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オートバイ

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

オートバイ (auto+bicycle) とは和製英語で、自動車の一種の二輪自動車である。二つの車輪を前後に配置し、人力以外の動力で走る乗り物の日本語に於ける慣用的な総称である。日本の法律上では、道路交通法においては大型自動二輪車普通自動二輪車小型自動二輪車原動機付自転車の四つに、道路運送車両法においては、小型二輪自動車、軽二輪自動車、原動機付自転車の三つに、それぞれ区分される。

エンジン付き二輪車をベースとした三輪車(トライク)もオートバイに含める場合がある(トライクは、日本の道路交通法ではオート三輪(普通免許で運転可)、道路運送車両法の分類ではサイドカー(側車付き二輪車)の扱いとなる)。

自動二輪車」と言う表記について詳細は各種の区分及び条件を参照のこと。

歴史

Wikipedia画像へのリンク(1885年にダイムラー社が造ったオートバイ・Reitwagenレプリカ)
蒸気機関等の初期の熱機関が発明され、それを当時の自転車をベースとする2輪車の形式に取り入れて、新しい移動手段を開発しようとする試みがなされる様になった。

オートバイの原型とされるものは、フランスのエンジニア・発明家のルイ-ギヨーム・ペローが考案し、1868年に特許となった(当時の特許期間は15年)。これは、蒸気機関エンジン搭載のオートバイであり、1873年のウィーン万博に出品された。内燃機関エンジン搭載のオートバイの原型はダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(現ダイムラー)社により、1885年に作られた。1903年、現代のモペッドの原型となるオートバイをウイリアム・ハーレーとアーサー・ダビッドソンが製造した(後にハーレーダビッドソン社を創業)。第一次世界大戦中の進展を経て、1920年代になると、現在のオートバイに似た一般的な構造が確立する様になった。馬車よりも高機動・高性能であったオートバイは社会に浸透し、その後第二次世界大戦において、側車を付けて指揮官の移動手段としてや、偵察部隊などの機動部隊の装備として採用される事になる。

日本でははじめ、オートバイの利用は少なく、1910年頃に輸入車が見られるようになった程度であった。従って国産化も遅れ、1906年の島津楢蔵によるNS号が初の国産車であった。その後、スミス・モーター、インデアンハーレー等の輸入が増え、1930年代には宮田製作所(現・宮田工業)が「アサヒ号」を発売するなど、国産化も進んだ。輸入車の中でも、ハーレーは三共によって陸王として国産化された。

第二次世界大戦終戦後工業に著しい打撃を受け、軍事産業が壊滅した日本に於いては、それまで軍用機軍用車を製造していた会社がこぞってオートバイを製造販売する様になった。特に有名なのは、陸軍機で知られる中島飛行機を源流に持つ富士産業(後の富士重工)のラビット、海軍機で知られる三菱を源流に持つ中日本重工(財閥解体に伴う三菱重工の分社)のシルバーピジョンというスクーターの両雄である。終戦直前には、陸王一社のみがオートバイ製造を続けていた状態から、雨後の筍の様にメーカが乱立したが、殆どのメーカが技術開発と市場競争で遅れをとり次々脱落していった。中でも目黒製作所のメグロ、東京発動機のトーハツは人気があり、メグロはメーカが倒れた後もカワサキに技術が移転した。

現在でも続くメーカとしては、本田技研工業(ホンダ)が戦時中汎用エンジンとして製造していたエンジンを自転車に取り付けたのが同社に於ける最初のオートバイ事業であった事は有名な話である(モペッド#日本における歴史参照)。このオートバイの系譜は長く、現在はカブの愛称で親しまれる。

日常の足として利用されてきたオートバイはやがて舞台をサーキットに移し、レースに世界各国のオートバイメーカーが参加した。精密加工を得意とする日本の企業は高回転高出力エンジンである並列多気筒エンジンを搭載したオートバイで参戦した。ホンダに続いて、ヤマハ、スズキ、カワサキもオートバイ製造に参加し、各社切磋琢磨して年々高性能化、タイトルを日本勢で塗りつぶし、市場における優位性を確保した。こうして日本はオートバイ大国となる。

しかし、道路が舗装整備され、オート三輪を経て四輪自動車が一般的な乗り物として普及すると、日本におけるオートバイ市場は頭打ちとなり、カブのようなビジネスバイクを除いて趣味の乗り物となり、オートバイの販売数は頭打ちになった。

1980年代前半になると、ヤマハが業界1位の座をホンダから奪おうとして日本のみならずアメリカをも舞台にしてHY戦争(詳細は項目参照)が起きた関係でラインナップが増えた裏でオートバイの価格が下落し、さらに1980年代後半からは好景気(バブル景気)も重なり、90年代前半にかけて日本にバイクブームが訪れた。

しかしこの80年代バイクブームにより、暴走族(共同危険型、違法競争型の別を問わず)が全国各地で増え、危険走行や爆音、交通事故が社会問題となった。それによって三ない運動に代表されるような「バイク=危険な乗り物・暴走族」という反バイク感情が高まり、バブル景気が過ぎた後はより実用性を求める社会に移ったこともあって急速にバイクブームも終息に向かっていく。

その後、90年代になると東南アジアを中心とする発展途上国の市場が拡大し、オートバイメーカーの活路は日本よりも世界を対象としたマーケットにシフトしていく。

しかし、高い機動性はビジネスバイクや郵便、飲食店の宅配バイクという形で戦後間もない頃から社会に親しまれ、現在はバイク便など高速輸送にも使われる。救急車よりもより早く緊急現場に駆けつけることが出来ることから救急バイクなども存在する。警察交通機動隊が使用する白バイも、オートバイの高い機動性を利用するものである。自衛隊では斥候や連絡のために250ccのオフロードバイクを運用している。

呼称

オートバイは、日本では他にバイク単車等とも呼ばれる。「単車」は、側車とも呼ばれるサイドカーと区別するために用いられた言葉だったが、サイドカーが希少なものとなった後も単車という言葉は生き残っており、オートバイ全体を指す言葉となっている。

オートバイという呼称は1920年代には既に用いられていた(2008年現在も出版されている月刊誌「オートバイ」は1923年創刊である)。この言葉は米語 autobike から作られた和製英語であり、英語圏では通用しない。英語圏では、motorcycle, motorbike, autobicycle と呼ばれるほか、moto や cycle という略称も使われる。英語では、一般に「バイク(bike)」というと自転車(bicycle)を意味する(ただしmotorbikeの短縮としてbikeを自動二輪車という意味で使用することもある)。

排気量が小さいオートバイのことを、警察関係や報道関係では「ミニバイク」と呼ぶことがある。

構造

駆動輪は、自動車では前輪駆動・後輪駆動・四輪駆動と分かれるが、オートバイにおける実用車のほとんどすべては、後輪駆動である。歴史的事例では、キャブレターで有名なフランスのソレックス社のベロ・ソレックス(日本でもダイハツがライセンス生産していた)が前輪駆動だった(後述のモペット同様の自転車にエンジンを取り付けた構造で、前輪フォーク上部に50ccエンジンを搭載していた)。また、星型5気筒エンジンを前輪に搭載したメゴラというオートバイも存在した。実験的には、前後二輪駆動の競技用オートバイが製造されたことがあるが、極めて特異であった上に競技の公平性を失する可能性を秘めていたために、その後のレギュレーション改定で禁止されている。また、通常のオートバイとは異なるが、自然公園のレンジャーなどが足として使う特殊車両として、二輪駆動のオートバイが存在するRokon社が販売している。

Wikipedia画像へのリンク(オートバイのサスペンション(ドゥカティ・ムルティストラーダの後輪側サスペンションユニット))

