粋な外国映画はノミネートはされても受賞に至ったことは少ない。)

前記ノミネート条件を満たしていないアメリカ国外制作の非英語作品の場合は、各国の映画業界が映画芸術科学アカデミーに推薦する形で「外国語映画賞」にエントリーされる。

「外国語映画賞」の第1回は、1946年の第19回で「特別賞」に選出されたイタリア映画の『靴みがき』。もっとも、この時点で「外国語映画賞」という賞は存在せず、前述の「特別賞」の一つという扱いであった。ちなみに『靴みがき』の選出理由は、「敗戦国であるイタリアが、創造精神を駆使して、敗戦の逆境を跳ね返す作品を作り出したこと」であった。

翌年の1947年に「この年にアメリカ国内で公開された、最も優れた外国語映画」という理由付けで、フランス映画『聖バンサン』が選出され、外国語映画賞の母体的な選考理由がここに初めて誕生、以後同選考基準によって、米国内で公開された優れた外国語映画が1本、選出されるようになる。

「外国語映画賞」という正式な賞として、これまでの特別賞から独立したのは1956年(同年の受賞作はイタリア映画『』)からで、同年から各国推薦の作品を5本厳選してノミネートし、うち1本に賞を授与するという、現在のスタイルが完成した。

一方、アニメーション作品など特定ジャンルの作品は、当該ジャンルの規定に沿った賞の対象となる(アニメーション作品で長編のものなど)が、作品賞を含む他の各賞の条件も満たしていればそれら各賞の選考対象にもなりうる。

日本との関係

関連項目

外部リンク

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