読み込み中...スーパーコンピュータ(Supercomputer、略称:スパコン)とは、内部の演算処理速度がその時代の一般的なコンピュータより非常に高速な計算機(コンピュータ)のこと。HPCサーバ(High Performance Computing Server)とも呼ばれる。
膨大な計算処理が目的であり、それを実現するための大規模なハードウェアやソフトウェアを備える。有限要素法や境界要素法などに基づく構造解析、気象予測、分子動力学、シミュレーション天文学、最適化問題、金融工学のような大規模数値解析に基づくシミュレーションに利用される。計算機による大規模シミュレーションを前提とした科学は特に計算科学と呼ばれ、スーパーコンピュータの設計に大きい影響を与えている。そのような計算科学の成果を元に、工業製品の設計や評価を行うCAEの分野でも広く利用されている。
コンピュータ自体の性能向上が急激であることからスーパーコンピュータの定義は時代によって大きく変化するが、一般的にはその時代の最新技術が投入された最高性能の計算機を指す。現時点では一般的なサーバ機よりも浮動小数点演算が千倍以上速いコンピュータをスーパーコンピュータと呼ぶことが多い。
日本の文部科学省の科学技術・学術審議会では2005年現在、1.5TFLOPS以上の演算性能を持つコンピュータを政府調達における「スーパーコンピュータ」と位置付けている研究環境基盤部会。
スーパーコンピュータといえども、プロセッサ、メモリ、ストレージ、ネットワーク等のハードウェアと、その上で動くオペレーティングシステムやアプリケーションなどのソフトウェアから構成される点では一般的なコンピュータと同じである。しかし、それら各要素には高性能計算を実現するためにさまざまな新技術が投入されている。その新技術の中には後に一般的なコンピュータに導入されたものも多数ある。
スーパーコンピュータのユーザは、本体とは別に用意された端末や、SSH・telnet経由で操作を行う。
スーパーコンピュータに搭載されるプロセッサの役割も、普通のコンピュータ同様に計算処理を行うことである。
一般的なコンピュータとスーパーコンピュータの大きな違いは、処理を並列に実行する点にある。旧来の単純なプロセッサは、一命令あたり一つの演算だけを行うスカラープロセッサで、一般的なパーソナルコンピュータ (PC) に搭載されるプロセッサ数も1つかごく少数である。スーパーコンピュータでは、1クロックで複数の演算を一度に行うベクトル演算などを備えたプロセッサの採用や、システムの中に数十個から数十万のプロセッサを搭載し計算を同時に実行することで高いスループットを実現する構造となっている。
ベクトル演算が1970年代に実装された後も、1980年代には並列処理、パイプライン処理、投機的実行、対称型マルチプロセッシング、1990年代にはVLIW、SIMDなどがスーパーコンピュータに導入され、並列度の向上を実現した。
スーパーコンピュータで新たに採用された技術の多くは、その後サーバやPCにフィードバックされ、その性能向上に寄与した。またその逆に、それまでPC向けであったx86プロセッサが21世紀に入ってから価格性能比が急激に上がることで、スーパーコンピュータに広く採用されるようになった。
1980年代から1990年代までは、高性能計算に特化した専用のベクトルプロセッサを各スーパーコンピュータメーカーが独自に開発し、システムに採用していた。
1990年代前半から、i860、Alpha、POWER、MIPS、SPARC、IA-64などのワークステーションやサーバ向けの汎用プロセッサが徐々にスーパーコンピュータにも導入され始め、90年代後半では一部のハイエンドなものを除いて汎用プロセッサベースのシステムが主流となった。そのようなシステムはコンピュータ・クラスターとも呼ばれ、プロセッサを多数搭載することで高いスループットを狙っている。
さらに、21世紀からのx86プロセッサの価格性能比の向上に合わせ、IntelやAMDのCPUを採用するメーカーが増加している。x86の流れをくむx86-64アーキテクチャを含めると2007年11月に発表された第30回TOP500ランキングでは500台中414台がx86プロセッサを採用しており、PowerPCを含むPOWERベースのシステムと共に市場を二分しつつある。
