読み込み中...オートバイ (auto+bicycle) とは和製英語で、自動車の一種の二輪自動車である。二つの車輪を前後に配置し、人力以外の動力で走る乗り物の日本語に於ける慣用的な総称である。日本の法律上では、道路交通法においては大型自動二輪車、普通自動二輪車、小型自動二輪車、原動機付自転車の四つに、道路運送車両法においては、小型二輪自動車、軽二輪自動車、原動機付自転車の三つに、それぞれ区分される。
エンジン付き二輪車をベースとした三輪車(トライク)もオートバイに含める場合がある(トライクは、日本の道路交通法ではオート三輪(普通免許で運転可)、道路運送車両法の分類ではサイドカー(側車付き二輪車)の扱いとなる)。
「自動二輪車」と言う表記について詳細は各種の区分及び条件を参照のこと。
オートバイの原型とされるものは、フランスのエンジニア・発明家のルイ-ギヨーム・ペローが考案し、1868年に特許となった(当時の特許期間は15年)。これは、蒸気機関エンジン搭載のオートバイであり、1873年のウィーン万博に出品された。内燃機関エンジン搭載のオートバイの原型はダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(現ダイムラー)社により、1885年に作られた。1903年、現代のモペッドの原型となるオートバイをウイリアム・ハーレーとアーサー・ダビッドソンが製造した(後にハーレーダビッドソン社を創業)。第一次世界大戦中の進展を経て、1920年代になると、現在のオートバイに似た一般的な構造が確立する様になった。馬車よりも高機動・高性能であったオートバイは社会に浸透し、その後第二次世界大戦において、側車を付けて指揮官の移動手段としてや、偵察部隊などの機動部隊の装備として採用される事になる。
日本でははじめ、オートバイの利用は少なく、1910年頃に輸入車が見られるようになった程度であった。従って国産化も遅れ、1906年の島津楢蔵によるNS号が初の国産車であった。その後、スミス・モーター、インデアン、ハーレー等の輸入が増え、1930年代には宮田製作所(現・宮田工業)が「アサヒ号」を発売するなど、国産化も進んだ。輸入車の中でも、ハーレーは三共によって陸王として国産化された。
第二次世界大戦終戦後工業に著しい打撃を受け、軍事産業が壊滅した日本に於いては、それまで軍用機や軍用車を製造していた会社がこぞってオートバイを製造販売する様になった。特に有名なのは、陸軍機で知られる中島飛行機を源流に持つ富士産業(後の富士重工)のラビット、海軍機で知られる三菱を源流に持つ中日本重工(財閥解体に伴う三菱重工の分社)のシルバーピジョンというスクーターの両雄である。終戦直前には、陸王一社のみがオートバイ製造を続けていた状態から、雨後の筍の様にメーカが乱立したが、殆どのメーカが技術開発と市場競争で遅れをとり次々脱落していった。中でも目黒製作所のメグロ、東京発動機のトーハツは人気があり、メグロはメーカが倒れた後もカワサキに技術が移転した。
現在でも続くメーカとしては、本田技研工業(ホンダ)が戦時中汎用エンジンとして製造していたエンジンを自転車に取り付けたのが同社に於ける最初のオートバイ事業であった事は有名な話である(モペッド#日本における歴史参照)。このオートバイの系譜は長く、現在はカブの愛称で親しまれる。日常の足として利用されてきたオートバイはやがて舞台をサーキットに移し、レースに世界各国のオートバイメーカーが参加した。精密加工を得意とする日本の企業は高回転高出力エンジンである並列多気筒エンジンを搭載したオートバイで参戦した。ホンダに続いて、ヤマハ、スズキ、カワサキもオートバイ製造に参加し、各社切磋琢磨して年々高性能化、タイトルを日本勢で塗りつぶし、市場における優位性を確保した。こうして日本はオートバイ大国となる。
しかし、道路が舗装整備され、オート三輪を経て四輪自動車が一般的な乗り物として普及すると、日本におけるオートバイ市場は頭打ちとなり、カブのようなビジネスバイクを除いて趣味の乗り物となり、オートバイの販売数は頭打ちになった。
1980年代前半になると、ヤマハが業界1位の座をホンダから奪おうとして日本のみならずアメリカをも舞台にしてHY戦争(詳細は項目参照)が起きた関係でラインナップが増えた裏でオートバイの価格が下落し、さらに1980年代後半からは好景気(バブル景気)も重なり、90年代前半にかけて日本にバイクブームが訪れた。