自転車はサスペンションが無いものが多いが、オートバイは車両重量が重く、高速で走るために、操縦安定性を確保する目的もあってサスペンション機構が有るのが一般的である(低速でしか走らない車種では受ける衝撃が少ないために無い場合もある)。サスペンションは、前輪がテレスコピック、後輪がスイングアームになっている物が多い。

また、サスペンションが有ることによって快適なだけではなく、高い速度を維持したままで走ることが出来るようになった。それはサスペンションの無いオートバイで100km/hを出すよりも、サスペンションの有るオートバイで180km/hを出すほうが楽な程である。そのため、サスペンション装備以前と以降のオートバイは別物といっても過言ではない。

現在の一般的なオートバイの操作系は、ブレーキスロットルの加減速系統は右側に、クラッチレバーシフトペダルの変速系統は左側に付いている。かつての英国車や、英国車を真似たものなどにブレーキペダルが左側、シフトペダルが右側の車種があった。

パワートレインは多種多様であり、一概にこれがオートバイのパワートレインであると言える物はないが、代表するものとして、一つは無段変速機構そのもののVベルトによって最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもので、簡易CVTともいえるもの(一般にオートマチックトランスミッション(オートマチック、オートマ)・ATと称する)、もう一つは常時噛合シーケンシャルトランスミッションからチェーンプロペラシャフトまたはベルトによる最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもの(一般にマニュアル・MTと称する)の二つがあげられる。スクーターの多くは前者である。

フレーム形状はダイアモンド、(シングル)クレードル、ダブルクレードル、モノコック、モノバックボーン、ツインスパーなど多彩であり、その車体の性格付けをするものであるが、多くの場合において基本的な構造は、前輪を支えるフロントフォークを高い位置から結び、車体中央下の低い位置で後輪を接続しているスイングアームへと結ばれている。例外としてリアサスペンションを持たない(ホイールをリジッドマウントしている)車種ではフレームと後輪が直結している(モペッドや、スズキ・チョイノリ等、高速走行を狙わない車種やクラシックバイク等)。

各種の区分及び条件

日本では道路交通法および道路運送車両法にて排気量に応じた区分が定められており、その区分により運転免許等の取扱が異なる。どの免許で何が運転できるかは運転免許参照のこと。オートバイに関する法制度は度々変わっており、以下は2008年現在のものである。

排気量 50cc以下 50cc超
90cc以下
90cc超
125cc以下
125cc超
250cc以下
250cc超
400cc以下
400cc超
一般的な排気量区分
道路交通法
(運転免許区分)
大型二輪免許
普通二輪免許
普通二輪免許(小型限定)
原動機付自転車免許
または普通免許等
道路運送車両法
[プレート色]
原動機付自転車
軽自動車
(軽二輪自動車)
[白]
小型自動車(小型二輪自動車)
[白+緑枠]
第一種[白] 第二種乙[黄] 第二種甲[桃]
高速道路の通行
不可
車検
不要(制度がない)
必要
一般道最高速度
30km/h
法定速度(60km/h)
二人乗り
不可
可(構造上座席がないものは不可)
二段階右折
必要

トライク普通自動車の扱いとなっているため、普通免許等が必要となる。

ナンバープレートの色は、自家用の場合である。事業用であるバイク便は、字と地の色が入れ代わる(緑ナンバー)。原付125cc以下は市区町村の裁量で、形状や色が違うところがある。自家用は青文字の所が多く、公用(非課税)の警察等は赤文字となる所が多い。旧郵便バイクは赤文字だったが、民営化に伴い標準の青文字となった。

なお、大型自動二輪免許に関する法改正後は、法令上は単なる「自動二輪車」と言う表記は使われなくなった。一般的にはこの表記は、大型自動二輪車および普通自動二輪車の総称として使われる。ただし、道路標識等における「自二輪」と言う表記は、法令上も大型自動二輪車および普通自動二輪車を意味している。

二人乗り規制

高速道路では側車付き二輪車を除き、二人乗りが禁止という状況が長年続いていたが、2005年4月1日より二人乗りが解禁された。ただし、20歳以上で、免許の期間が通算3年以上などの条件がある。

また、首都高速の一部などの道路首都高速道路における二人乗り規制範囲では、側車付きを除き二人乗り禁止となっている(東京都公安委員会は禁止の理由として当該範囲は二人乗りが危険だと主張したが、これに関して二人乗り解禁の運動をしてきた一部のライダーは「根拠が無い差別であり、仮に他の高速を走るよりは危険だとしても一般道より安全である」として、全面解禁を要望している)。

その他の高速道路および一般道路では、「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」(310の2)の道路標識により特に規制されていない場合には、二人乗りが可能である。

いずれの道路および自動二輪車についても、免許の期間が通算1年以上などの条件を満たさないと、二人乗りはできない。なお、トライクは普通自動車であるため(要普通免許等)、また側車付き二輪車は二人乗り規制適用除外となるため、これらの二人乗りについてはすべて適用除外となる。

押して歩く場合

押して歩く場合は歩行者の扱いになる。ただし、押しているものが下記のいずれかに該当する場合は適用除外となる。
  • エンジンをかけている
  • 側車付き(トライクを含む)
  • 他の車を牽引している

排気量

運転免許を基準にした日本固有の分類。カッコ内は二輪の場合の原動機排気量基準

AT限定免許

AT車(クラッチ操作を必要としないオートバイであり、事実上スクーターが対象)に限定した普通自動二輪・大型自動二輪(650cc以下)のAT限定免許が2005年6月1日から新設された。この結果、大型スクーターの運転免許が取得しやすくなり、普及への一助となると考えられている。ただし、識者の間では実際に免許を取得する際の技量としては、特に車体操作に関してAT車両のほうが難易度が高いとの指摘がある。車体操作の要であるニーグリップが構造的に不可能で、足首と手のみで車体を支持し操作するためと言われている。また、大型スクーターの車体の大きさや重さにより、試験場や教習所でのスラロームなどの課題をこなすのが難しいとされる。

なお、この免許区分が設定された時点では650ccを超えるスクーターが事実上存在しなかったため「AT限定大型二輪」は650cc以下限定とされ、ボスホス車などそれ以上の排気量を持つAT車に乗る場合は限定なしの大型二輪免許が必要となる。

AT車限定の二輪免許を取得させようとする自動車教習所および運転免許試験場は、クラッチの付いた大型・中型・小型、大型スクーター、中型スクーター、小型スクーターを用意する必要があり、スクーター購入の追加設備投資が必要となる。

なお、AT限定大型自動二輪免許の条件欄には「0.650リットル以下のAT車に限る」と表記される。

AT限定免許の区分

排気量 〜50cc以下 50超125cc以下 125超400cc以下 400超650cc以下 650cc超〜
AT限定なし免許
原付
普通自動二輪(小型限定)
普通自動二輪
大型自動二輪
AT限定免許
-(4輪AT限定)
普通自動二輪
(小型AT限定)
普通自動二輪
(AT限定)
大型自動二輪
(AT限定)
-
AT技能試験 技能試験無し 100〜125ccのスクーターで教習・試験が行われる 300〜400ccのスクーターで教習・試験が行われる 600〜650ccのスクーターで教習・試験が行われる
-
MTに乗るには 技能試験無しでMTに乗れる
AT限定解除審査に合格が必要(または教習所で下表< >の時限「技能教習の教習時間の基準」受講)
-
二輪免許の取得への指定教習所における技能教習の教習時間の基準
現在の→
所持免許
免許なし
原付
普通(大型)
四輪
AT小型
限定
小型
限定
AT普通
二輪
普通
二輪
AT大型
二輪
大型
二輪
受ける免許↓学科26学科1学科0学科0学科0学科0学科0 
AT小型限定98------------------
小型限定1210<4>---不明---不明---
AT普通二輪1513<5><3>------------
普通二輪1917<8><5><5>b---不明---
AT大型二輪29241817109------
大型二輪363124201612<8>a---
  • < >部分は限定解除審査となり、免許センター(試験場)で免許証は新規に発行されず、限定解除の裏書となる。
  • ---部分は、上位免許であり、所持免許で運転できるので、試験を受けることは出来ない。
  • 所持免許がないか、原付免許、小型特殊のみの場合は、学科が26時間必要
  • 普通(大型)四輪免許所持であれば、学科が1時間必要
  • AT小型限定、小型限定以上の二輪免許があれば学科は0時間
  • 上表の「不明」の部分は、審査であるが、時限数が不明(段階的免許取得の順番として想定されていないためと思われる)。
  • [a]大型二輪の限定解除で、AT限定大型二輪所持の場合、8時間が基準であるが、ATでない普通二輪(又はATでない小型限定普通二輪)所持の場合は5時間となる。
  • [b]普通二輪の限定解除で、AT限定普通二輪所持の場合、5時間が基準であるが、ATでない小型限定二輪免許所持の場合3時間となる。

