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ジャンプ (フィギュアスケート)

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

ジャンプ(Jump)は、フィギュアスケートにおける要素のひとつ。

概要

フィギュアスケートにおけるジャンプは、ジャンプを跳ぶ際のエッジの使い方、踏み切り方、ポジション、回転数により細かく区別される。空中で1回転し着氷するジャンプはシングルジャンプまたは1回転、2回転し着氷するジャンプはダブルジャンプまたは2回転、3回転し着氷するジャンプはトリプルジャンプまたは3回転、4回転し着氷するジャンプはクアドジャンプまたは4回転と呼ぶ。ジャンプそのものを表す際には、回転数のあとにジャンプの種類を付け加え、ダブルアクセルジャンプ4回転サルコウジャンプなどと呼ぶ。

ISUジャッジングシステムでは、ジャンプの種類と回転数に応じて基礎点が定められ、実施したジャンプの出来栄えは後述するGOEによる加点・減点で評価される。基礎点は、理論的に難しいとされているジャンプほど高く設定されているが、難しさの度合いと得点の大小の開きが比例しているか否かについては疑問も呈されている。また、ジャンプの難易度とは別の問題として、選手によって得手・不得手がある。

必然的に、回転と同じ方向に流れるエッジで降りることになるためアウトエッジで降りることになる。空中での回転軸はどのジャンプも鉛直方向でなければならない。

ジャンプの種類

主要ジャンプ

可能・不可能を考慮しなければ、回転数を考慮されなくとも10種類以上のジャンプが存在することになるが、ISU(国際スケート連盟)によってエレメンツとして認められている(すなわち、ISUが公認する競技会で“ジャンプ”として採点対象になる)ものは次の6種類である。
トウループ (Toe loop、略記:T) <難易度:低>
踏み切る瞬間に、着氷時のスケーティングレッグのバックアウトエッジに乗り、後向きに踏み切るトウジャンプ。ジャンプまでに体にかかる回転の力の方向と、空中での回転の方向とが同じ向きであるジャンプのひとつ。空中での回転と同じ向きのターン等をきっかけに跳ぶことが多い。コンビネーション(連続)ジャンプの第2(最終)ジャンプとしてもよく用いられる。6種類のジャンプの中で得点は最も低く設定されている。
1920年代に、スケート選手ではなくアイスショーの役者であったブルース・メープス (Bruce Mapes) が行ったのがその始まりである。
現在、ISU公式大会で四回転トウループを成功させている選手は男子では多数、女子ではいない。ISU公式大会で四回転トウループを初めて成功させた選手はカナダのカート・ブラウニング1988年世界選手権)。
サルコウ (Salchow、略記:S) <難易度:低>
踏み切る瞬間に、着氷時のスケーティングレッグとは逆脚のバックインエッジに乗り、フリーレッグの遠心力を使って後向きに踏み切るエッジジャンプ。実際にエッジが氷を離れるまで、上体が1/2回転程先行するのが特徴。ジャンプまでに体にかかる回転の力の方向と、空中での回転の方向とが同じ向きであるジャンプのひとつ。空中での回転と同じ向きのターン等をきっかけに跳ぶことが多い。
20世紀初頭に、スウェーデンウルリッヒ・サルコウ (Urlich Salchow) が行ったのがその始まりである。
現在、ISU公式大会で四回転サルコウを成功させている選手は男子では少数、女子では唯一人。ISU公式大会で四回転サルコウを初めて成功させた選手は、男子ではアメリカのティモシー・ゲーブル1997年ジュニアグランプリファイナル)、女子では日本の安藤美姫2002年ジュニアグランプリファイナル)。
ループ (Loop、略記:Lo) <難易度:中>
