読み込み中...クロスオーバーSUV (単に「クロスオーバー (Crossover)」、もしくは、CUV; Crossover Utility Vehicle)は、自動車のカテゴリのひとつ。
SUVと呼ばれる自動車のうち、フレーム構造ではなく、モノコック構造(monocoque、またはunibody)を持つものを指す。実態としては、「乗用車をベースにしている(乗用車向けのプラットフォームを利用している)SUV」、のことである。
フレーム構造を持つことが多い本格的なSUVと比べて、オフロードでの走行性能や耐久性では劣るものの、1)舗装道路での乗り心地に優れる、2)比較的軽量である、3)燃費に優れる、などの利点を持つ傾向があり、今日ではSUVの主流となっている。現在、大型のものから小型のもの、高級車から大衆車まで、各国の自動車メーカーから多様なクロスオーバーSUVが販売されている。ピックアップトラック出自のSUVと較べ、モノコックボディーによりNVHに優れること、走りの面でも、乗用車系のシャーシに起因して、特にFRレイアウトがベースのクルマでは、オンロードでのパフォーマンスが高いこともアドバンテージとなっている。
米国ではクロスオーバーSUVは乗用車に含まれるカテゴリー名であり、税区分や保険区分上もトラックであるSUVとは異なり、区別されている。
そこまでしてオフローダーやSUVと差別化する理由は、上級イメージを市場に浸透させ、販売価格を高めに設定するため。もともと乗用車との部品の共用で、開発、製造コストを抑えているため、収益性が非常に高くなり、これがメーカーにとっての旨みとなる。
メカニズムを共有する兄弟SUVがある場合でも、各メーカー内でのCUVの企画とスタイリングは高級車部門が担当しているケースが多い。販売面でもイメージを保つことには留意されており、たとえばレクサス・RXとトヨタ・ハイランダーを同じショールームに置くことは、契約上禁止されている。(これら2車は、何れもクロスオーバーSUVである。このような契約が実際にあるとすれば、それはブランド戦略上の意図によるものであろう)SUVでは2輪駆動の比率が増える傾向にあるが、CUVには今のところ2駆の設定は無く、エアサスなどを利用した車高調整機能を装備するものも多く、収益性向上に貢献している。
車台は乗用車で主流のモノコック構造であり、足回りなども乗用車ベースとなっている点がトラックのシャシーをベースとするSUVとは異なる。一見オフローダー風の外観をしていても、フレームを持たないため、ヘビーデューティー用途には向いていない。つまり、一般的にはラフロード性能が劣る。ただし、優秀な4WDシステム、トラクションコントロール、LSD、ローギア、デフロックなどを装着することにより駆動力面で補おうとする車種も見られ、駆動力が伝わりにくい・滑りやすい路面等では古典的なSUVよりもむしろ走りやすい車種もある。一方、操縦安定性やハンドリング、NVH、燃費性能には、一般的に優れる。ドイツ車では、性能の向上を目的とした「専用に近い車両プラットフォーム」を持つものが多い。
北米市場好みの、スポーティーで大胆なスタイルとされることが多い。デザインも派手なものにされている。
クロスオーバーSUVはCUV(Crossover Utility Vehicle)またはCrossをXと表記してXUVとも表記される。「クロスオーバー・ビークル(Crossover Vehicle)」という考え方が米国で1990年後半に形作られる。これは「異なる種別の車を混ぜ合わせた」という意味で直訳で「クロスオーバー車」ともいわれ、また、英語でも略してCrossoverのみでも使用される。この意味では、車輌製作側の概念上、特にSUVに限らず、多くは試作車として「クロスオーバー・ビークル」が作られていた。これらは『ハイブリッド・ビークル』と呼ばれることもあるハイブリッドは、日本語における自動車関係の文章では電気モーターエンジンとガソリンエンジンを併用した自動車に使われることが多いが、第一義の意味では遺伝学の分野で動物や植物で異なる親から生まれた(発生した)子孫を指す用語。この意味で、ハイブリッドの日本語訳としても雑種、混合、まじりっ気のあるというのが基本的な意味である。英語での同義の用語としてクロスブリーディングがあり、同様に車においてもクロスオーバーとハイブリッドは同義となる。。その中で市場に最も受け入れられたもの、つまり販売可能なものが「SUVと乗用車とのクロスオーバー車」だった。これがクロスオーバーSUVである。