用途と種類

以下に主なバイクの種類とその用途を記す。これらは絶対的なものではなく、いくつかのカテゴリーに跨っているものや、見る人によりカテゴリー分けが違うものもある。また必ずしも記載された用途に限られて乗られているわけではない。
ビジネスバイク
新聞配達、飲食店の出前、郵便配達、営業用車両として利用されているタイプのバイクで、多くは原付もしくは小型自動二輪車である。高い耐久性と、低燃費が特徴で、ホイールサイズが大きいため悪路での走行性にも優れている。このタイプの元祖はホンダスーパーカブで、他社の同タイプのバイクの外観もスーパーカブに酷似している。また、自動遠心クラッチ(セミオートマ)なのでAT限定免許で運転できる。後述の宅配バイクもこちらのビジネスバイクの1つに含むこともある。
宅配バイク
ピザなどの宅配に最適化されたもので、天井が付いた三輪のスクーター形式(スリーターとも呼ばれる)が多い。ホンダ・ジャイロキャノピーが代表格。株式会社ヒガ・インダストリーズが1985年に日本で初めての宅配ピザであるドミノ・ピザを創業する際に、日本の交通事情に合わせてオリジナルで設計したのが元祖。後部には宅配商品を乗せるトランクが付いている。他業種では、コピー機などOA機器エスカレーターエレベーターのメンテナンス、警備業で都心を走るのが見られる。宅配バイクがこのような形式になったのは、当時の法律で天井付きの三輪バイクが容易にミニカーとして登録できたことによる。ミニカーは自動車扱いなのでヘルメットの着用は不要、原付の30km/hという速度制限にも縛られなくてすんだためである。現在は、法改正されたので上記のようなメリットは無い(ミニカーとして登録するために、原付の定義からはみ出すように軸距を拡大またはタイヤホイールを替えるなど、改造する場合もある)。
最近では経費削減や原油高などの影響で、降雪の恐れが少ない地域では二輪タイプ使用の宅配もみられるようになってきた。ヤマハ・ギアが代表格。オプションで屋根を取り付ける事も可能。日本KFC(株)はヤマハ発動機と提携しケンタッキーフライドチキンピザハットの宅配バイクに赤く塗られた市場では売られていない赤ギアを使用している。またピザーラすかいらーくの一部エリアなども屋根なし二輪や屋根付二輪タイプを導入しているところがある。
屋根の付いた二輪は少ないが、ホンダ・キャビーナに代表されるピザ宅配バイクでないものや、後付けで屋根を装着したビッグスクーターがある。
スクーター
小径のタイヤで、乗車時に車体をまたぐ必要が無く、両足をそろえて乗ることができるバイク(ただし、近年の排気量拡大により車体剛性を強化する目的でフラットステップではない車体も出て来ている)。多くはクラッチ操作、変速操作共不要のオートマチック・トランスミッションを採用しており、その操作の簡単さもあり、販売台数が多い。50ccクラスから650ccクラスのものまであり、このために、自動二輪の免許制度にオートマ(AT)限定が新設された。この背景には高速走行可能ではあるが車検制度の無い250ccクラスの「ビッグスクーター」と呼ばれる車種の販売増がある。最近は環境貢献や近距離利用に着目した電動スクーターも市販されてきている。
モペット(moped)
ステップ(足を乗せる棒)の代わりに自転車のようなペダルが配置されているバイク。免許制度上無免許で運転可能なフランスやイタリアの製品が多い。前述のように日本では第二次大戦後広く用いられたが、法律によりエンジンの動作状態に関わらず原動機付自転車の扱いとなり、ヘルメットの着装・車道走行・ナンバー取得が義務づけられ、免許が必要なため、現在ではほとんど普及していない。エンジンを回さずペダルを踏んで走る事も不可能ではない、文字通りの原動機付自転車であるが、自転車ベースの一部の車種をのぞいてペダル走行では極端に低速且つ重い。日本式発音で転訛してしまったのだが、本来は「モペッド」(motor + pedal で moped)。
コミューター
特に定義はないが、一般的には都市において通勤や通学に使われる小回りのきくオートバイをさす。主にスクーターやビジネスバイクなどが当てはまる。ちなみにコミューターとは「通勤」および「通学」の意。
オンロードバイク
舗装路を快適に走行できるように工夫されたタイプのバイク。ヨーロッパで発達したヨーロピアンタイプアメリカ合衆国で発達したアメリカン(クルーザー)タイプ、競技用車両を模したものはかつてレーサーレプリカと呼ばれ、現在はスーパースポーツなどと呼ばれている。また、長距離移動を重視するツアラータイプ、運動性能を重視するスポーツタイプ、街中での乗りやすさを重視するストリートタイプにも分類できる。
ヨーロピアン
:前傾姿勢での乗車となり、操縦性を重視したきびきびとした走りが魅力となっている。特に、カウルがないものはネイキッド (“裸”の意)と呼ばれる。スーパースポーツなどからカウルを取り外したり、またはそのような外観のものをストリートファイターとも呼ぶことがある。
前傾姿勢での乗車となり、操縦性を重視したきびきびとした走りが魅力となっている。特に、カウルがないものはネイキッド (“裸”の意)と呼ばれる。スーパースポーツなどからカウルを取り外したり、またはそのような外観のものをストリートファイターとも呼ぶことがある。
アメリカン
:ソファーに座る様な姿勢で乗車し、真っ直ぐな道を低・中速で中距離(1日数百Km以内、それ以上だとツアラータイプが楽)移動するのに向いている。低く長い車体、寝たキャスター、ステップフォワードな乗車姿勢が特徴である。
ソファーに座る様な姿勢で乗車し、真っ直ぐな道を低・中速で中距離(1日数百Km以内、それ以上だとツアラータイプが楽)移動するのに向いている。低く長い車体、寝たキャスター、ステップフォワードな乗車姿勢が特徴である。
なおこのタイプを「アメリカン」と呼ぶのは日本のみで、英語ではクルーザーと呼ぶ。
:なおこのタイプを「アメリカン」と呼ぶのは日本のみで、英語ではクルーザーと呼ぶ。
スーパースポーツ
:レーサーレプリカとも呼ばれるが、ほぼ同じ意味である。スポーツ走行に適したコンパクトなポジションと軽量なボディでスポーツ走行に優れるが、前傾姿勢を強いられるために長距離走行時の疲労がたまりやすい。高出力のエンジンを持ち、機敏に動くことよりも最高速を目指すものはメガスポーツと呼ぶこともある。
レーサーレプリカとも呼ばれるが、ほぼ同じ意味である。スポーツ走行に適したコンパクトなポジションと軽量なボディでスポーツ走行に優れるが、前傾姿勢を強いられるために長距離走行時の疲労がたまりやすい。高出力のエンジンを持ち、機敏に動くことよりも最高速を目指すものはメガスポーツと呼ぶこともある。
ツアラー
:スーパースポーツと見た目は似ているが、ネイキッドやヨーロピアンタイプ同様のゆったりとしたポジションとシートと、空力特性に優れた大柄のカウリングを持ち直進安定性と長距離走行への居住性に優れている。反面、機敏に動くことが苦手なため、スポーツ走行は不利とされる。
スーパースポーツと見た目は似ているが、ネイキッドやヨーロピアンタイプ同様のゆったりとしたポジションとシートと、空力特性に優れた大柄のカウリングを持ち直進安定性と長距離走行への居住性に優れている。反面、機敏に動くことが苦手なため、スポーツ走行は不利とされる。
ストリート
:小型軽量のバイクが多く、絶対的な性能は高くないが、取り回しが楽で気軽に乗ることができる。反面、高速で巡航するような用途には適していない。ファッション感覚で乗る人も多く、最初から特徴的な外観をしていたり、スカチューンのように見た目重視のカスタムベースになることも多い。