しかしこの80年代バイクブームにより、暴走族(共同危険型、違法競争型の別を問わず)が全国各地で増え、危険走行や爆音、交通事故が社会問題となった。それによって三ない運動に代表されるような「バイク=危険な乗り物・暴走族」という反バイク感情が高まり、バブル景気が過ぎた後はより実用性を求める社会に移ったこともあって急速にバイクブームも終息に向かっていく。
その後、90年代になると東南アジアを中心とする発展途上国の市場が拡大し、オートバイメーカーの活路は日本よりも世界を対象としたマーケットにシフトしていく。
しかし、高い機動性はビジネスバイクや郵便、飲食店の宅配バイクという形で戦後間もない頃から社会に親しまれ、現在はバイク便など高速輸送にも使われる。救急車よりもより早く緊急現場に駆けつけることが出来ることから救急バイクなども存在する。警察の交通機動隊が使用する白バイも、オートバイの高い機動性を利用するものである。自衛隊では斥候や連絡のために250ccのオフロードバイクを運用している。
オートバイは、日本では他にバイクや単車等とも呼ばれる。「単車」は、側車とも呼ばれるサイドカーと区別するために用いられた言葉だったが、サイドカーが希少なものとなった後も単車という言葉は生き残っており、オートバイ全体を指す言葉となっている。
オートバイという呼称は1920年代には既に用いられていた(2008年現在も出版されている月刊誌「オートバイ」は1923年創刊である)。この言葉は米語 autobike から作られた和製英語であり、英語圏では通用しない。英語圏では、motorcycle, motorbike, autobicycle と呼ばれるほか、moto や cycle という略称も使われる。英語では、一般に「バイク(bike)」というと自転車(bicycle)を意味する(ただしmotorbikeの短縮としてbikeを自動二輪車という意味で使用することもある)。
排気量が小さいオートバイのことを、警察関係や報道関係では「ミニバイク」と呼ぶことがある。
駆動輪は、自動車では前輪駆動・後輪駆動・四輪駆動と分かれるが、オートバイにおける実用車のほとんどすべては、後輪駆動である。歴史的事例では、キャブレターで有名なフランスのソレックス社のベロ・ソレックス(日本でもダイハツがライセンス生産していた)が前輪駆動だった(後述のモペット同様の自転車にエンジンを取り付けた構造で、前輪フォーク上部に50ccエンジンを搭載していた)。また、星型5気筒エンジンを前輪に搭載したメゴラというオートバイも存在した。実験的には、前後二輪駆動の競技用オートバイが製造されたことがあるが、極めて特異であった上に競技の公平性を失する可能性を秘めていたために、その後のレギュレーション改定で禁止されている。また、通常のオートバイとは異なるが、自然公園のレンジャーなどが足として使う特殊車両として、二輪駆動のオートバイが存在するRokon社が販売している。。
自転車はサスペンションが無いものが多いが、オートバイは車両重量が重く、高速で走るために、操縦安定性を確保する目的もあってサスペンション機構が有るのが一般的である(低速でしか走らない車種では受ける衝撃が少ないために無い場合もある)。サスペンションは、前輪がテレスコピック、後輪がスイングアームになっている物が多い。
また、サスペンションが有ることによって快適なだけではなく、高い速度を維持したままで走ることが出来るようになった。それはサスペンションの無いオートバイで100km/hを出すよりも、サスペンションの有るオートバイで180km/hを出すほうが楽な程である。そのため、サスペンション装備以前と以降のオートバイは別物といっても過言ではない。
現在の一般的なオートバイの操作系は、ブレーキやスロットルの加減速系統は右側に、クラッチレバーやシフトペダルの変速系統は左側に付いている。かつての英国車や、英国車を真似たものなどにブレーキペダルが左側、シフトペダルが右側の車種があった。