2006年時点で、米国では「SUV」という用語がすでに30年以上にわたって使用され、カテゴリー用語として定着した一方で、消費者の心をつかむためのマーケティング用語としては陳腐化も起こっている。1990年代末から、SUVに対する安全性への指摘がなされ、SUV批判が起こったが、まだ有識者の間でのみだった。しかし、2003年末から起こったガソリン価格の高騰は1ガロン=2ドルを超え、3ドルに達する。高騰が長引くにつれ、燃費の悪いSUVの販売は落ち込む。SUVブームの中心にあり、ブームを自身で推し進めていた米国の2大メーカー、GM、フォードはこの10年間の収益の軸をSUVにおいていたため、SUVの販売落ち込みは会社の経営に影響した。そのため、特に両社では、SUVのマイナスイメージに引きずられないよう、クロスオーバー系の車両に関わらずマーケティングにおいてSUVを想起させない(思わせない)アプローチがなされはじめている。つまり、SUVという言葉を使わない方向に向かいつつある。
歴史を遡(さかのぼ)れば、乗用車をオフロード風に仕立てた車がある。英語版Wikipediaによれば、この始祖が1957年ソ連で生産されたモスクビッチ410(Moskvitch 410)であるが、これは日本の感覚では「生活4駆」の範疇に含まれる。乗用車ベースのものでは、他にも1971年のスバル・レオーネ、1977年のラーダ・ニーヴァ、1980年のAMC・イーグルがよく知られている。イーグルはジープ一族ならではの造りを見せる、本格オフロードカーであり、XJチェロキー誕生の原動力ともなった。
一方、欧州でも、欧州クライスラーのタルボ-マトラが1977年、ランチョを発表している。ランチョはFF乗用車のシムカ 1100をベースとしたフルゴネット(ライトバン)である、「シムカ 1100 VZ2」にオフローダー風の「お化粧」を施したモデルであり、4WDでもなく、自動車史の上ではレジャーカーとして認識されている。SUVは米国で広まった自動車のカテゴライズ。SUVの本場である米国では、1961年のインターナショナルハーベスタースカウト(International Harvester Scout)や、1963年のジープ・ワゴニア(Jeep Wagoneer SJ)をSUVの始祖としている資料が多い。その後、それらにヒントを得たビッグ・スリーが、2代目フォード・ブロンコ(Bronco)、シボレー・K5 ブレイザー(Chevrolet K5 Brazer)、ダッジ・ラムチャージャー(Dodge Ramcharger)など、フルサイズピックアップの荷台にシェルを被せたワゴンをリリースし、一気に市民権を得るに至り、SUVの呼び名が定着した。
1984年頃チェロキー (XJ)のヒットにより、それまでオフローダーに縁の無かった乗用車ユーザーにもSUVが浸透し、基本的なカテゴリーとして認知されるようになった。
チェロキーはフルサイズSUVとは異なり、ビルドインフレームのモノコック構造である。しかしその市場に参入を目論んだGMとフォードは、一から起こすよりは開発が容易で、すぐさま市場投入可能な、コンパクトピックアップベースのフレーム構造としたこと、そして、その点を優遇税制に結びつけ、SUVのフレーム構造をウリにしたことにより、法律上(特に自動車税法上)のSUVの定義が定まっていった。米国の自動車税がトラックでは安価であることから、同じフレーム構造を持つSUVという点を強調し、業界をあげ、政府に働きかけた結果、SUVもトラックとして分類されるようになった。この点が、特に米国において、フレーム構造であるかどうかを重視する考え方のスタート地点となっている。
政治的な面以外でも、フレームの「しなり」を好むユーザーが多く、オフローダーの中にはねじれるフレームもサスペンションやスプリングの一部、と肯定的に捉えている者も多い。