小型軽量のバイクが多く、絶対的な性能は高くないが、取り回しが楽で気軽に乗ることができる。反面、高速で巡航するような用途には適していない。ファッション感覚で乗る人も多く、最初から特徴的な外観をしていたり、スカチューンのように見た目重視のカスタムベースになることも多い。
オールドルック
: レトロとも呼ばれる。スポークホイールや空冷エンジンなど旧車に似た外観を持つバイク。実際の旧車との違いは、旧車は設計・製造そのものが古く、オールドルックは昔(オールド)のバイクを「模した見た目(ルック)」の設計がされたものを言う。エンジンや電装系などは当然新しいものが搭載されている。
レトロとも呼ばれる。スポークホイールや空冷エンジンなど旧車に似た外観を持つバイク。実際の旧車との違いは、旧車は設計・製造そのものが古く、オールドルックは昔(オールド)のバイクを「模した見た目(ルック)」の設計がされたものを言う。エンジンや電装系などは当然新しいものが搭載されている。
画像:VRSCD.JPG|アメリカンタイプ 画像:FZ1-2006.jpg|ヨーロピアンタイプ Image:Yamaha TZR250 2MA.jpg|レーサーレプリカタイプ 画像:XJR1300 RP03J.jpg|ヨーロピアンタイプ(ネイキッド) 画像:Yamaha YZF R1 2001.jpg|スーパースポーツタイプ 画像:FJR1300AS.jpg|ツアラータイプ Image:Yamaha TW200 01.jpg|ストリートタイプ Image:YAMAHA SR400 20070304-03.jpg|オールドルックタイプ
デュアルパーパス
舗装路のみならず、未舗装路でも快適に走行できるように工夫されたバイク。悪路での走行性を高めるため、オンロードバイクに比べホイールの径が大きくサスペンションのストロークが長いのに加え、ホイールには衝撃を吸収しやすいスポークホイールが多用される。乗車姿勢は基本的に着座だが、路面状況によっては中座、あるいは直立することもある。
一部未舗装路を含む道路を、より速く走ることを目的としたジャンルである、モタードタイプの母体となった。
アルプスローダータイプもしくはマルチパーパスタイプ
大排気量のエンジンとハーフカウルを搭載し、未舗装路の走破性を一部犠牲にして高速道路の走行性を高めたモデル。ツアラータイプと同様、大型のパニヤケースを追加できるものが多い。タイヤやサスペンションをよりオフ向けに振った派生モデルがラリー競技で使用される。
オフロードタイプ
未舗装路を走ることを前提にしたバイク。一般公道を走行しない競技用のものは保安基準に適合していなくてもよいので、ナンバーなし、方向指示器もヘッドライトもないなど必要最低限の装備となっている。バッテリーやセルモーターすらないものもある。
モトクロスバイク
: 林間や岩場などに設けられたコースを、より速く走破することを目的としている。高いジャンプから柔軟に着地できるようサスペンションのストロークが長く、最低地上高が高い。公道走行できない競技用のものが多い。
林間や岩場などに設けられたコースを、より速く走破することを目的としている。高いジャンプから柔軟に着地できるようサスペンションのストロークが長く、最低地上高が高い。公道走行できない競技用のものが多い。
トライアルバイク
: スピードではなく、他種のバイクではまず走破できないような荒地(岩場、沢、崖、泥濘「でいねい」地、等)および障害物等の走破性を重視している。乾燥重量は非常に軽く(成人2人分程度)低回転域でのトルクと瞬発力があるエンジンが搭載され、ハンドルの切れ角が大きいため小回りがきく。コースをクリアするためライダーがマシン上で様々な動きをする邪魔にならないようにシート位置は低くあるいは全く無く燃料タンクも小さい。逆に最低地上高は高い。また前輪の動きが見やすいように泥除けはタイヤに近い。かつては公道走行できる国産車が販売されていたが、現在は2サイクル車への規制、市場規模の小ささ等から販売されていない。なお国産中古車、競技専用車、および公道走行も可能な外車や逆輸入車は現在も入手できる。
スピードではなく、他種のバイクではまず走破できないような荒地(岩場、沢、崖、泥濘「でいねい」地、等)および障害物等の走破性を重視している。乾燥重量は非常に軽く(成人2人分程度)低回転域でのトルクと瞬発力があるエンジンが搭載され、ハンドルの切れ角が大きいため小回りがきく。コースをクリアするためライダーがマシン上で様々な動きをする邪魔にならないようにシート位置は低くあるいは全く無く燃料タンクも小さい。逆に最低地上高は高い。また前輪の動きが見やすいように泥除けはタイヤに近い。かつては公道走行できる国産車が販売されていたが、現在は2サイクル車への規制、市場規模の小ささ等から販売されていない。なお国産中古車、競技専用車、および公道走行も可能な外車や逆輸入車は現在も入手できる。
エンデューロレーサー
: 耐久レースに用いる。モトクロスバイクに近いが、長時間走行しても疲れないようになっている。公道走行もできるようになっているものが多い。
耐久レースに用いる。モトクロスバイクに近いが、長時間走行しても疲れないようになっている。公道走行もできるようになっているものが多い。
ターミネーター・モタードタイプ
: 前後輪をオンロード仕様に換装し、オンロード仕様にしたモトクロスタイプのものをターミネーター、また、オンロード、オフロード問わずあらゆる状況においてスピード走行できるようにしたものをモタードタイプと呼ぶ。後者は主にスーパーモタードという競技が元になっており、レース用として改造された車両が多いが、最近は公道仕様もある。モタードタイプとトライアルバイクの折衷的なデザインを持ちこれらのバイクで可能なパフォーマンス走行に主眼をおいたエクストリームと呼ばれるタイプが近年市販されている。
前後輪をオンロード仕様に換装し、オンロード仕様にしたモトクロスタイプのものをターミネーター、また、オンロード、オフロード問わずあらゆる状況においてスピード走行できるようにしたものをモタードタイプと呼ぶ。後者は主にスーパーモタードという競技が元になっており、レース用として改造された車両が多いが、最近は公道仕様もある。モタードタイプとトライアルバイクの折衷的なデザインを持ちこれらのバイクで可能なパフォーマンス走行に主眼をおいたエクストリームと呼ばれるタイプが近年市販されている。
Image:HondaTransalp.jpg|アルプスローダータイプ Image:Maico68 360.jpg|モトクロスバイク Image:1995 XR600 supermotard JR.jpg|モタードタイプ
側車付バイク
普通のバイクの側方に座席のある車を取り付けたもので、サイドカーと呼ばれる。通常は、生産もしくは改造された国での四輪車における助手席側に取り付けられる。運転免許の区分は本車の排気量に応じた普通自動二輪免許または大型自動二輪免許である。サイドカーに対する特別な免許は存在しない。側車を外した状態で運転できない構造の車両は普通免許となる(例として『ウラル パトロール・ギアアップ』や『ゼウス』およびトライク)。
レースベース車
オンロード・オフロードや見た目、排気量などにかかわらず競技走行用の車両。コンペティションとも言われる。保安部品を備えず、証明書類は発行されないのが一般的である。レギュレーションに基づいて製造販売される物もある(ホモロゲーション)。基本的には公道走行する事は出来ない車両を指すが、日本国外から輸入した車両については通関証明書類を提示し保安部品を備えれば、正規に車両登録することが可能で公道走行も行える。このことから日本でも販売している競技用車両を、わざわざ外国から買い入れ、輸入(いわゆる逆輸入)して公道走行仕様にする業者も多い。