パワートレインは多種多様であり、一概にこれがオートバイのパワートレインであると言える物はないが、代表するものとして、一つは無段変速機構そのもののVベルトによって最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもので、簡易CVTともいえるもの(一般にオートマチックトランスミッション(オートマチック、オートマ)・ATと称する)、もう一つは常時噛合シーケンシャルトランスミッションからチェーンやプロペラシャフトまたはベルトによる最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもの(一般にマニュアル・MTと称する)の二つがあげられる。スクーターの多くは前者である。
フレーム形状はダイアモンド、(シングル)クレードル、ダブルクレードル、モノコック、モノバックボーン、ツインスパーなど多彩であり、その車体の性格付けをするものであるが、多くの場合において基本的な構造は、前輪を支えるフロントフォークを高い位置から結び、車体中央下の低い位置で後輪を接続しているスイングアームへと結ばれている。例外としてリアサスペンションを持たない(ホイールをリジッドマウントしている)車種ではフレームと後輪が直結している(モペッドや、スズキ・チョイノリ等、高速走行を狙わない車種やクラシックバイク等)。
日本では道路交通法および道路運送車両法にて排気量に応じた区分が定められており、その区分により運転免許等の取扱が異なる。どの免許で何が運転できるかは運転免許参照のこと。オートバイに関する法制度は度々変わっており、以下は2008年現在のものである。
| 排気量 | 50cc以下 | 50cc超 90cc以下 |
90cc超 125cc以下 |
125cc超 250cc以下 |
250cc超 400cc以下 |
400cc超 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般的な排気量区分 | |||||||
| 道路交通法 (運転免許区分) |
大型二輪免許 |
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普通二輪免許 |
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普通二輪免許(小型限定) |
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| 原動機付自転車免許 または普通免許等 |
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| 道路運送車両法 [プレート色] |
原動機付自転車 |
軽自動車 (軽二輪自動車) [白] |
小型自動車(小型二輪自動車) [白+緑枠] |
||||
| 第一種[白] | 第二種乙[黄] | 第二種甲[桃] | |||||
| 高速道路の通行 | 不可 |
可 |
|||||
| 車検 | 不要(制度がない) |
必要 |
|||||
| 一般道の最高速度 | 30km/h |
法定速度(60km/h) |
|||||
| 二人乗り | 不可 |
可(構造上座席がないものは不可) |
|||||
| 二段階右折 | 必要 |
||||||
※トライクは普通自動車の扱いとなっているため、普通免許等が必要となる。
ナンバープレートの色は、自家用の場合である。事業用であるバイク便は、字と地の色が入れ代わる(緑ナンバー)。原付125cc以下は市区町村の裁量で、形状や色が違うところがある。自家用は青文字の所が多く、公用(非課税)の警察等は赤文字となる所が多い。旧郵便バイクは赤文字だったが、民営化に伴い標準の青文字となった。
なお、大型自動二輪免許に関する法改正後は、法令上は単なる「自動二輪車」と言う表記は使われなくなった。一般的にはこの表記は、大型自動二輪車および普通自動二輪車の総称として使われる。ただし、道路標識等における「自二輪」と言う表記は、法令上も大型自動二輪車および普通自動二輪車を意味している。
高速道路では側車付き二輪車を除き、二人乗りが禁止という状況が長年続いていたが、2005年4月1日より二人乗りが解禁された。ただし、20歳以上で、免許の期間が通算3年以上などの条件がある。
また、首都高速の一部などの道路首都高速道路における二人乗り規制範囲では、側車付きを除き二人乗り禁止となっている(東京都公安委員会は禁止の理由として当該範囲は二人乗りが危険だと主張したが、これに関して二人乗り解禁の運動をしてきた一部のライダーは「根拠が無い差別であり、仮に他の高速を走るよりは危険だとしても一般道より安全である」として、全面解禁を要望している)。