かくして、日本人には線引きが判りづらいSUVとCUVとの違いであるが、米国では、見た目や乗り味といった、商品性と、税制の両面の差が訴求ポイントとなっており、顧客の多くが関心を持つに至った。
1990年代にはSUVは米国で一般カテゴリーとなっていたが、日本では1990年代になっても、まだ「RV」や「オフロード車」といったカテゴリー表記が主流であり、2000年を越える頃まで「SUV」という表記は米国系SUVなどに対して『米国ではSUVというジャンルになる』という紹介や、一部の愛好家向けメディアで使用されるに過ぎなかった。
日本では、1992年になって初めて統計上「RV」という言葉が用いられ自工振ニュース No.48(1997年2月10日) http://www.jama.or.jp/release/jmif/news/19970210.html、さらに1996年になってやっと自動車販売協会連合会が、RV統計を取り始める。
RVは1980年中頃にはオフロード車のことを指すマーケティング用語として広く使用されていた言葉だったが、80年代後半にワンボックス、90年代になりステーションワゴンがRVの概念に追加され、ようやく1996年はRVという言葉を業界が統計上の公式に認めた年となったばかりであった。日本のマーケティングでは「SUV」など、まだ一般が耳にすることはなかった時代だった。
1994年、ライトクロカンと当時の日本でよばれたカテゴリにトヨタが参入する。それが初代RAV4だった。当時の日本ではRVがブームとなっており、ライトクロカンも戦略上RVカテゴリへ編入された。「RAV」とは「Runnabout Activity Vehicle(ラナバウト・アクティビティ・ビークル)」の略語で、重厚長大な4クロスカントリーカーとは一線を画くクルマであることが車名に現れている。
それ以前のRVは三菱・パジェロなどトラックベースのオフローダーが主流であり、トヨタもトヨタ・ランドクルーザー、トヨタ・ハイラックスサーフなどで時流に乗っていた。しかしながら、実際にオフロード性能を必要としているユーザーは数少なく、またボディの大きさに比べ車室は狭く、トラックベースの乗り心地は快適ではなく、車輌の重量のために燃費も悪かったが、1980年代後半から起こったバブル経済の好況に支えられ、多くの乗用車からの乗り換えユーザーが、ファッションとしてRVを購入していた。そこで、コロナやセリカのプラットフォームをベースに、RV風の外観と、新たに起こされたリアサスペンションにより、侮りがたいオフロード性能を発揮し、乗用車としての経済性、快適性とRVの持つファッション性を両立させたのが初代RAV4で、日本国内や欧州の市場で好評を得た。
一方、RVに与えた影響という観点から見ると、同年1994年はホンダからオデッセイが投入された年であり、多くの日本のメーカーが自社製オデッセイを求めた結果、ミニバンブームへとつながっていく。1990年にはトヨタもエスティマを投入するが、一般にはワンボックスカーととらえられていた。カテゴリとしてのRVはオデッセイの登場により大きく概念を変え、(ホンダ自体は初代オデッセイをミニバンとは決して呼ばなかったが)後にミニバンとよばれる車がRVに組み入れられるほど(のちにはミニバン自体がカテゴリとなる)の影響力であったが、一方のRAV4の登場では、RV市場への影響はそれほどでもなかった。ライトクロカン自体は1988年のスズキ・エスクードが行きわたっていたことや、ジムニーやロッキーなど、より小型のオフロードカーもあったことで、業界関係者が目を見張る内容の割りに、一般ユーザーには、新しさとしてのインパクトは伝わりづらかった。
米国では事情が違っていた。すでにスズキ・エスクードがGM傘下で、1989年からジオ・トラッカー(Tracker)として投入されていたにも関わらず、GMのSUVの元ではそれらは注目を浴びていなかった。1996年、初代RAV4が北米投入される。視点が高く、そこそこのユーティリティーを備え、四輪駆動も選択できるというSUVの利点と、ハンドリングや燃費がよいという、乗用車の利点を併せ持っていた。米国自動車ジャーナリズムは、それまでのトラック出自のSUVに対するRAV4の洗練度をして、『クロスオーバー』という「新カテゴリ」名で呼ぶようになる。
