読み込み中...「ゲット・バック」("Get Back")は、1969年4月にビートルズが発表した19枚目のオリジナル・シングル曲である。
レノン=マッカートニーの作品。実質的にはマッカートニーの作った楽曲である。リードヴォーカルはポール・マッカートニー。リードギターとコーラスはジョン。曲のクレジットは、『ザ・ビートルズ・ウィズ・ビリー・プレストン』で、プレストンはこの曲では電子ピアノを担当している。
アルバム『ザ・ビートルズ』の制作中よりビートルズのメンバー間に音楽性の違いや録音技術の発達によるすれ違いが大きくなりはじめた。そうしたビートルズ状況を危惧したポールが、「もう一度原点に戻ってやり直そう」と始められたゲット・バック・セッションのために作られた曲である。
曲の原題は "(Don't Dig )No Pakistanis" (「パキスタン人は要らない」)というものであった。というのは、この曲が完成する前年頃からパキスタン難民1971年にパキスタンのベンガル地方、いわゆる東パキスタンがバングラデシュとして独立しているが(第3次印パ戦争)、それにいたるまでの混乱で東パキスタンの住民の一部が難民としてイギリスに流入していた。が自国民の職域を侵すとイギリスで大問題になり、排撃しようという空気が漂っていた。人種排撃を嫌うポールは歌にして自国の現状を逆説的に訴えようとしたが、逆に人種排撃に繋がるとして結果ボツになり、その後他愛ない歌詞に改められタイトルも「ゲット・バック」とした。
歌詞中にあるジョジョとはジョン・レノンのことであるといわれる。ビートルズとしての活動意欲を徐々に失い、ヨーコとの関係に重きを置くようになったジョンに対して、ポールが戻って来いと呼びかけているもの考えられている。しかし、ポールがこの曲の "Get back to where you once belonged"(元いた場所に帰れよ)の部分を歌うときにヨーコのほうを見ていた、とジョンから責められたことがあり、ヨーコに向けられた歌という解釈もできる。
「ゲット・バック」は1969年1月30日、アップル本社の屋上でのビートルズ最後のライヴ演奏である「ルーフトップ・コンサート」でも演奏された。
屋上ライヴでは3回演奏され、ライヴのラストでもある3回目では、ジョンとジョージのギターアンプが切られ、ベース、ドラム、キーボードのみしか聞こえない箇所がある(ザ・ビートルズ・アンソロジー3収録)。
「ゲット・バック」のリアル・ステレオ・ヴァージョンは1970年5月にリリースされたアルバム『レット・イット・ビー』に収録された。しかし後述の通りプロデューサーのフィル・スペクターによって編集されたミキシング違いヴァージョンである。シングル盤ヴァージョンのステレオ・ヴァージョンはビートルズの活動中にはリリースされなかった。ただしアメリカ、日本では同シングル盤はステレオでリリースされていた。英国では1973年4月リリースの『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』が最初となる。CDでは1988年3月にリリースされたアルバム『パスト・マスターズ Vol.2』に収録された。
「ゲット・バック」はアルバム『ゲット・バック』のプロジェクトの一環としてリリースされた。しかしアルバムの方は不発に終わり、1970年にフィル・スペクターによって再プロデュースされ、アルバム『レット・イット・ビー』にリメイクされる。リメイクの際に「ゲット・バック」にミキシングの変更がなさた。エンディングのフェード・アウト部分がトリミングされ、パフォーマンスの前後には喋りが加えられ、あたかもルーフトップ・コンサートのライヴ演奏ように仕立てなおされている。
全世界で1,000万枚をセールス。『ビルボード』(Billboard)誌では、1969年5月24日に週間ランキング第1位を獲得。ビルボード誌1969年年間ランキングは第8位。B面は「ドント・レット・ミー・ダウン」("Don't Let Me Down")。本作が最後のモノラル・シングル盤となった。