特殊な用途

緊急自動車
機動性に着目して、オートバイを緊急自動車として使う場合もある。よく見かけるのは交通取締りなどの用途に使われる白バイだが、他にも初期消火などを担当する消防バイク、とりあえずの救護処置を行い救命率を高めるための救急バイクなどがある。
画像:Fire-engine-bike.jpg|消防二輪車 Image:JGSDF XLR250R (HONDA) 3.jpg|陸上自衛隊偵察用

オートバイの利点と欠点

利点

四輪車等に対する、二輪車の利点としては、以下が挙げられる。
  • 機動性が良い。
  • 車体が小さいために、駐車するのに広い空間や面積を必要としない(当然ながら駐車禁止区間に駐車すれば違反となる)。
  • ハイブリッドカーと大排気量のスーパースポーツ車といった極端な比較をしなければ、概ね自動車よりも燃費が良い。(ホンダ・カブは1980年代に180km/Lを記録した事もあるホンダプレスリリース:超低燃費リッター当り180kmを実現(1983年)。ただしこれは定速燃費であり、実際の道路運行を想定して計測される四輪車のモード燃費とは一概に比較できない。)
  • 保険料や税金、検査料金、駐車場代など、維持費が安い。
  • 狭い道路でも通行が可能。
  • 渋滞中でもすり抜けができる(この特性を利用したのが、都市部におけるバイク便である)。ただし、好ましい運転方法ではなく、場所や状況によっては法律違反となるので注意が必要。すり抜けようとした際、車のドアが開き衝突する事故も起きている。
  • 一般的に、Uターンするのが自動車よりも容易である。
  • トラブルで動かなくなっても、車輪さえ動けば一人でも押して動かすことができる。
  • 小型のバイクであればワゴン車などに積載可能。
  • 地震等の災害現場でも、それなりの装備や機能(トライアル車)を持っていれば、走破することが出来る。
  • 全身が外気に晒されているので、季候の良い風土では爽快な気分で走行を楽しむことが出来る。
  • 基本的な運転操作であるアクセル、ブレーキ、クラッチ、シフト操作以外に、コーナーリング時の身体による左右の加重移動(ハングオン等)、両足によるバイク車体のグリップ、上半身の姿勢制御等運転に要求される動作が多いため、4輪に比べてアクティブでスポーツ性が高い乗り物とみなされることが多い。

以上の理由から、都市部や地方を問わず、幅広く機動性を発揮することができる。

欠点

欠点については、次のオートバイの危険性の項もあわせて参照のこと。
  • 四輪車と違い、身体が車体で覆われておらず露出しているために、事故の際には衝撃を直接受ける。
  • 乗り手の技量、体格、体力が車両の性能や運用に大きく影響する。腕力よりも、二輪車を操る技量が重要である。
  • 二輪という特性上、運転操作を誤れば、転倒する恐れがある。
  • 猛暑、厳寒、雨天といった悪天候時は、快適性が著しく損なわれる。
  • 積雪時の走破性は概ね悪い。スリップしやすい、曲がらないなど、冬季の走行は一部の車種を除き困難である。
  • 公道において、二輪通行禁止の道路が存在する。特に、原付は高速道路以外にも通行できない道路が多くある。
  • トラック、ワゴン車などに容易に積載可能である点は利点でもあるが、反面盗難に遭いやすいという欠点もある。近年ではオートバイ専門の国際窃盗団が計画的に日本のバイクを窃盗し、他国に輸出するという問題が発生している。
  • 大量の荷物を積むことができない。
  • 3人以上の乗車は日本の法律では不可。
  • フルカウル車を除き基本的にエンジンは外部に露出しており、また四輪車と比べ排気管の長さおよび消音器の容量を十分に確保しづらいため、一般的に四輪車よりも騒音は大きい傾向にある。

オートバイの危険性

オートバイ(こと二輪車)は静止状態においてスタンドなしでは自立できないなど不安定な構造で、乗用車一般の中でも接地面積が狭く制動に利用できる力が小さいなどの、独特の性質を備える。これらはオートバイが社会に登場して以降、その「不安定さ」が性質に理解のない側の不安を煽ったり、逆にスリルを求める者を魅了した性質だとも言え、その性質故に発生した事故というのも枚挙にいとまがない。

ただこういったオートバイに固有の性質を理解し適切に操作すれば、乗用車一般同様に公道を安全に走行可能であるし、事実ほとんどのオートバイとこれに乗るライダーは公道を安全に走行している。しかしオートバイを不適切に利用する者も存在するほか、日本ではしばしば暴走族が諸般の事情からオートバイで暴走するなど反社会的な行動をとることにも絡め、オートバイそのものを社会問題と位置づける向きもあり、1990年代以前の日本教育界でとられた『三ない運動』(オートバイを買わない・乗らない・免許を取らない)のような排斥運動も発生している。
ただ同運動では、強硬に批判するほどに反社会的な行動に憧憬を抱く側が過剰にオートバイに関心を示したり、禁止されているために隠れ乗った結果として事故を起こしたりといったことも1990年代より社会問題化、その方針を改めミニバイク(原動機付自転車)を容認するとともに安全教育を徹底させるなどの方策を取るところもあらわれている。

オートバイ愛好者らや車両メーカーなどによるオートバイ弁護や安全教育のための情報なども出ている一方で、依然としてオートバイを危険な乗り物だとみなす意識も根強く存在し、世間一般に様々な風説ないし場合によっては偏見なども見出される。しかし実際には、オートバイ乗車中の交通事故での死亡者数は1989年以降減少し続けており、安全対策の模範生だという意見もあるほどである。オートバイ乗車中の交通事故での死者数は2006年には1119人であり、これは第2次交通戦争時の1989年(2575人)の半数以下、第1次交通戦争時の1964年(3762人)の3分の1以下である(交通安全の模範例となる二輪車より)。ただし偏見はともかくとしても、オートバイ固有の性質からくる他の乗用車一般にはない独特の危険性は存在し、自動車教習所から運転免許更新時における安全教育に至るまで、そういった固有の危険性に関する情報の提供が行われている。

