読み込み中...コウモリ(蝙蝠)は、脊椎動物亜門 哺乳綱 コウモリ目に属する動物の総称である。「コウモリ」の名は古語に「かはほり」「かはぼり」と呼ばれたものが転訛したものである。別名に天鼠(てんそ)、飛鼠(ひそ)がある。
コウモリ目は翼手目(よくしゅもく)ともいう。約980種が報告されているが、その種数は哺乳類全体の4分の1近くを占め、ネズミ目(齧歯類)に次いで大きなグループとなっている。極地やツンドラ、高山、一部の大洋上の島々を除く世界中の地域に生息している。
コウモリは狂犬病のウィルスを持っている可能性がある(なお、日本では1956年以降の狂犬病の発症例はない)ので、特に日本以外で子供などが安易に遊びで捕らえる事竹ざおの先に鳥もちを付けてそれに振って、コウモリをおびき寄せ接着させ捕獲する方法がある。は避けたほうが良い。
コウモリ目は翼をもち、完全な飛行ができる種類である。多くの鳥類と同様、はばたくことによって飛行するが、鳥類の翼と異なり、コウモリの翼は飛膜と呼ばれる伸縮性のある膜でできている。
哺乳類では他にムササビなどが飛膜を広げて滑空するものの、完全な飛行をするのは哺乳類中でもコウモリ目のみ。
コウモリの前足は、親指が普通の指の形で鉤爪あることをのぞけば、すべて細長く伸びている。飛膜はその人差し指以降の指の間から、後ろ足の足首までを結んでいる。腕と指を伸ばせば翼となって広がり、腕と指を曲げればこれを折りたたむことができる。さらに後ろ足と尾の間にも飛膜を持つものも多い。
また、鳥と異なり、後ろ足は弱く、立つことができない。休息時は後ろ足でぶら下がる。前足の親指は爪があって、排泄時など、この指でぶら下がることもできる。また、場合によってはこの指と後ろ足で這い回ることができる。
一般にコウモリといえば西洋では吸血鬼につながるイメージがあるが、実際には他の動物の血を吸う種(チスイコウモリ)はごくわずかであり、たいていは植物や虫を食べる。東洋では歴史的にコウモリを嫌忌する伝統はない。むしろ中国語で「蝙蝠」の音が「偏福(福が偏って来る)」に通じるため、幸運の象徴とされている。
コウモリ目は、オオコウモリ亜目(大翼手亜目)とコウモリ亜目(小翼手亜目)の2亜目に分類される。
オオコウモリ亜目はその名のとおり大型のコウモリの仲間で、オオコウモリ科の1科のみが属する。中には翼を広げた幅が2mに達する種もある。よく発達した視覚によって、植物性の食物を探す。果実を好み、農業従事者からは害獣として扱われる場合もある。
コウモリ亜目は小型のコウモリの仲間で、17科が属し、多くの種に分かれている。多くが食虫性であるが、植物食、肉食、血液食など、さまざまな食性の種がいる。コウモリ亜目の特徴は、エコーロケーション(エコロケーション、反響定位)をすることである。超音波を発し、その反響を検知することで、飛行中に障害物を避けたり、獲物である昆虫等を見つけたりすることができる。
オオコウモリ亜目のほとんどの種はエコーロケーションを行わないが、例外的に洞窟性のルーセットオオコウモリの仲間はエコーロケーションを行う。
熱帯においては、花の蜜や花粉を食べる種があるため、それに対する適応として、花粉の媒介をコウモリに期待する、コウモリ媒の花がある。
オオコウモリ亜目とコウモリ亜目には、翼をもつという共通点があるが、それを除けばあまりにも多くの違いがあるため、別々の祖先から進化し、独立に飛行能力を獲得したのではないかという説もあった。しかし、最近のミトコンドリアDNA配列の解析により、大翼手亜目と小翼手亜目は系統的にも近縁であることが明らかになっており、どちらも飛行能力を初めて獲得した共通の祖先から進化したものと考えられている。日本では、移入種を除く約100種の哺乳類のうち、約3分の1に当たる35種(種数は分類説により若干変動する)をコウモリ類が占めており、約4分の1に当たるネズミ目(齧歯類)24種を抑えて、最多の種数を擁している。また、近年は琉球列島の島々に固有種が発見されている。
このうち、オオコウモリ類は熱帯性で、日本では小笠原諸島と琉球列島にのみ分布する。
ただし、個々の種についてみれば、個体数が少ないと判定されているものもあり、多くの種がレッドデータブック(環境省版)入りとなっている。これには、日本ではコウモリの研究者が少なく、生息調査も散発的であるという事情もあるが、実際に絶滅の危険がある状態にあると考えられているものも多い。特に、森林性のコウモリについては、その生活の場である自然の広葉樹林と、それ以上に、住みかとなる樹洞ができるような巨木が極めて減少しており、棲息環境そのものが破壊されていることが、大きな問題となっている。コウモリ用の巣箱などが工夫されているが、普及していない。
洞穴に生活するものは、集団越冬の場所などが天然記念物となっている場所もある。いずれにせよ、彼らの生活そのものも、未だに謎が多い。ユビナガコウモリなど、集団繁殖する種もある。これらのものでは、季節的に大きな移動を行っている可能性が高いが、具体的な習性については、現在研究が進められつつある段階である。
古代ローマの博物学者であるプリニウスは、コウモリのことを「翼をもったネズミ」と呼び、鳥類に分類していた。
平安時代の『本草和名』では、コウモリを「加波保利(かはほり)」として紹介している。現在の「こうもり」という名は、この「かはほり(かわほり)」から転化したものである。江戸時代、小野蘭山の『本草綱目啓蒙』では、「かはほり」はムササビと共に鳥類に分類されている。
また蚊食鳥(カクイドリ)とも呼ばれ、かわほりの呼称とともに夏の季語である。
四国を統一した土佐の大名、「土佐の出来人」長宗我部元親は、自ら「第六天魔王」と称した織田信長に、「鳥無き島の蝙蝠」(「周辺に強者がいない状況でのみ覇権をとなえることが出来る弱者」の意を表す「鳥無き里の蝙蝠」をもじったもの)と言われた。
コウモリは分類では哺乳類であるが、一見鳥のように見える。この外見を参考にしたイソップ童話がある。動物と鳥が争う中、コウモリはどっちにもいい顔をし、結果どちらからも嫌われてしまうという有名な童話であり、現在でもどっちつかず、八方美人的な人や行動を比喩する表現として「コウモリ」を使用することがある。吸血鬼と共に、コウモリに対する悪印象を与える一因でもある。しかし中国ではコウモリ(蝙蝠)の「蝠」の字が「福」に通ずることから、幸福を招く縁起物とされる。また中国では、百年以上生きたネズミがコウモリになるという伝説もあり、長寿のシンボルとされている。そのため西洋の影響を受ける明治中期ごろまでは日本でも中国の影響で縁起の良い動物とされていた。そのため長崎のカステラ店福砂屋などはコウモリを商標としている。西洋の影響で「悪い動物」になってしまった動物には他にオオカミなどがある。