汎用プロセッサが主流となった90年代後半以降になっても、特に高性能なシステムではベクトルプロセッサによるものが多かったが、それも21世紀に入り変化した。2002年に運用が開始され以降2年半に渡ってTOP500の首位を占めた地球シミュレータのような例外はあるものの、ハイエンドな分野でも置き換えが進行し2007年11月のランキングにおけるベクトル計算機は500台のうち4台のみとなっている。
特定の計算を支援するコプロセッサや本来画像処理のために開発されたGraphics Processing Unit (GPU) を汎用的な計算に利用するGPGPU (General Purpose GPU) など、ある用途に特化したプロセッサをスーパーコンピュータに活用する動きがある。汎用プロセッサに比べ、価格性能比が非常に高くまた消費電力が小さいという利点によって、特に2005年以降動きが活発になってきている。
GRAPEプロジェクトでは、1989年から多体問題に特化したプロセッサを製作し、天文学や分子動力学シミュレーションにおいて非常に価格性能比の良い専用計算機を開発している。 東京工業大学のTSUBAMEにはOpteronによる約1万個のCPUコアの他に、ClearSpeedClearSpeedによる高性能計算専用アクセラレータCSX600が搭載されている。2005年11月のランキングでCSX600を利用することで、6月に発表されたCPUのみの結果に比べ約10TFLOPS性能が向上した。また、高性能GPUを手がけるAMD、NVIDIAは両社とも2007年に汎用計算を念頭に置いたGPUベースのアクセラレータを発表している。
スーパーコンピュータはノードと呼ばれる計算機の集合によって構成され、その計算機はコンピュータネットワークによって接続される。そのコンピュータネットワークのことを特にインターコネクトと呼ぶ。超並列マシンでは、ユーザの実行させたい処理を各ノードに分割して実行し、MPI等のAPIを使ったノード間通信で同期や計算結果の集約などを行う。そのため、高い性能を得るには広帯域かつ低遅延なインターコネクトが必要とされる。
旧来のスーパーコンピュータの多くでは独自のインターコネクト方式を採用しており、2007年現在でもCrayはRapidArrayRapidArray高速インターコネクトと呼ばれる独自方式を自社のシステムに採用している。コンピュータ・クラスターでは、イーサネットやInfiniBand、Myrinetなど、最大数十Gbps程度の帯域を持つインターコネクトが利用されている。
研究レベルにおける通信速度は2005年11月にIBMの研究所による14GB/chが最高速であったが、2006年3月現在、NECおよび理化学研究所による次世代HPC構想の研究にて25GB/chが記録されている。
スーパーコンピュータにおけるインターコネクトでは、そのトポロジも性能に大きい影響を与える。よく用いられるネットワークトポロジとして、メッシュ、クロスバ、トーラスなどがある。構築にかかるコストやアプリケーションの性質によって、システムに適切なネットワークトポロジは大きく異なる。
1970年代前半のCrayによるスーパーコンピュータ黎明期から、研究者が好むOSとして、ベル研究所で開発され、その後多数の派生版が誕生したUNIX系OSが使用されてきた。これは当初、ライセンスフリーなオープンソース的OSであったことが最大の理由である。AT&Tは当初、UNIXへのライセンス料を賦課せず、ソースコードの頒布に当たってはメディアへのコピー料金しか徴収しなかった。このため、各大学の研究者達に広まり、企業へ就職後もそのまま慣れ親しんだOSを利用する事が多かったからである。
さらに、UNIXはそれまでのアセンブラにより記述されたOSと異なり、高級言語としてのC言語によって書かれており、機種間の移植がし易いため、新規ハードウェアを利用する際に研究者の研究時間を圧迫せずに使用できるという点も幅広い使用につながった。その上、UNIX(Linux)上でのライブラリなどカスタマイズの利便性やチューニング項目の多様性もあり広がったと認識されている。
2008年現在も大多数のシステムでUNIX系オペレーティングシステムが利用されており、2007年11月発表の第30回TOP500ランキングではLinuxとMac OS Xを含めると92%のシェアを占めているOperating。