この節では、その「オートバイの危険性」について説明する。

オートバイ事故の特徴

事故原因の特徴

オートバイには、確かに以下の危険が存在し、それを念頭に置かずに乗車・運転すれば危ない乗り物であるのは事実である。しかし、逆にその特性を理解し、ライダーが危険を自覚していれば、事故を避けることは可能であり、何十年も無事故でオートバイに乗り続けている人が多く居るのも事実である。 # 自立できない #: まず、オートバイは自転車と同様、タイヤが二つしかない乗り物特有の不安定さを持つ。そのため停車時には乗員が足で支える必要があり、低速走行時は不安定である。また、ある程度以上のスピードでの走行中はホイール等のジャイロ効果で安定するが、そのバランスはスリップなどによって崩れやすく、実質的な走行安定性は自動車に劣る。 # スリップの危険 #: もしスリップが起こった場合は上記の通り、オートバイは自立できないため車体は容易にバランスを崩し、少なからず転倒する。そのため、比較的軽度のスリップで下記の理由によって生命の危機に直面しやすく、自動車に比べると注意を要する。こと雨天時の濡れた路面や冬場の路面凍結時などは特にスリップが発生しやすいため注意が必要である。このような状況で走行する場合は車間距離を晴天時より広めに取り、センターラインなどの白線の上やマンホールの蓋の上、路面に砂が飛び散っている所など、摩擦抵抗の少ない所を出来るだけ避けて走るなどの危険予測を心がけることが望ましい。また、タイヤの磨耗が進行すると更にスリップの危険性が高まるので注意が必要である。 # 身体が剥き出しである #: オートバイは、自動車をはじめとする多くの乗り物とは異なり乗員を保護する箱構造を持たず、むき出しのまま乗車する。そのため事故の際は乗員は身ひとつで放り出され、衝撃を受けることとなる。逆にバイクの危険性として語られるものの多くはこの理由によるため、ヘルメット等のライディングギヤ関連が開発・進歩することになるが未だに絶対安全とはいえないのが現実である。 # 機動性の逆効果 #: オートバイの持つ高い機動性も、危険を拡大する方向に向いうる。前述の通り乗員はむき身のため、走行中は自車の周囲に一定の空間を保つ心理が働き易い。道路状況によってその空間が失われると、機動性を生かし進路変更や追い越しを行なうことになるが、早い機動を予測しない四輪車からは発見が遅れる場合がある。 # 被視認性の低さ #: さらにオートバイは四輪車と比べて小さいため軽視されやすく目立ちにくい上に、対向車からは小さいことに起因する遠近法による錯覚を促しやすく、実際よりも遠くにあると認識されたり、実際の速度より遅く感じられることが多い。渋滞中の道路脇を走るオートバイの進路を四輪車がふさいだり、交差点で右折四輪車が対向直進してくるオートバイの進路をふさいだりすることによる衝突事故(いわゆる右直事故)の多くは、四輪運転者がオートバイを見落したことによって発生するものである。このため1980年代から日本においてもヘッドライトの昼間点灯が推奨されるようになった。これに応えてヘッドライトスイッチ廃止のメーカー自主規制が1993年より始まり、ヘッドライトの常時点灯(昼間点灯)が普及した(1998年より法制化)。このヘッドライトの常時点灯措置が衝突事故減少に役立っている。

#: しかし近年、一部の四輪車(特にタクシーや宅配便のトラック等)でもヘッドライトの常時点灯が行われるようになり、「相対的にオートバイが目立たなくなってしまうのでは」と懸念されている。

オートバイ事故による外傷の特徴

オートバイ事故による外傷の特徴を知ることは、後述の「#推奨される安全装備」の必要性を理解する上で重要である。しかし、先進国のほとんどにおいて、オートバイは圧倒的に少数派の交通手段であるから、その特徴を疫学的に記述した研究は少ないのが現状である。

ヘルメット着用が義務化されていなかった時代は、頭部外傷による死亡が6割を占めていたSarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38(2):242-5. PMID 7869444。日本を含めて義務化された国・地域でも、依然として頭部の損傷は死亡原因の4割でトップである平成18年中の交通事故の発生状況について。特に初心者のライダーほど頭部(顔面を含む)の損傷によって死亡する率が高いStella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14(1):58-61. PMID 11993836

次いで多いのが体幹の損傷による死亡であり、ことに胸部外傷による死亡が多い。KrausらKraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52(3):548-53. PMID 11901334の研究では、胸部外傷は以下のような病態をもたらす。 # 一本の肋骨が2箇所以上骨折すると、呼吸困難になる(フレイルチェスト) # 肋骨や胸骨が折れていると、心停止時に有効な心臓マッサージをすることができない。 # 折れた肋骨が肺を傷つければ緊張性気胸や開放性気胸を起こす。或いは心臓大動脈を傷つければ致死的である。また、肝臓脾臓を傷つけることもあり、この場合も緊急手術のできる病院が見つからなければ確実に死亡する。

このように、肋骨骨折が体内でさらなる損傷を引き起こし、致命率を高めるのである。このため同研究では、胸部プロテクターの普及を図ることを推奨している。また、四肢の損傷のみによって死に至ることは少ない(大腿部の大きな損傷を除く)。

しかし、#ライディングギアの節に詳述されるように、肘・肩・膝のプロテクターですら普及度は低く、まして公道走行で胸部プロテクターを装備しているライダーは皆無に近かった。白バイ隊に配備されている物が民生発売され、ようやく認知度が上がりつつある月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210

頚椎損傷は全体の死亡率では高くないものの、救命救急士や医師は重要視する。これは初め無症状であっても、負傷者が自分で或いは他動的に頚部を動かすことによって重度の障害(脊髄損傷)を負ってしまう事があるからである。オートバイ事故に限らず、交通事故の負傷者は絶対に、不用意に首・肩・頭部を動かしてはならない。

オートバイ事故に対する社会的責任

日本脊髄基金の統計(1990-1992)によると、日本の脊髄損傷事故の原因のうち、約14%がオートバイによる事故である(四輪事故は約20%)。メーカー側も、安全性をPRし、安全教室への参加や、頭部の損傷に対してはヘルメットの着用を奨励しているが、脊髄損傷に対しては注意さえ喚起しておらず、「脊髄パッド」ないし「脊椎パッド」(レーサーがレース中に使用している。市販もされている。#ライディングギア参照)の着用の必要性には深く言及されていないのが現実である。これはオートバイの危険なイメージを消費者に植え付けることを避けるためと考えられるが、毎年多くの若者を障害へと追い込む危険性を下げる社会的義務がメーカー側にあるとする議論が起こりつつある。こういったオートバイの危険性について、行政、オートバイのメーカーや業界団体、オートバイ雑誌やライダーの団体などが、各種の対策や啓発活動を行っている。

行政による対策

オートバイによる重傷事故・死亡事故の際、頭部への負傷が占める割合が高かったことから、オートバイの乗車に際してヘルメットの着用が義務付けられるようになった。ヘルメット着用義務は1974年に道交法上の自動二輪車乗車時にもうけられ、1986年には原動機付自転車乗車時にも拡大された。

メーカーによる安全対策

晩年本田宗一郎は自社が製造したオートバイにより多くの若者が障害者になる事実に心を痛めたとされる。オートバイのメーカーも、より安全なオートバイを目指しての開発を進めている。

たとえば本田技研工業は、オートバイにエアバッグを装着し、衝突時にライダーが空中にはね飛ばされるのを減らす機構を開発し発表した(2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備される予定)。ドイツのオートバイメーカーであるBMWは、オートバイにシートベルトを備えることで衝突時に空中にはね飛ばされることを抑止する機構を開発し、C1というモデルに装備して発売している(このシートベルト方式は、ヘルメットを装着しない方が負傷が少ないという研究結果があるため、ヘルメットの装着を義務付ける日本国内の法制度との兼ね合いで議論を呼んだ)。

ライディングギアの改良も行われている。ヘルメットでは集中力低下をベンチレーションで防ぐ、事故の際頚椎にできるだけ力をかけずに脱がせるようにする等の改良がなされ(またエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されている)、定番であった革ツナギの他にも新素材による強靱なパッド付きウェアが販売され、ヒットエアーのようにエアバッグを仕込んだものまで現れた。

また、メーカーは、イベント・雑誌やテレビなどを用いて、ライダーにオートバイの危険性を認識させることや、安全な乗車方法を知ってもらうといった啓蒙活動を行っている。

なお、メーカーや業界団体は、ロビイング活動を通しても実質的な二輪車の安全を図っている。たとえば一部区間を除き2005年4月より実現した「高速道路における二人乗りの解禁」がそれである。一般道路における歩行者との混在や交差点の存在などに基づく危険性が高速走行の危険性より高いため、長距離を移動する場合には高速道路の方が安全という研究結果があり、これに基づく物である。