その他の高速道路および一般道路では、「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」(310の2)の道路標識により特に規制されていない場合には、二人乗りが可能である。
いずれの道路および自動二輪車についても、免許の期間が通算1年以上などの条件を満たさないと、二人乗りはできない。なお、トライクは普通自動車であるため(要普通免許等)、また側車付き二輪車は二人乗り規制適用除外となるため、これらの二人乗りについてはすべて適用除外となる。
AT車(クラッチ操作を必要としないオートバイであり、事実上スクーターが対象)に限定した普通自動二輪・大型自動二輪(650cc以下)のAT限定免許が2005年6月1日から新設された。この結果、大型スクーターの運転免許が取得しやすくなり、普及への一助となると考えられている。ただし、識者の間では実際に免許を取得する際の技量としては、特に車体操作に関してAT車両のほうが難易度が高いとの指摘がある。車体操作の要であるニーグリップが構造的に不可能で、足首と手のみで車体を支持し操作するためと言われている。また、大型スクーターの車体の大きさや重さにより、試験場や教習所でのスラロームなどの課題をこなすのが難しいとされる。
なお、この免許区分が設定された時点では650ccを超えるスクーターが事実上存在しなかったため「AT限定大型二輪」は650cc以下限定とされ、ボスホス車などそれ以上の排気量を持つAT車に乗る場合は限定なしの大型二輪免許が必要となる。
AT車限定の二輪免許を取得させようとする自動車教習所および運転免許試験場は、クラッチの付いた大型・中型・小型、大型スクーター、中型スクーター、小型スクーターを用意する必要があり、スクーター購入の追加設備投資が必要となる。
なお、AT限定大型自動二輪免許の条件欄には「0.650リットル以下のAT車に限る」と表記される。
| 排気量 | 〜50cc以下 | 50超125cc以下 | 125超400cc以下 | 400超650cc以下 | 650cc超〜 |
|---|---|---|---|---|---|
| AT限定なし免許 | 原付
| 普通自動二輪(小型限定) | 普通自動二輪 |
大型自動二輪 |
|
| AT限定免許 | -(4輪AT限定)
| 普通自動二輪 (小型AT限定) |
普通自動二輪 (AT限定) |
大型自動二輪 (AT限定) |
- |
| AT技能試験 | 技能試験無し | 100〜125ccのスクーターで教習・試験が行われる | 300〜400ccのスクーターで教習・試験が行われる | 600〜650ccのスクーターで教習・試験が行われる | - |
| MTに乗るには | 技能試験無しでMTに乗れる | AT限定解除審査に合格が必要(または教習所で下表< >の時限「技能教習の教習時間の基準」受講) |
- |
||
| 現在の→ 所持免許 | 免許なし 原付 | 普通(大型) 四輪 | AT小型 限定 | 小型 限定 | AT普通 二輪 | 普通 二輪 | AT大型 二輪 | 大型 二輪 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 受ける免許↓ | 学科26 | 学科1 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | |
| AT小型限定 | 9 | 8 | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
| 小型限定 | 12 | 10 | <4> | --- | 不明 | --- | 不明 | --- |
| AT普通二輪 | 15 | 13 | <5> | <3> | --- | --- | --- | --- |
| 普通二輪 | 19 | 17 | <8> | <5> | <5>b | --- | 不明 | --- |
| AT大型二輪 | 29 | 24 | 18 | 17 | 10 | 9 | --- | --- |
| 大型二輪 | 36 | 31 | 24 | 20 | 16 | 12 | <8>a | --- |
以上の理由から、都市部や地方を問わず、幅広く機動性を発揮することができる。