踏み切る瞬間に、着氷時のスケーティングレッグのバックアウトエッジに乗り、後向きに踏み切るエッジジャンプ。サルコウ同様に実際にエッジが氷を離れるまで、上体が1/2回転程先行するのが特徴で、着氷時のフリーレッグは踏み切り脚の前に交差させるのが実施の基本。ジャンプまでに体にかかる回転の力の方向と、空中での回転の方向とが同じ向きであるジャンプのひとつ。空中での回転と同じ向きのターン等をきっかけに跳ぶことが多い。トウループ同様、コンビネーションジャンプの第2ジャンプとしても用いられるが、トウループよりループの方が難易度が高いとされる。採点表にはLoと表記されるのが通常であるが、ルッツをL(通常はLz)とだけ表記したときなどの混乱を避けるためにリトバーガーの頭文字をとってRとだけ表記されることもある。
1910年に、ドイツヴェルネール・リトバーガー (Werner Rittberger) が行ったのがその始まりである。
現在、ISU公式大会で四回転ループを成功させている選手はまだいない。
フリップ (Flip、略記:F) <難易度:高>
着氷時のスケーティングレッグとは逆脚ので後向きに踏み切るトウジャンプ。ジャンプまでに体にかかる回転の力の方向と、空中での回転の方向とが同じ向きであるジャンプのひとつ。空中での回転と同じ向きのターンから行う。
その発案者の記録が残っていない唯一のジャンプであるが、1930年代迄には既に頻繁に行われるようになっていた事実は知られている。
回転と同じ向きのターンからただちに跳べない、すなわち実質的にフルッツを跳んでいるのと同じジャンプは、通称で「リップ (Lip) 」と呼ばれることもある。
現在、ISU公式大会で四回転フリップを成功させている選手はまだいない。
ルッツにおいてフルッツが横行したのに伴い、2007-2008シーズンからは、空中での回転と同じターンから入っていても、ルッツと申告せずにアウトエッジで跳んだジャンプは、技術審判が要素としてはフリップとして処理するが演技審判はGOEで必ずマイナス評価をつけることとなった。(ジャンプの判定も参照)
ルッツ (Lutz、略記:Lz) <難易度:高>
着氷時のスケーティングレッグとは逆脚のバックアウトエッジにのったカーブから、踏み切る瞬間もアウトエッジで、後向きに踏み切るトウジャンプ。アウトエッジカーブに乗った状態からアウトエッジで踏み切ることによりジャンプまでに体にかかる回転の力の方向と、空中での回転の方向とがカウンター(反対)になる唯一のジャンプであるため回転力を得難く、後向きに踏み切るジャンプの中では最も難度が高い。
1913年に、オーストリアアロイス・ルッツ (Alios Lutz) が行ったのがその始まりである。
アウトエッジカーブに乗らずアウトエッジ以外で跳んでいるジャンプは、ルッツゆえの難しさをまったく排除してしまっている悪いジャンプとして通称で「フルッツ (Flutz) 」と呼ばれることもある。
近年このフルッツが余りにも横行したため、2007-2008シーズンからは、スロー再生で明確なエッジの不正をみとめた場合は、技術審判が要素としてはルッツとして処理するが演技審判はGOEで必ずマイナス評価をつけることとなった。(ジャンプの判定も参照)
現在、ISU公式大会で四回転ルッツを成功させている選手はまだいない。
アクセル (Axel、略記:A) <難易度:最高>
着氷時のスケーティングレッグとは逆脚の後ろ向きアウトエッジに乗り、フリーレッグを振り上げるようにすると同時に前向きアウトエッジに乗り踏み切るエッジジャンプ。実際にはエッジが氷を離れるまでに1/2回転程度回転しているが見た目上他のジャンプより半回転多く回転しているため「〜回転半ジャンプ」という表現が用いられる場合がある(例えばトリプルアクセルであれば「三回転半」)。アクセルと同様に踏み切って半回転して降りる(つまりシングル・アクセルより一回転少ない)ジャンプはスリー・ジャンプと呼ばれるが、ISU採点ではジャンプとして分類されていない。
1882年に、ノルウェーアクセル・パウルゼン (Axel Paulsen) が行ったのがその始まりである。
現在、ISU公式大会で四回転アクセルを成功している選手はまだいない。三回転アクセルは男子選手の多くが比較的容易にこなすが、女子選手で飛べる選手は少ない。