雑誌やライダーによる安全対策

オートバイの直接のユーザであるライダーのグループの中にも、自主的なイベントなどを通じて、啓発活動を行っているところがある。こういった活動には、単に「事故を起こさない」「事故にあわない」といった受身のものだけではなく、たとえば救護技術の習得など能動的なものも含まれる。

また、ライダーをマーケットとするオートバイ雑誌なども、しばしば安全性に関する特集記事を掲載している。

ライディングギア

オートバイに乗車する際身につける装備をいう。衣類に属するものは「ライディングウェア」と呼ぶ。専用のライディングウェアが市販されている。それらはオートバイの乗車姿勢に合わせて裁断され、防護性も考えられており、ライディングに適した機能をもつ。デザインもスポーツ走行、ツーリング、オフロード走破等TPOに合ったものとなっている。

推奨される安全装備

Wikipedia画像へのリンク(フルフェイス型ヘルメット)

現在のところ、事故の際にライダーを防護するのはライディングギアのみである。安全のためにも、ライダーとしての自覚のためにも、オートバイに乗車する際は適切な装備をすることが望まれている。

オートバイの死亡事故は自動車や障害物への衝突が7割を越えており、純粋な単独事故で死亡した例は1割にも満たない。

衝突事故では衝突の衝撃でライダーが前方へ投げ出されるため、ライダー自身が更に障害物へ衝突することが多く、死亡の原因として頭部の損傷が5割以上、次に3割以上が胸部・腹部等の前面部位の損傷となっている。ヘルメット装着の義務化によって頭部は比較的守られるようになったが、俄然胸部・腹部へ衝撃を受けることが多く、胸部・腹部の防護が課題となっている。

勿論死亡事故だけでなく、背部への衝撃による脊髄の損傷などもあり、メーカーの広報やオートバイ雑誌でも首パッドのネック・ブレース・システム、脊椎パッド等のプロテクタやヒットエアーのようにエアバッグ機能付きのジャケット等の装備が勧められるようになってきた。

法的に義務付けられている装備

教習所等で推奨する最低限の装備

  • フルフェイス型またはジェット型の乗車用ヘルメット
  • 長袖長ズボン
  • グローブ(手の平をガードする物とナックルプロテクターが付いている物を推奨する、指先が剥き出しのグローブは推奨できない)
  • 足首までの長さのブーツまたはライディングシューズ(臑を守るためブーツを推奨する。プロテクターと組み合わせると良い、踝を守る所がある物を選ぶと良い)

死亡や後遺障害を防止する観点から追加が望ましい装備

  • 耐摩耗性等、強度の高い新素材ないし皮革製のスーツあるいはジャケット、パンツ
  • 視認性の高い、目立つ色であるか、または反射材を備えるもの。厚手の生地と太い糸で縫い合わされているジーンズは見た目こそ丈夫に見えるが普段着として供される物は容易に破れて怪我をする。ライディングギア用として供されている物はケブラー繊維を織り込む等して強化されている。
  • 胸部、腹部、肩、肘、腕、膝、腰、臑、首、脊椎などを保護する各種プロテクター類
  • 衝撃緩衝材を備えていると、脊髄損傷内臓破裂骨折脱臼等の危険性を低減する。ウェア自体に装備される場合もある。
  • 虫やゴミの飛び込みを防ぐため、ジェット型ヘルメットにはゴーグル、バイザー、シールド等を併用するとよい。
  • ツーリング等で夜間の走行が予想される場合は、透過率の低いスモークシールドなどの使用を控える。ゴーグルや、バイザーは細かい傷が付きやすく、これによって雨天時や夜間光を乱反射し視界を妨げる危険性がある。従って傷が付かない材質のものを選ぶか傷防止のコーティングがされているものを選ぶ必要がある。また細かい傷はどうしても付きやすいので、ある程度使用したら新品に取り替えるほうが良い。

雨具

  • 屋根のないオートバイを走らせる場合、雨具は必需品と言える。走行時には、雨滴が体に痛く感じるほど衝突するため、高い防水性が要求される。性能の良い雨合羽が望ましい。オートバイ用の高機能な雨合羽も販売されており、ウェア自体に透湿防水機能を備えた全天候型ライディングウェアもある。グローブ、ブーツにも雨天用のカバーの他、全天候型の製品がある。但し、いずれにせよ完全に体が濡れなくなるという事はなく、少なからず首筋、袖口などから水が浸入する。ずぶぬれになって注意力を失い事故を起こすことのないよう、雨具を備えたい。
  • また雨天走行時、あるいは冬季の走行時には防寒に注意を払うべきである。走行風に常にさらされているので、体温を奪われやすく、体温の低下は集中力の低下、運動機能の低下、また著しい場合には低体温症によって代謝機能が低下して非常に危険な状態になる。このような場合にはライディングウエアの下に適切なインナーウエアを装着する事が望ましい。
Image:Motorkleding all weather pak.JPG|全天候型ライディングウェア Image:Motorkleding Salopette.JPG|インナーウエア・プロテクター

反射材

  • 前述(雨具以前)の装備強化が事故の際のライダーの身体損傷軽減対策であったのに対し、こちらは事故に遭遇する確率そのものを下げる対策。オートバイは他者からの視認性が悪く、夜になると更に悪化する。そのため、自分の体に反射材を付けることが推奨されている。

主な製造メーカー

日本

製造されている車種は各メーカーの項目に詳しい。 日本で「国内四(大)メーカー」と言った場合、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの四社を指す。いずれも高い技術力を持ち、全世界に高性能オートバイを輸出している(西暦2000年頃からスーパースポーツバイクは市販状態で時速300km/hに簡単に到達できることが一定の基準となったが、最高速競争の先陣を切ったのはカワサキ・ZZR1100である)。また、国内四メーカーのうちカワサキのみ、市場のほとんどを占めている排気量50cc以下のいわゆる原付車両を2000年以降製造していないという特異な市場を持つ。

アメリカ

ドイツ

イギリス

フランス

イタリア

上記以外の国

かつて生産していたメーカー

日本

その他のブランド
ケンコー・サンライト・モナーク・ヘルス・カントー・スカイラーク・金剛・メイハツ・シルバーベル・フジモーター・ダイアモンドフリー

アメリカ

イギリス

フランス

ドイツ

イタリア

オランダ

ロシア

ポーランド

オートバイで行われるスポーツ

趣味としてのオートバイ

ライダーの高年齢化

以前の日本では、オートバイは若者の乗り物(場合によっては経済力のない若者が四輪車までの繋ぎに乗る乗り物)という見方があった。ところが、このところライダーの年齢層が上昇し、中高年ライダーが増加している(2005年での平均年齢は42.7歳、自工会調べ)。ちょうど、1980年代のオートバイブームの時代に20歳前後だった層が現在ライダーの主力となっていることになる。中年を迎え、ある程度経済的な余裕がでてきたこの年代層が、一旦降りていたオートバイに乗り直したり(リターンライダー)、昔の夢を実現しようと新たに乗り始めたり(遅咲きライダー)したためと思われる。大型二輪免許が取得しやすくなったことも中高年ライダーの増加に拍車をかけた。また任意保険の保険料で運転者年齢が30歳以上の場合大幅に安くなる事も要因の一つとして上げられる。オートバイ評論家の小林ゆきは、ライダーの高年齢化に伴いメーカのラインナップにも変化がみられていくだろうとしている。城繁幸のように、シニアをターゲットとした贅沢品の代表として大型オートバイを挙げる論者もいる。

その他

リサイクル

二輪車は使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の対象外であるが、日本の大手4社が自主的な取り組みとして、2004年10月1日から二輪車のリサイクルを行っている。