オートバイ(こと二輪車)は静止状態においてスタンドなしでは自立できないなど不安定な構造で、乗用車一般の中でも接地面積が狭く制動に利用できる力が小さいなどの、独特の性質を備える。これらはオートバイが社会に登場して以降、その「不安定さ」が性質に理解のない側の不安を煽ったり、逆にスリルを求める者を魅了した性質だとも言え、その性質故に発生した事故というのも枚挙にいとまがない。
ただこういったオートバイに固有の性質を理解し適切に操作すれば、乗用車一般同様に公道を安全に走行可能であるし、事実ほとんどのオートバイとこれに乗るライダーは公道を安全に走行している。しかしオートバイを不適切に利用する者も存在するほか、日本ではしばしば暴走族が諸般の事情からオートバイで暴走するなど反社会的な行動をとることにも絡め、オートバイそのものを社会問題と位置づける向きもあり、1990年代以前の日本教育界でとられた『三ない運動』(オートバイを買わない・乗らない・免許を取らない)のような排斥運動も発生している。オートバイ愛好者らや車両メーカーなどによるオートバイ弁護や安全教育のための情報なども出ている一方で、依然としてオートバイを危険な乗り物だとみなす意識も根強く存在し、世間一般に様々な風説ないし場合によっては偏見なども見出される。しかし実際には、オートバイ乗車中の交通事故での死亡者数は1989年以降減少し続けており、安全対策の模範生だという意見もあるほどである。オートバイ乗車中の交通事故での死者数は2006年には1119人であり、これは第2次交通戦争時の1989年(2575人)の半数以下、第1次交通戦争時の1964年(3762人)の3分の1以下である(交通安全の模範例となる二輪車より)。ただし偏見はともかくとしても、オートバイ固有の性質からくる他の乗用車一般にはない独特の危険性は存在し、自動車教習所から運転免許更新時における安全教育に至るまで、そういった固有の危険性に関する情報の提供が行われている。
この節では、その「オートバイの危険性」について説明する。
#: しかし近年、一部の四輪車(特にタクシーや宅配便のトラック等)でもヘッドライトの常時点灯が行われるようになり、「相対的にオートバイが目立たなくなってしまうのでは」と懸念されている。
オートバイ事故による外傷の特徴を知ることは、後述の「#推奨される安全装備」の必要性を理解する上で重要である。しかし、先進国のほとんどにおいて、オートバイは圧倒的に少数派の交通手段であるから、その特徴を疫学的に記述した研究は少ないのが現状である。
ヘルメット着用が義務化されていなかった時代は、頭部外傷による死亡が6割を占めていたSarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38(2):242-5. PMID 7869444。日本を含めて義務化された国・地域でも、依然として頭部の損傷は死亡原因の4割でトップである平成18年中の交通事故の発生状況について。特に初心者のライダーほど頭部(顔面を含む)の損傷によって死亡する率が高いStella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14(1):58-61. PMID 11993836。
次いで多いのが体幹の損傷による死亡であり、ことに胸部外傷による死亡が多い。KrausらKraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52(3):548-53. PMID 11901334の研究では、胸部外傷は以下のような病態をもたらす。 # 一本の肋骨が2箇所以上骨折すると、呼吸困難になる(フレイルチェスト) # 肋骨や胸骨が折れていると、心停止時に有効な心臓マッサージをすることができない。 # 折れた肋骨が肺を傷つければ緊張性気胸や開放性気胸を起こす。或いは心臓や大動脈を傷つければ致死的である。また、肝臓や脾臓を傷つけることもあり、この場合も緊急手術のできる病院が見つからなければ確実に死亡する。このように、肋骨骨折が体内でさらなる損傷を引き起こし、致命率を高めるのである。このため同研究では、胸部プロテクターの普及を図ることを推奨している。また、四肢の損傷のみによって死に至ることは少ない(大腿部の大きな損傷を除く)。