x86プロセッサの急激な価格性能比の向上を踏まえ、マイクロソフトはWindows Serverをベースとしたスーパーコンピュータ向けOSWindows Compute Cluster Serverを出荷している。(その他補足事項参照)通常のUNIXにおけるラウンドロビン方式だけでなく、優先度の高い計算処理にCPU資源を強制的に割り当てるギャングスケジューリング方式もサポートしたものが多い。
スーパーコンピュータの性能を引き出すためには、それらハードウェアの特性に合わせたアプリケーションを開発する必要がある。スーパーコンピュータ向けアプリケーション開発で利用される技術・手法を以下に示す。
科学技術計算分野ではFortranが古くから使われ、コンパイラ最適化技術が成熟していることやアプリケーション・数値演算ライブラリなどのソフトウェア資産の蓄積が大きいことから2008年現在でも利用される。実行効率と開発効率の面から、C言語およびC++もよく用いられる。
開発効率の改善とハードウェアの並列度向上に対応するため、新たなプログラミング言語が提案されている。サン・マイクロシステムズは、2007年1月に科学技術計算向けプログラミング言語Fortressを発表し、オープンソースとして公開しているfortress。
高い性能を求められるスーパーコンピュータ向けアプリケーションでは、ベクトルプロセッサのベクトル演算命令やSIMDなどの並列演算命令を活用し、並列度を高めることで性能向上を図っている。具体的な手法として、最適化コンパイラが並列実行可能な箇所を発見し自動並列化を行うベクトル化や、プロセッサの並列演算命令をプログラミング言語の拡張機能やアセンブラを使い、プログラム内で明示的に呼び出す方法などがある。
2008年現在主流であるコンピュータ・クラスター型のスーパーコンピュータでは、MPIを用いて、プログラマがプロセス間の通信や同期をプログラムに記述することで大規模な並列計算を行う方法が一般的である。スーパーコンピュータ向けベンチマークLINPACKの一実装であるHPLHPLや、遺伝子の相同性検索を行うBLASTなど多くの科学技術計算アプリケーションでは、MPIを用いた並列化に対応している。
スーパーコンピュータの歴史は、高性能コンピュータの軍事利用/軍事技術としての側面を切り離して語ることができない。現在もスーパーコンピュータはこういった政治的な影響から逃れることはできず、欧州でのスーパーコンピュータの採用などについては、性能や利便性という問題ではなく、その時のその国家の政治事情で採用ベンダが決定している。
| 設置場所・研究所 | 名 称 | アーキテクチャ | 理論演算性能 | CPU | OS | 提供ベンダ | 基本仕様作成先,設計元 | 備 考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| |東京大学 | |T2Kオープンスパコン東大版 | |スカラ | 140TFLOPS | |Opteron | |Linux | |日立 | |筑波大学・東京大学・京都大学 | |筑波大学版は理論性能95TFLOPS、京都大学版は60TFLOPS |
| |東京工業大学 | |TSUBAME | |グリッド型スカラ | 85TFLOPS | |Opteron | |Linux | |NEC, Sun |
|東京工業大学学術国際情報センター | |約一万個のCPUコアの他に、演算アクセラレータを搭載している。 |
| |海洋研究開発機構 | |地球シミュレータ | |ベクトル | 45TFLOPS | |独自ベクトルチップ | |SUPER-UX | |NEC | |環境研究所,気象研究所,東京大学 | |ベクトル型と最適化されたフレームワークによって生じる、実効性能が非常に高い計算機システム。システムの規模から、超巨艦主義と批判されることも多いが、その実効性能の高さは米国に衝撃を与えた。 |
| |気象庁 | |COSMETS | |擬似ベクトル型スカラ | 21.5TFLOPS | |POWER5 | |AIX 5L | |日立 | |気象庁 | |ViVA(Virtual Vector Architecture)による擬似ベクトル化。システムを構成する各CPUを各計算マトリックス毎に割り振る仕組みを活用することで、気象モデルへの適合性を高めたフレームワークを採用。 |
| |筑波大学 | |PACS-CS | |スカラ | 14.3TFLOPS | |Xeon | |Linux/SCore | |日立, NEC, 富士通 |