ジャンプコンビネーション

ジャンプコンビネーションは、ジャンプを着氷した足でステップやターンをせず再び次のジャンプを連続して飛ぶことを指し、1つ目のジャンプをファーストジャンプ、2つ目のジャンプをセカンドジャンプ、3つ目のジャンプをサードジャンプと呼ぶ。なお、国際スケート連盟のルールではジャンプコンビネーションの回数に上限があり、最高3連続のジャンプまでとなっている。そのため、4連続以上のコンビネーションジャンプはエキシビションなどでしか目にすることはない。

国際スケート連盟が公認する6種類のジャンプは、左足のアウトサイドエッジ(反時計回りは右足アウトサイドエッジ)での着氷となるため、必然的に次に跳ぶセカンドジャンプならびにサードジャンプは、トウループジャンプループジャンプに限定される。コンビネーションジャンプの基礎点は、各ジャンプの基礎点をそのまま加算したものとなる。

ジャンプシークエンス

ジャンプシークエンスは、ジャンプを着氷した後にステップやターンを挟み再び次のジャンプを連続して飛ぶことを指す。着氷した足で再び跳ぶジャンプコンビネーションに比べ難易度は低いものの、セカンドジャンプ以降にトウループジャンプループジャンプ以外のジャンプを跳ぶことが可能なため、バリエーションは豊富である。シークエンスジャンプは、各ジャンプの基礎点を加算したものに0.8掛けしたものを基礎点とする。これは、コンビネーションジャンプを失敗した結果のカバーとしてステップアウトから2番目のジャンプを跳んだものを実質的に減点できる反面、ジャンプの多彩な組み合わせの試みを制限するものともなっている。(0.8掛けという性質上、基礎点の高いジャンプで跳んでも難易度の割に低得点となるため)2番目のジャンプとして、ホップしてからの2回転アクセルやハーフループからの3回転サルコウが競技会でよく使われる。

スロージャンプ

Wikipedia画像へのリンク(スロージャンプ)

ペアにおいて必須要素でもあるスロージャンプは、スローイングジャンプとも呼ばれ、女性のジャンプを男性が補助し投げ上げるペアのみに見られる独特のジャンプである。男性の補助があるため通常のジャンプに比べより高くより遠くへ跳ぶことができるが、転倒などの危険も伴う。

スロージャンプの種類は、女性の踏み切り時のエッジやポジションによって区別され、国際スケート連盟が公認するスロージャンプは単独ジャンプと同じトウループジャンプサルコウジャンプループジャンプフリップジャンプルッツジャンプアクセルジャンプの全6種類で、3回転ループスロー(トリプルループスロー)、3回転サルコウスロー(トリプルサルコウスロー)などと呼ばれる。

略記では各ジャンプの種類の略記の後尾にThが付加される。

ISU公式大会で四回転スロージャンプ(サルコウ)を初めて成功させたペアは、アメリカティファニー・バイス/デレク・トレント組(2007年エリック・ボンパール杯)。2002年ソルトレイクシティオリンピックで中国の申雪/趙宏博組が四回転スローサルコウに挑戦し、完璧に着氷、四回転自体は成功したという向きだが、降りた直後のつなぎのスケーティングでなぜか転倒したためISUの認定はされなかった。

その他のジャンプ

バニーホップジャンプ : 前向きに滑りながら飛び上がり、回転をせずに降りるジャンプを言う。飛び跳ねるように走るウサギに似ていることから名付けられたもので、初心者などの練習で使われる初歩的なジャンプである。
ワルツジャンプ : アクセルジャンプと同じように前向きに滑りながら右足(時計回りなら左足)を振り上げ、空中で半回転をして後ろ向きで着氷するジャンプを言う。スリージャンプとも呼ばれる。
マズルカジャンプ : トウループジャンプと同じ踏み切りで、空中で半回転をして前向きで着氷するジャンプを言う。空中で足を広げるなどの動作を伴うことが多い。
ハーフループジャンプ : ファーストジャンプの着氷後に続けてジャンプをしてエッジを入れ換えるジャンプを言う。ジャンプシークエンスのなかで繋ぎとして用いられ、サルコウジャンプなどに続けることが多い。

得点

ISUジャッジングシステムにおけるジャンプの得点はフィギュアスケートの採点法を参照。

外部リンク

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