排ガス規制

日本では過去二輪車は、自動車排出ガス規制の対象外であったが、1998年(原付一種・軽二輪)/1999年(原付二種・小型二輪)の新型車から平成10年度排出ガス規制の対象とされ、2008年9月には平成18年度排出ガス規制により輸入車も含む全車両において数値の強化が行われる。国土交通省によれば「世界で最も厳しいレベル」という。

結果として、四輪車と同様

といった現象が起きている。

騒音規制

日本における二輪の自動車騒音規制は何度か数値が変更されているが、現在適用されているものは平成10年度(原付一種・軽二輪)および平成13年度(原付二種・小型二輪)騒音規制によるものである。この騒音規制による数値は他国にない世界一厳しいものであり、この規制により国内メーカー車の国内販売すら妨げられ、海外においてのみにしか販売されない状況に置かれている車両が多い。

なお、この騒音規制は輸入車および改造車は一部規制値が適用除外となっているため、改造マフラーなどによる騒音問題の観点から、これらの車両にも新車同様の規制値を全面適用する動きがあったが、輸入車種の減少を懸念したライダー及び二輪業界から反論があったため、現在は規制値の見直しが検討されている。

駐車場問題

日本では、従来原動機付自転車以外原動機付自転車だけは、自転車法によって自転車と共に駐車場所(駐輪場)の整備が、早い時期から義務づけられていた。のオートバイ用の駐車場は、駐車場法といった法律や条例でその整備が義務づけられていなかった。そのために、(特に土地面積に余裕の少ない都市部では)実質的にオートバイ用駐車場はほとんど無いという状況であった。そこでオートバイ用駐車場がないからと四輪車(自動車)用の駐車場や自転車および原動機付自転車用の駐輪場を利用しようとしても、法律で対象外とされていることを理由に管理者等に断られる場合も多かった。またオートバイは路肩歩道上などに駐車しても四輪車に比べて占有面積も少なく迷惑となりにくいこともあって、周囲に多大な迷惑を掛ける駐車方法でもない限りオートバイは駐車違反の取締りから実質的に除外されることが多かった。こうした法律上の不備によるオートバイ用駐車場の深刻な不足と、それに起因するオートバイの駐車違反に対する慣例的な対応(お目こぼし)という状況が、駐車場法制定の1957年から数えると50年近くも続いてきた。つまり、オートバイの駐車場問題そのものは以前から存在していたのだが、従来は問題であるとすら社会的に認識されていなかった感がある。[http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200506/12.html 都市交通における二輪車の役割に関する研究 | JAMAGAZINE 2005年6月号]、問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題内「社会から今までまともに扱われなかったバイクの存在」、問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題(2)内「法の狭間に落ち込んでいた自動二輪の駐車問題」

ところが、2002年交通バリアフリー法施行後から、特に歩道上に駐車されたオートバイに対する駐車違反取締り実施が徐々に目立つようになり問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題(2)内「やがて交通バリアフリー法に行き当たる」、その後2006年6月1日より改正道路交通法が施行されると駐車違反の取締り方法が変更され、オートバイ用駐車場の深刻な不足が改めて顕在化した。駐車違反取締りの一部業務の民間業者への委託が始まり、それと同時にオートバイの駐車違反も四輪車と同様に厳しく取締るようになったからである。このオートバイ用駐車場の深刻な不足は道路交通法改正にあたっても指摘されており国会質問会議録、対応策として駐車場法の改正もやや遅れながら(2006年5月31日公布、同年11月30日施行)行なわれ、それまで対象外だったオートバイも駐車場法による駐車場整備の対象となることとなった。しかし、この改正駐車場法はあくまで施行後に計画あるいは建築された施設等が対象であるために、オートバイにとっては駐車違反取締りはすぐに厳しくなるが駐車場はすぐには増加しないことに変わりはなく、以前からのオートバイ用駐車場の深刻な不足もあって2005年に実施された日本二輪車協会(NMCA)の調査によると、民間駐車場の8割(78.6%)がオートバイの駐車は"お断り"で、オートバイ専用駐車枠を設けている民間駐車場は500件中28件(5.6%)だという(二輪車駐車環境の向上をめざして(調査報告書))。また、東京都道路整備保全公社の2006年時点での調査によれば、東京都心22区におけるオートバイの駐車実態が1万3000台に対して、その駐車供給量は約1000台分しかなかったという(早急に考えられるべき、附置義務駐車場の増加)。、都市部など地域や場所によっては「駐車違反で取り締まられたくなければオートバイに乗らないようにするしかない」という状況が発生するようになった。

ちなみに首都圏では、2006年の道路交通法改正以降オートバイの駐車違反取締りが急激に増加している。警視庁や警察庁の情報公開によると、東京都内のオートバイ駐車違反取締り件数は1998年に3875件だったのが2002年に1万3918件と初めて1万件を超え、その後も徐々に増加していたが、2006年に道路交通法が改正されると途端に10万件を突破、2007年には26万6806件となっている。これはオートバイだけで比べても、1998年からの10年間で68倍に増加、道路交通法改正直前の2005年と比較しても5倍に増加したことになる。10年で68倍Web魚拓こうした傾向は全国的にも同様であり、改正道路交通法施行前の2005年には全国でのオートバイ駐車違反取締り件数が約11万件だったのが、2006年には改正道路交通法施行後のの半年(6月から12月まで)だけで約23万4千件、翌2007年には1年間で約52万1千件と、やはり急激に増加している。asahi.com:二輪の駐車違反急増、過去最多 (Web魚拓)、二輪の駐車違反、過去最高52万1千台Web魚拓なお、道路交通法改正後の駐車違反取締り件数の増加は四輪車を含めた全体でも起きているが、2007年中の全国駐車違反取締り件数が四輪車とオートバイをあわせて300万4383件で前年比105万595件(53.8%)増加であること平成19年中の交通死亡事故の特徴及びを考慮すると、オートバイだけでの増加率は異常に高いといえる。また、オートバイの駐車違反取締り件数増加が著しい首都圏では2006年以降はオートバイの新車販売数が減少している二輪界Web魚拓

という情報もあることから、オートバイの利用台数が増加したりしたせいで駐車違反取締り件数が増加した訳ではないこともうかがわれる。

これまで述べてきたような、オートバイ用駐車場の深刻な不足やそれに起因する駐車違反取締り件数の増加という状況は、2008年現在もあまり改善されないまま継続中である。特に、状況が深刻な首都圏などの都市部ほどオートバイ用駐車場として利用可能な土地面積が限られていることもあり、今後も改善は急速には進まない可能性が高い。警察や自治体などでも具体的な打開策を見い出せていないところが多く、仙台市浜松市といった一部の自治体以外では仙台市は市内に4000台以上のオートバイ用駐車場を備えており、浜松市は浜松駅周辺に無料のオートバイ用駐車場を多数用意しているが、これらはあくまで少数派あるいは例外的事例である。(バイク駐車場問題、あなたはどこまで知っていますか?内「全国の地方自治体の取り組み」)、多くの地域でオートバイ用駐車場の深刻な不足という状況が続いている。また前述の通り、首都圏ではオートバイの販売数が減少するといった影響も発生しており、この問題がオートバイ業界の不況にも繋がりかねないと懸念する意見も出てきている。

なお参考ではあるが、欧州(ヨーロッパ)各国でのオートバイ用駐車場の事情はというと、欧州では乗員1人あたりの道路占有面積が小さく特に短距離の移動に適するといったオートバイの合理性や利便性に対する認識が比較的高く、それらを活かして都市部での道路交通渋滞や駐車場不足を軽減するために、都市や道路の整備計画にてオートバイ用駐車場整備を考慮し、むしろ日本とは逆にオートバイの利用促進を図っている事例も多い。そのために欧州の都市部では、道路脇などにオートバイ専用の駐車場所が設けられていることもしばしばである。欧州各都市に見られる二輪車駐車事情

脚注

関連項目

外部リンク

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