|筑波大学 | |マトリックス・グリッド型超並列専用計算機。帯域幅と省電力を重視。 | (注)CSとはComputational Scienceの略
| |宇宙航空研究開発機構 | |NSシステム(数値風洞システム第3世代) | |スカラ | 9.3TFLOPS | |SPARC64 V(富士通製) | |Solaris | |富士通 | |航空宇宙技術研究所 | |1世代前のスーパーコンピュータ。現在のグリッドシステムに相当するアーキテクチャを採用。特に、各格子点毎にナビエ・ストークス方程式を処理するために特化したフレームワークを採用したことで有名。第1・第2世代において世界最速記録を何度も保持し、複数回ゴードン・ベル賞を受賞した。 |
| |東京大学/国立天文台 | |GRAPE-6 | |専用計算機 | 64TFLOPS | |独自チップ | |Linux/Unix | |GRAPE-6ボード発売中 | |東京大学理学部 | |専用計算機。複数回ゴードン・ベル賞を受賞。 |
| |東京大学/国立天文台 | |GRAPE-DR | |専用計算機 | 2PFLOPS (達成目標値) | |独自チップ | |Linux/Unix | |NTTコミュニケーションズ,富士通,日立製作所他 | |東京大学理学部 | |専用計算機。現在、データベースシステム(そもそも、DRがデータベースの意味)とGRAPEシステムを結合したシステムのデモ機を稼動中。先日のCERNとの間での高速インターネット実験でも活用した。今後は、GRAPEチップが、年度毎に予定通り納入されれば、2008年ごろにはPetaFLOPSの大台に乗る予定。ちなみに、現在は0.5PFLOPS(2006/10現在)。 |
| |理化学研究所横浜研究所 | |Protein Explorer | |専用計算機(MDGRAPE-3超並列機) | 1PFLOPS (達成目標値は2PFLOPS) | |独自チップ+Xeon | |Linux | |日本SGI ,Intel他 |
|理研戎崎研究室 | |専用計算機。2006/06現在の演算性能。障害ノードの復旧後はさらに増速予定。 | MDGRAPE-3 x 4808チップと Xeon x330コアの組み合わせにより構成。
| 設置場所・研究所 | 名 称 | アーキテクチャ | 理論演算性能 | CPU | OS | 提供ベンダ | 備 考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| |アメリカ国立ロス・アラモス研究所 | |Roadrunner | |スカラ | 1.7PFLOPS | |PowerXCell + Opteron | |Linux | |IBM | |Cell、Opteronノード間をInfiniBandで接続 |
| |アメリカ国立ローレンス・リバモア研究所 | |Blue Gene/L | |スカラ | 280TFLOPS | |PowerPC 440 | |CNK/Linux | |IBM | |組み込みプロセッサにFPUを付加 |
| |アメリカ NASA Ames研究センター | |Columbia | |スカラ | 51TFLOPS | |Itanium 2 | |Linux | |SGI | |AltixをInfiniBandで接続 |
| |アメリカ国立サンディア研究所 | |Red Storm | |スカラ | 101.4TFLOPS | |Opteron | |Catamount/Linux | |Cray | |XT3として商用化。SC06にて世界2位に。 |
| |アメリカ バージニア工科大学 | |System X | |スカラ | 12.2TFLOPS | |PowerPC 970 | |Mac OS X Server | |バージニア工科大学/Apple | |Xserve G5をInfiniBandで接続 |
TOP500を含むスーパーコンピュータの評価には多くの問題点がある事が、スーパーコンピュータを扱うエンジニアや研究者の共通の認識となっている。現TOP500のスーパーコンピュータ相対評価において使用されるベンチマークテストはLINPACKと呼ばれる1970年代前半に確立されたもので、現在のスーパーコンピュータの規模/構成に適したものではない。そのため、TOP500の評価基準であるLINPACKベンチマーク評価について、基準ベンチマークとしての見直し論議が活発に行われ、HPC Challenge Benchmarkという新しいベンチマークが提案されている。
