読み込み中...コウノトリ(鸛、鵠の鳥、学名:Ciconia boyciana)は、コウノトリ目コウノトリ科に属する鳥類の一種である。
全長約110〜115cm、翼開長160〜200cm、体重4〜6?にもなる非常に大型の水鳥である。羽色は白と金属光沢のある黒、クチバシは黒味がかった濃い褐色。脚は赤く、目の周囲にも赤いアイリングがある。
分布域は東アジアに限られる。また、総数も推定2,000〜3,000羽と少なく、絶滅の危機にある。中国東北部(満州)地域で繁殖し、中国南部で越冬する。渡りの途中に少数が日本を通過することもある。
成鳥になると鳴かなくなる。代わりに「クラッタリング」と呼ばれる行為が見受けられる。くちばしを叩き合わせるように激しく開閉して音を出す行動で、ディスプレイや仲間との合図に用いられる。
広義のコウノトリは、コウノトリ亜科に属する鳥類の総称である。ヨーロッパとアフリカ北部には、狭義のコウノトリの近縁種であるシュバシコウ Ciconia ciconiaが棲息している。羽色は似ているが、クチバシは赤。こちらは数十万羽と多く、安泰である。「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」などの伝承は、シュバシコウについて語られたものである。
日本列島にはかつて留鳥としてコウノトリが普通に棲息していたが、明治期以後の乱獲や巣を架ける木の伐採などにより棲息環境が悪化し、1956年には20羽にまで減少してしまった。そのため、コウノトリは同年に国の特別天然記念物に指定された。ちなみにこのコウノトリの減少の原因には化学農薬の使用や減反政策がよく取り上げられるが、本邦で農薬の使用が一般的に行われるようになったのは1950年代以降、減反政策は1970年代以降の出来事であるため時間的にはどちらも主因と断定しにくく、複合的な原因により生活環境が失われたと考えられる。
その後、1962年に「特別天然記念物コウノトリ管理団体」の指定を受けた兵庫県は1965年5月14日に豊岡市で一つがいを捕獲し、「コウノトリ飼育場」(現在の「兵庫県立コウノトリの郷公園附属飼育施設コウノトリ保護増殖センター」)で人工飼育を開始。また、同年には同県の県鳥に指定された。しかし、個体数は減り続け、1971年5月25日には豊岡市に残った国内最後の一羽である野生個体を保護するが、その後死亡。このため人工飼育以外のコウノトリは国内には皆無となり、さらには1986年2月28日に飼育していた最後の個体が死亡し、国内繁殖野生個体群は絶滅した。しかし、これ以降も不定期に渡来する複数のコウノトリが観察され続けており、なかには2002年に飛来して2007年に死亡するまで、豊岡市にとどまり続けた「ハチゴロウ」のような例もある。
多摩動物公園では、中国から譲り受けて人工飼育を続けていた結果、1988年4月6日に国内初の人工繁殖に成功した。コウノトリ飼育場でも、この国内繁殖野生個体群の絶滅の約7ヶ月前である1985年7月27日に当時の旧ソ連から幼鳥6羽を貰い受けており、多摩動物公園の人工繁殖初成功の翌年5月16日に、人工繁殖に成功している。これ以後、毎年の繁殖に成功している。また、大阪市天王寺動植物公園、豊橋総合動植物公園でも繁殖が成功し、国内飼育数を増やしている。
兵庫県では繁殖成功後の1992年4月22日には野生復帰計画が開始される。その後、コウノトリ飼育場では、近親交配を避けるため、何度か動物園やロシアからコウノトリをもらい受け、2002年5月5日には生育したものとあわせて飼育100羽を達成した。
2005年現在では豊岡市のコウノトリの郷公園周辺地域にコウノトリの生息可能な環境が整備されつつあり、周辺の農民も農薬の散布を控え、無農薬栽培に切り替える等の協力をしている。そして、2005年9月24日には世界初の放鳥(餌をとるなどの訓練をつんだ8羽の中から選ばれた、2〜7歳の雄2羽と雌3羽の計5羽)が行われ、34年ぶりにコウノトリが大空に羽ばたくこととなった。この放鳥式典には山階鳥類研究所総裁等を務める秋篠宮文仁親王・紀子妃も参加し、約3500人もの参加者とともに見送った。放鳥にあたっては、飼育生活が長いので餌を求めるためか、2羽が30分程で戻ってきてしまうというハプニングも見受けられた。2005年12月24日には放鳥記念碑の除幕式が行われた。その後2006年4月14日には自然放鳥したコウノトリの産卵が確認され、続けて18日にも2卵目が発見された。しかし、残念ながらこれらの卵は孵化しなかった。翌2007年も放鳥個体による産卵が行われ、1つのペアから1羽が孵化した。この雛は2007年7月31日に無事に巣立った。コウノトリの野生での巣立ちは1961年に福井県小浜市で野生最後の巣立ちが見られて以来、実に46年ぶりであるhttp://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200705220104.html。
今後も放鳥されたペアへの托卵など、段階的に自然に戻す計画も考案されている。放鳥したコウノトリは背中に発信機をつけているため、約1年は人工衛星から行動範囲を監視できるが、コウノトリの郷公園やボランティアにより放鳥個体の追跡調査も行われている。
また、多摩動物公園でも、コウノトリが動物園の内外を自由に飛翔できるような飼育展示方法が検討されている。