しかし、#ライディングギアの節に詳述されるように、肘・肩・膝のプロテクターですら普及度は低く、まして公道走行で胸部プロテクターを装備しているライダーは皆無に近かった。白バイ隊に配備されている物が民生発売され、ようやく認知度が上がりつつある月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210。
頚椎損傷は全体の死亡率では高くないものの、救命救急士や医師は重要視する。これは初め無症状であっても、負傷者が自分で或いは他動的に頚部を動かすことによって重度の障害(脊髄損傷)を負ってしまう事があるからである。オートバイ事故に限らず、交通事故の負傷者は絶対に、不用意に首・肩・頭部を動かしてはならない。
日本脊髄基金の統計(1990-1992)によると、日本の脊髄損傷事故の原因のうち、約14%がオートバイによる事故である(四輪事故は約20%)。メーカー側も、安全性をPRし、安全教室への参加や、頭部の損傷に対してはヘルメットの着用を奨励しているが、脊髄損傷に対しては注意さえ喚起しておらず、「脊髄パッド」ないし「脊椎パッド」(レーサーがレース中に使用している。市販もされている。#ライディングギア参照)の着用の必要性には深く言及されていないのが現実である。これはオートバイの危険なイメージを消費者に植え付けることを避けるためと考えられるが、毎年多くの若者を障害へと追い込む危険性を下げる社会的義務がメーカー側にあるとする議論が起こりつつある。こういったオートバイの危険性について、行政、オートバイのメーカーや業界団体、オートバイ雑誌やライダーの団体などが、各種の対策や啓発活動を行っている。
オートバイによる重傷事故・死亡事故の際、頭部への負傷が占める割合が高かったことから、オートバイの乗車に際してヘルメットの着用が義務付けられるようになった。ヘルメット着用義務は1974年に道交法上の自動二輪車乗車時にもうけられ、1986年には原動機付自転車乗車時にも拡大された。
晩年本田宗一郎は自社が製造したオートバイにより多くの若者が障害者になる事実に心を痛めたとされる。オートバイのメーカーも、より安全なオートバイを目指しての開発を進めている。
たとえば本田技研工業は、オートバイにエアバッグを装着し、衝突時にライダーが空中にはね飛ばされるのを減らす機構を開発し発表した(2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備される予定)。ドイツのオートバイメーカーであるBMWは、オートバイにシートベルトを備えることで衝突時に空中にはね飛ばされることを抑止する機構を開発し、C1というモデルに装備して発売している(このシートベルト方式は、ヘルメットを装着しない方が負傷が少ないという研究結果があるため、ヘルメットの装着を義務付ける日本国内の法制度との兼ね合いで議論を呼んだ)。
ライディングギアの改良も行われている。ヘルメットでは集中力低下をベンチレーションで防ぐ、事故の際頚椎にできるだけ力をかけずに脱がせるようにする等の改良がなされ(またエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されている)、定番であった革ツナギの他にも新素材による強靱なパッド付きウェアが販売され、ヒットエアーのようにエアバッグを仕込んだものまで現れた。
また、メーカーは、イベント・雑誌やテレビなどを用いて、ライダーにオートバイの危険性を認識させることや、安全な乗車方法を知ってもらうといった啓蒙活動を行っている。
なお、メーカーや業界団体は、ロビイング活動を通しても実質的な二輪車の安全を図っている。たとえば一部区間を除き2005年4月より実現した「高速道路における二人乗りの解禁」がそれである。一般道路における歩行者との混在や交差点の存在などに基づく危険性が高速走行の危険性より高いため、長距離を移動する場合には高速道路の方が安全という研究結果があり、これに基づく物である。
オートバイの直接のユーザであるライダーのグループの中にも、自主的なイベントなどを通じて、啓発活動を行っているところがある。こういった活動には、単に「事故を起こさない」「事故にあわない」といった受身のものだけではなく、たとえば救護技術の習得など能動的なものも含まれる。
また、ライダーをマーケットとするオートバイ雑誌なども、しばしば安全性に関する特集記事を掲載している。
