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クロストリジウム属

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

クロストリジウム属(Clostridium)は、真正細菌の一偏性嫌気性芽胞を形成するグラム陽性桿菌である。

クロストリジウム属の菌は、土壌内部や生物の内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できない。一般に偏性嫌気性菌は、スーパーオキシドディスムターゼカタラーゼなどの活性酸素を無毒化する酵素を持たないため、酸素がある通常の環境下では不活化するが、クロストリジウム属の菌は酸素存在下で、耐久性の高い芽胞を作って休眠することで、死滅を免れることができる。この性質から、他の偏性嫌気性菌が生き残れない状態でも生き残るため、偏性嫌気性菌の中では比較的古くからその存在が発見され、研究が進められてきた。

クロストリジウム属の一部には、ヒトに対する病原性を有するものも知られている。中でも、破傷風菌ボツリヌス菌などは、強力な神経毒を産生する。

代表的なクロストリジウム属菌

破傷風菌 (C. tetani):土壌中に芽胞の形で多く存在。傷口から感染し、テタヌストキシンを産生して破傷風の原因になる。
ボツリヌス菌 (C. botulinum):土壌中などの自然環境中に存在。ソーセージ真空パックの食品内部で増殖してボツリヌストキシンを産生し、その食品を食べた人はボツリヌス食中毒を起こす。ハチミツなどに含まれる芽胞が乳児の腸内に定着する乳児ボツリヌス症なども起こす。
ウェルシュ菌 (C. perfringens):ヒトや動物の腸内に生息する常在菌の一種だが、一部の菌種は毒素を産生して、食中毒の原因になる。また傷口に感染して、重篤なガス壊疽を起こす事もある。クロストリジウム属の中では例外的に、鞭毛を持たない。
ガス壊疽菌群:傷口に感染して、重篤なガス壊疽を起こす。C. novyi, C. septicumなど。
クロストリジウム・ディフィシレ (C. difficile):ヒトや動物の腸内に生息。抗生物質に比較的抵抗性で、抗生物質大量投与時に、他の腸内細菌が死滅したときに過剰に増殖して(菌交代症)、偽膜性大腸炎の原因になる。
クロストリジウム・サーモセラム (C. thermocellum): 好熱性。セルロソームという特徴的な酵素複合体を有し、効率的なセルロース分解を行う。セルロソームは足場となるスキャフォルディン(scaffoldin、scaffold(足場)が語源)というタンパク質の上にコヘシン(cohesin、cohere(結合)が語源か)というタンパクが乗っており、それがセルラーゼ(厳密にはヘミセルラーゼなども含む。)上のドッケリン(dockerin、dock(繋ぐ)が語源)と結合して数百万の分子量の巨大なものとなっている。
クロストリジウム・ブチリカム (C. butyricum): 酪酸菌群を含み、整腸剤としても用いられる 腸内常在菌「宮入菌」など有用な株がある一方、一部の株はE型ボツリヌストキシンを産生し食中毒の原因となる

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