トヨタの動向をにらみ、ホンダもシビックをベースとし、日本国内で1995年に発表されていたCR-Vを、米国ホンダの要請で1997年2月に北米投入したが、売れ行きは悪くは無かったものの、RAV4共々サイズが小さいことが影響して、マーケットを席巻するまでにはならなかった。
1998年には、スバルが1997年2月から日本で販売開始していたフォレスターを米国投入する。さらに、フォード買収以前から準備されていたボルボV70 XC AWD(ボルボがボルボ850ベース)が1998年モデルとして投入されている。これは後にXCシリーズとして独立発展する。ユーザーの視点からは、ステーションワゴンをベースに、より車高を上げてSUVのスタイルとメリットを享受できるクロスオーバーSUVではあったが、スバル・レオーネ(Leone)やAMCイーグル(Eagle)の焼き直しの感が強く、作る側、つまりエンジニアリングの視点からは、RAV4ほど野心的な発想ではなかった。
1997年、トヨタがカムリをベースとして、凡庸な設計ではあるものの、スタイリングや動力性能に優れた高級クロスオーバーSUV、トヨタ・ハリアーを日本市場に投入した。それまで、SUVは高額ではあったものの高級車としては認知されていなかったが、これを機に高級車として市場に受け入れられるようになった。そして1999年にレクサス(RX)として米国に投入されると、ハリアーは大きな反響を呼び、これにてようやくクロスオーバーSUVが、米国でカテゴリとして認知されるようになるきっかけとなった(その点でトヨタ・ハリアーはひとつの功績を残したといえる)。この評判を元に、日本市場でもさらなる高級CUVを開発すべくマーケティングに力が入った。レクサス RXの米国での成功は、SUV市場の成り行きを見守っていた欧州高級車メーカー勢をも刺激することになった。新たな市場が出現したことで、フレーム式シャシーを持たないメーカーでも車種展開できる環境が整い、各国からクロスオーバーSUVが続々と登場することとなる。
日本では2000年を過ぎるとSUVがカテゴリとして自動車業界自身がマーケティングに使用するようになった。従来はRVカテゴリにあった「クロスカントリー車輌(オフロード車輌)」および「ライト・クロカン(オフロード風車輌)」を置き換える用語となった。この時点でもまだ日本ではクロスオーバーというカテゴリはまだ一般に使用されていなかった。一方、自動車ジャーナリズムでもSUVが根付きはじめた2004年頃から、乗用車ベース車輌を米国同様にクロスオーバーと表現するようになってきた。日本では税もふくめてSUVとクロスオーバーSUVを法律上明確にカテゴライズする必要性がないこともあり、メーカーの表現が変わるのはこれからと見られる。
米国でのSUVブームと、それに続くクロスオーバーブームを見た欧州勢も、同様のアプローチを行い、2000年にはBMWは米国でデザインさたX5(E39 5シリーズベース)を北米へ投入。これは、1994年にローバーを買収したことで、レンジローバーの技術とマーケットに触れたことも、強い動機となっている(ランドローバーは後にフォードに売却された)。
これまでSUVを手がけたことが無かったBMWであったが、X5はその驚異的な走りから、瞬く間に各メーカーのベンチマークとなった。
X3がそれに続き、2004年モデルとして2003年後半、北米に投入された。
クロスオーバー車が認められると、米国では、エスクード市場は、ミニ・クロスオーバーSUV市場として、RAV4、CR-V市場はコンパクト・クロスオーバーSUV市場として、レクサスRXは、ミッドサイズ・エントリーレベルラグジュアリー・クロスオーバーSUV市場としてそれぞれのマーケット(市場)を確保した。
現在、日産ムラーノ、アキュラRDX、マツダ・CX-9、マツダ・CX-7、Lincoln MKX(2007年モデル)等々が続く。
トヨタやレクサスなどの、販売台数に勝るクロスオーバーSUVも凌駕するその走行性能やユーティリティ性は、21世紀においても、アウトバックという共通名称で全世界で人気を博している。
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