読み込み中...クリップス(Crips)とは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州、ロサンゼルスで誕生し、カリフォルニア州のみならず、今やアメリカ全土合衆国全土に多数存在する、アフリカ系アメリカ人による二大ストリートギャングの一つと言われる集団のことである。
1969年にレイモンド“レイレイ”・ワーシントンが15歳の頃に創設したベイビー・アベニュースが成長・発展したギャング組織であり、1971年より参画するスタンリー“トゥッキー”・ウィリアムズやその他の初期メンバー等の活動によって悪名を馳せ、時と共に組織が巨大化し、現在は3万人を超えるメンバーを抱えると言われている。その膨大な構成人数だけでなく、アメリカ国内における凶悪性は有名であり、強盗や麻薬取引を主として、時には殺人に手を染め、それらのギャング活動による非合法な収益によって日々の生活を満たしている。その活動の多くは、個々の地域やコミュニティに点在する「セット」と呼ばれる小さなグループ単位で行われており、全体としては大所帯ではあるが、セット毎の自由な活動によって組織されているために組織全体としての活動は皆無に等しく、セット単位での活動に留まる場合が多い。
クリップスの外見的な特徴として、帽子やバンダナ、靴紐等の衣類の一部に青色を用いることが知られている。しかし、彼等の活動が凶悪化して社会問題となると、青色を身に着けている事で警察の厳しい取締りを受けるようになったため、衣服に青色を用いることが次第に警戒され、やや暗色な紺色が用いられるようになった。セットの名称や起源によって基調とする色が異なり、黄色や紫色、黒色、緑色等を容姿に取り入れている場合もある。
アフリカ系アメリカ人によって構成される、もう一つの二大ストリートギャングであるブラッズや、メキシコ系アメリカ人によって組織される諸々のギャング達とのシマを巡る争いや境界線を巡る小競り合いが続いているが、イリノイ州、シカゴに本拠地を置くヴァイス・ローズ(Vice Lords)とテネシー州、メンフィスでの麻薬取引が明るみに出たことにより、1990年代前半に見られた大規模な争いは一時的に停滞していると言われている。
外見的な特徴として、黒いレザージャケットを羽織り、左耳たぶにピアス、手に杖を携帯して練り歩くブラックパンサー党員を模倣した容姿であり、当初のメンバーの多くが熱心に重量挙げに勤しむ筋肉質体形であったと言われている。
その結果、当時のクリブスの悪事の数々が紙面を賑わすようになり、1972年2月10日のロサンゼルス・センティネル誌に「杖を突いた障害者達(Cripples)による、初老の日本人女性に対する事件」として紙面掲載されると、クリブス(Cribs)という呼称が、次第にクリップス(Crips)という呼称に転じ、ロサンゼルスの人々に認知されるようになったのではないかと言われている。
1972年以降、クリップスによる犯罪はさらに凶悪さを増し、象徴ともいえる黒いレザージャケットを得るために、若い世代による強盗が頻発するようになった。多くの場合、老人や年齢の離れた少年少女が標的とされ、裕福な家庭に育った者は格好の的であった。皮肉にも、報道記事の掲載された1972年2月10日から3日後、レザージャケットを欲しがる思いが高じて、クリップスのメンバーによる初めての殺人が行われた。被害者はロサンゼルス高校に通っていた16歳の高校生で、ギャングに所属していないにも関わらずクリップスに襲われ、レザージャケットや財布を奪おうとすることに反抗し、後に路上で殴り殺されているのを発見された。数日後、クリップスに属する9名の若者が殺人を理由に逮捕されることになったが、クリップスという組織に全ての責任があることを理解していながら、組織に対して逮捕・訴追することは出来なかったという。
名称の起源としては諸説あり、中でも先述したロサンゼルス・センティネル誌における記事がきっかけとなった説が最も有力だとされている。
この説は2番目に信憑性の高いものとして捉えられている。しかし、深刻な貧困や差別に抗う組織として付加された名称としてはそぐわない意味を内包しており、信憑性に欠ける部分があるとして、それほど重要視されていない。
この説は、特に日本国内において信憑性のあるものとして捉えられているが、当初のベイビー・アベニュースの創設理念を考慮すると後付けのバクロニムである可能性が高く、この名称由来についての信憑性は低いと見て良いだろう。
この説が囁かれた期間があったとされているが、これは一般市民からのギャング活動に対する同情を得るための偽計であったことが報告されている。
この説は最も裏付けに乏しいため、特に信憑性は低いと見て良いだろう。
しかし、今やギャング活動とは全く無関係な人々がC-Walkをダンスとして親しんでいることに対し、懸念を示しているクリップス出身のアーティストや著名人も少なくない。
加えて、「80年代以降に表れたラップアーティスト達がギャングを気取り、過剰な表現をすることによって、事実ではない事でも、あたかも事実であるかの様に楽曲で表現していることも、ギャングに対する誤解を招いている」と、創設メンバーの一人であるマイクコンセプション(Mike Conception)は語っている。
他にもエイティーンス・ストリート・ギャングやスレーニョス、ノルテーニョス等のチカーノで構成される大所帯のギャング組織や、中国系アメリカ人やベトナム系アメリカ人による組織も少数規模だが存在しており、現在もこれらのギャング組織間での小競り合いは多少ながら続いている。
しかし、本来は抗争を行う為だけに作られたギャング組織ではない事を懸念する声も多く、「ギャングスタと呼ばれているのはギャングという意味ではなく、あくまで”コミュニティ”としての名称だ。」とかつての創設メンバーの一人であるスタンリー・ウィリアムズは語っている。なお、ウィリアムズは獄中から子供たちへの「犯罪と命の尊さ」を題材に数々の児童書を発表。その功績により、過去に7度ノーベル平和賞候補に選ばれている。
本来ならば、手を取り合わなければならない同じ人種が抗争の激化を辿り、ギャングによる犯罪が増加した背景には、先に記述したように“ギャングスタラップ”と呼ばれるヒップホップなどの音楽界での過剰な遇想と表現や、マスメディアによる一方的なギャング批判によって感化されてしまったこと等も挙げられる。通常ゲットーと呼ばれる再開発地区(プロジェクト)は、貧困による将来への悲観とコミュニティ外からの脅威と戦わなければならず、コンプトンやワッツ、スローソン等に代表されるサウスセントラル地区に追いやった、白人の有色人種に対する人種差別が事件の根本的な背景になっている事も問題視されている。
また、セット毎に身に着ける衣服や「ハンドサイン」と呼ばれる象徴的な手信号、壁面やインフラ設備等に描かれる「ギャング・タグ」が異なり、それらの違いによって私達は外見的にセットの相違を知る事が出来る。
クリップスに属する主なセット(アルファベット順)