オートバイに乗車する際身につける装備をいう。衣類に属するものは「ライディングウェア」と呼ぶ。専用のライディングウェアが市販されている。それらはオートバイの乗車姿勢に合わせて裁断され、防護性も考えられており、ライディングに適した機能をもつ。デザインもスポーツ走行、ツーリング、オフロード走破等TPOに合ったものとなっている。
現在のところ、事故の際にライダーを防護するのはライディングギアのみである。安全のためにも、ライダーとしての自覚のためにも、オートバイに乗車する際は適切な装備をすることが望まれている。
オートバイの死亡事故は自動車や障害物への衝突が7割を越えており、純粋な単独事故で死亡した例は1割にも満たない。
衝突事故では衝突の衝撃でライダーが前方へ投げ出されるため、ライダー自身が更に障害物へ衝突することが多く、死亡の原因として頭部の損傷が5割以上、次に3割以上が胸部・腹部等の前面部位の損傷となっている。ヘルメット装着の義務化によって頭部は比較的守られるようになったが、俄然胸部・腹部へ衝撃を受けることが多く、胸部・腹部の防護が課題となっている。
勿論死亡事故だけでなく、背部への衝撃による脊髄の損傷などもあり、メーカーの広報やオートバイ雑誌でも首パッドのネック・ブレース・システム、脊椎パッド等のプロテクタやヒットエアーのようにエアバッグ機能付きのジャケット等の装備が勧められるようになってきた。
製造されている車種は各メーカーの項目に詳しい。 日本で「国内四(大)メーカー」と言った場合、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの四社を指す。いずれも高い技術力を持ち、全世界に高性能オートバイを輸出している(西暦2000年頃からスーパースポーツバイクは市販状態で時速300km/hに簡単に到達できることが一定の基準となったが、最高速競争の先陣を切ったのはカワサキ・ZZR1100である)。また、国内四メーカーのうちカワサキのみ、市場のほとんどを占めている排気量50cc以下のいわゆる原付車両を2000年以降製造していないという特異な市場を持つ。
日本では過去二輪車は、自動車排出ガス規制の対象外であったが、1998年(原付一種・軽二輪)/1999年(原付二種・小型二輪)の新型車から平成10年度排出ガス規制の対象とされ、2008年9月には平成18年度排出ガス規制により輸入車も含む全車両において数値の強化が行われる。国土交通省によれば「世界で最も厳しいレベル」という。
結果として、四輪車と同様といった現象が起きている。
日本における二輪の自動車騒音規制は何度か数値が変更されているが、現在適用されているものは平成10年度(原付一種・軽二輪)および平成13年度(原付二種・小型二輪)騒音規制によるものである。この騒音規制による数値は他国にない世界一厳しいものであり、この規制により国内メーカー車の国内販売すら妨げられ、海外においてのみにしか販売されない状況に置かれている車両が多い。
なお、この騒音規制は輸入車および改造車は一部規制値が適用除外となっているため、改造マフラーなどによる騒音問題の観点から、これらの車両にも新車同様の規制値を全面適用する動きがあったが、輸入車種の減少を懸念したライダー及び二輪業界から反論があったため、現在は規制値の見直しが検討されている。
ところが、2002年の交通バリアフリー法施行後から、特に歩道上に駐車されたオートバイに対する駐車違反取締り実施が徐々に目立つようになり問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題(2)内「やがて交通バリアフリー法に行き当たる」、その後2006年6月1日より改正道路交通法が施行されると駐車違反の取締り方法が変更され、オートバイ用駐車場の深刻な不足が改めて顕在化した。駐車違反取締りの一部業務の民間業者への委託が始まり、それと同時にオートバイの駐車違反も四輪車と同様に厳しく取締るようになったからである。このオートバイ用駐車場の深刻な不足は道路交通法改正にあたっても指摘されており国会質問会議録、対応策として駐車場法の改正もやや遅れながら(2006年5月31日公布、同年11月30日施行)行なわれ、それまで対象外だったオートバイも駐車場法による駐車場整備の対象となることとなった。