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オブジェクト指向

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
オブジェクト指向(オブジェクトしこう)とは、オブジェクト同士の相互作用としてシステムの振る舞いをとらえる考え方である。英語の object-oriented (直訳は、「モノ志向の」・「モノを重視する」という意味の形容詞) の日本語訳である。

オブジェクト指向は、当初プログラムの構造をオブジェクト群の相互作用とおよびその雛形であるクラス群の関係として捉え、プログラムコードを書き表すオブジェクト指向プログラミング (OOP; object-oriented programming) から始まっているが、その後、システム開発における要求分析フェイズにおいて、開発しようとする対象領域の構成要素をオブジェクトとして発見・定義していくオブジェクト指向分析 (OOA; object-oriented analysis) 、システムの動作や構造をオブジェクトとクラスとして記述するオブジェクト指向設計 (OOD; object-oriented design) のための、技術としても広く発展・普及することとなった。

オブジェクト指向の枠組みが持つ道具立ては、一般的で強力な記述能力を持つ。特に複雑なシステム記述、巨大なライブラリ(特に部品間で緊密で複雑な相互関係を持つもの)の記述においては、現実問題としてオブジェクト指向の考え方は必須であるといえる。

「オブジェクト指向」の定義

オブジェクト指向」という用語はときとして曖昧に使われることがある。

これらのどれかのことを指してオブジェクト指向と呼ぶことがある。

パラダイムとしてのオブジェクト指向

オブジェクト指向分析が提唱される以前には、システム分析のレベルにおいては、データ構造を中心としたシステムの分析技法である構造化技法が存在した。

また、プログラミングのレベル (プログラミングパラダイム) では、プログラムの実行の流れを決められた制御構造の組み合わせとして書き下す構造化プログラミングや、カプセル化を促すモジュールプログラミング、多態に対応するデータ指向プログラミングという技法が存在していた。

これらに対し、オブジェクト指向手法はそれらを一般化しさらに推し進めたものであるという考え方がある。

オブジェクト指向分析オブジェクト指向設計に基づいてシステムを実際に開発する際には、オブジェクト指向プログラミング言語 (OOPL; object-oriented programming language) を用いる必要は必ずしもない。ただし、オブジェクト指向によるシステム分析結果を実装するには、プログラム構造とのセマンティクスギャップが少ないオブジェクト指向プログラミング言語を用いるのが普通である。

なおオブジェクトという用語は時に「もの」という直訳語で認識される場合があるが、英語のobjectには「目的語」、または「目的となる対象物」という意味がある。従ってオブジェクト指向は本来「述語(機能)よりもその対象を中心に据える」というニュアンスをもつ用語である。

オブジェクト指向開発方法論・プロセス

オブジェクト指向開発の方法論として、Booch法オブジェクトモデル化技法 (OMT) 、オブジェクト指向ソフトウェア工学 (OOSE/Objectory) などが提唱されていた。

近年、これらの各種の方法論で使用するダイアグラムの表記法は、OMG (Object Management Group) によって UML (Unified Modeling Language; 統一モデリング言語) として1997年に標準化されており、以降はほとんどのオブジェクト指向開発方法論においてUMLが採用されている。

オブジェクト指向プログラミングの構成要件

オブジェクト指向プログラミングを構成する概念には、次のようなものが挙げられる。

カプセル化
オブジェクト内部のデータを隠蔽したり(データ隠蔽)、オブジェクトの振る舞いを隠蔽したり、オブジェクトの実際の型を隠蔽したりすることをいう。
継承
あるオブジェクトが他のオブジェクトの特性を引き継ぐ場合、両者の間に「継承関係」があると言われる。
ポリモーフィズム (多態性)
あるオブジェクトへの操作が呼び出し側(sender)ではなく、受け手のオブジェクト(receiver)によって定まる特性。

関連項目

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