しかし、この改正駐車場法はあくまで施行後に計画あるいは建築された施設等が対象であるために、オートバイにとっては駐車違反取締りはすぐに厳しくなるが駐車場はすぐには増加しないことに変わりはなく、以前からのオートバイ用駐車場の深刻な不足もあって2005年に実施された日本二輪車協会(NMCA)の調査によると、民間駐車場の8割(78.6%)がオートバイの駐車は"お断り"で、オートバイ専用駐車枠を設けている民間駐車場は500件中28件(5.6%)だという(二輪車駐車環境の向上をめざして(調査報告書))。また、東京都道路整備保全公社の2006年時点での調査によれば、東京都心22区におけるオートバイの駐車実態が1万3000台に対して、その駐車供給量は約1000台分しかなかったという(早急に考えられるべき、附置義務駐車場の増加)。、都市部など地域や場所によっては「駐車違反で取り締まられたくなければオートバイに乗らないようにするしかない」という状況が発生するようになった。
ちなみに首都圏では、2006年の道路交通法改正以降オートバイの駐車違反取締りが急激に増加している。警視庁や警察庁の情報公開によると、東京都内のオートバイ駐車違反取締り件数は1998年に3875件だったのが2002年に1万3918件と初めて1万件を超え、その後も徐々に増加していたが、2006年に道路交通法が改正されると途端に10万件を突破、2007年には26万6806件となっている。これはオートバイだけで比べても、1998年からの10年間で68倍に増加、道路交通法改正直前の2005年と比較しても5倍に増加したことになる。10年で68倍 (Web魚拓)こうした傾向は全国的にも同様であり、改正道路交通法施行前の2005年には全国でのオートバイ駐車違反取締り件数が約11万件だったのが、2006年には改正道路交通法施行後のの半年(6月から12月まで)だけで約23万4千件、翌2007年には1年間で約52万1千件と、やはり急激に増加している。asahi.com:二輪の駐車違反急増、過去最多 (Web魚拓)、二輪の駐車違反、過去最高52万1千台 (Web魚拓)なお、道路交通法改正後の駐車違反取締り件数の増加は四輪車を含めた全体でも起きているが、2007年中の全国駐車違反取締り件数が四輪車とオートバイをあわせて300万4383件で前年比105万595件(53.8%)増加であること平成19年中の交通死亡事故の特徴及びを考慮すると、オートバイだけでの増加率は異常に高いといえる。また、オートバイの駐車違反取締り件数増加が著しい首都圏では2006年以降はオートバイの新車販売数が減少している二輪界 (Web魚拓)という情報もあることから、オートバイの利用台数が増加したりしたせいで駐車違反取締り件数が増加した訳ではないこともうかがわれる。
これまで述べてきたような、オートバイ用駐車場の深刻な不足やそれに起因する駐車違反取締り件数の増加という状況は、2008年現在もあまり改善されないまま継続中である。特に、状況が深刻な首都圏などの都市部ほどオートバイ用駐車場として利用可能な土地面積が限られていることもあり、今後も改善は急速には進まない可能性が高い。警察や自治体などでも具体的な打開策を見い出せていないところが多く、仙台市や浜松市といった一部の自治体以外では仙台市は市内に4000台以上のオートバイ用駐車場を備えており、浜松市は浜松駅周辺に無料のオートバイ用駐車場を多数用意しているが、これらはあくまで少数派あるいは例外的事例である。(バイク駐車場問題、あなたはどこまで知っていますか?内「全国の地方自治体の取り組み」)、多くの地域でオートバイ用駐車場の深刻な不足という状況が続いている。また前述の通り、首都圏ではオートバイの販売数が減少するといった影響も発生しており、この問題がオートバイ業界の不況にも繋がりかねないと懸念する意見も出てきている。
なお参考ではあるが、欧州(ヨーロッパ)各国でのオートバイ用駐車場の事情はというと、欧州では乗員1人あたりの道路占有面積が小さく特に短距離の移動に適するといったオートバイの合理性や利便性に対する認識が比較的高く、それらを活かして都市部での道路交通渋滞や駐車場不足を軽減するために、都市や道路の整備計画にてオートバイ用駐車場整備を考慮し、むしろ日本とは逆にオートバイの利用促進を図っている事例も多い。そのために欧州の都市部では、道路脇などにオートバイ専用の駐車場所が設けられていることもしばしばである。欧州各都市に見られる二輪車駐車事情