また、一つのベンチマーク値でそのシステムの実効性能を表現する事は不可能として、多くの研究者が提言を上げており、改善が求められる。また、スーパーコンピュータ本来の性能はシミュレーションを実行する場合などの実稼動時の性能を基準と考えるべきであり、スカラタイプとベクトルタイプでは計算する際のデータ投入性能が格段に差があると言われている。
例えば、汎用CPUにより構成されるスカラータイプのスーパーコンピュータは、そのままの形態で使用すると気象予測において広域予報や長期予報などを行う際、データの連続処理におけるデータ供給能力に限界があり、実効性能が極端に落ちる事が知られている。このため、データの供給方法にハードウェア的/ソフトウェア的に工夫を施し、多量のデータを連続投入できる環境を作り、少しでもベクトルチップの実効性能に近づける努力をしているものが多い。一方、ベクトルチップを採用したNECの地球シミュレータを代表とするベクトルタイプのスーパーコンピュータは、スカラータイプより高い実効性能を維持する特性がある。
この方式による性能格差の主張には、既存の巨艦型ベクトル型スーパーコンピュータを使用していた研究者において、ベクトル処理を基本とした既存の処理方法からスカラ処理を基本とした現用の分散処理方法への移行教育や対応が遅れているという指摘もある。
アプリケーションによっては、スカラ化への対応には相当数の労力が必要であり、一般の研究者がスーパーコンピュータでのシミュレーションを行う際、本来の研究自体を圧迫してしまうという矛盾もあり、処理の最適化や処理分散の実装方式についてはもっと省力的で職人的な対応を不要にできるようなプラットホームの発展が求められている。その一例として、ベクトルプロセッサを前提として記述されたプログラムを、複数のスカラプロセッサで分散処理する形に自動的に変換する、自動並列化コンパイラがあり、スーパーコンピュータの世界では古くから研究、利用が進められている。近年では、PCや組み込みプロセッサのマルチコア化に伴い、こうした分野にも自動並列化コンパイラが導入されつつある。
それでもなお、スーパーコンピュータの大部分はベクトル型からスカラ型へ移行してきている。この背景として、ベクトル型プロセッサの開発コストや消費電力の大きさの問題がある。また、バイオインフォマティクスなど、スカラ型のほうが適しているアプリケーションが増えていることも一因である。世界各国でもスーパーコンピュータの導入は進んでおり、1990年代初頭のようなアメリカ・日本を2極とした導入数の集中状況は解消しつつある。
日本におけるスーパーコンピュータの流れは、官学主導による国策としての大型スーパーコンピュータ構想と、産業界及び産学協同のより実生活や一般的な産業面に近いスーパーコンピュータの利用や設置の流れがある。
この2つの流れが、互いに影響を与え合うことでより良い方向を目指せるよう、産官学での調整が行われており、トップダウン(Web Client技術、ASIC、マイクロプロセッサ)/ボトムアップ(通信インフラストラクチャー、プロトコル、規格化)プロジェクトの形態から見れば、前述のようになる。しかしながら、前者が経験的に生じたものに対して、後者は法制度等の影響を受けるために、概念が固まってから規格化に向けた議論等が行われるため、一般の方々から見れば逆のように見えることもあるだろう。の両輪がうまく動くよう計画されている。それぞれの相互技術が結びつき、切磋琢磨することで、より良い仕組みを作り上げようとする努力が続いている。
しかし、今までのNLSによる垂直型のスーパーコンピュータ構築(1点豪華主義、或いはピラミッドの頂点型)だけでなく、NIS及び民間主導での水平展開型スーパーコンピュータ構築(多くの複数頂点を持つ連峰型)が久しく求められているが、アカデミックな領域以外での進展は見られない。特に日本の産業界においてはそれ程の危機感を持って語られていないのが現状である。
過去の日本における官主導大規模プロジェクトとその産業育成施策が機能するような原始的な産業構造・経済構造から、日本の経済状況や産業構造は既に大きく成長し、より豊かで多岐にわたるものとなっている。しかし、こういった複雑で多岐に渡るニーズを汲み上げるような普遍的要求を吸収できるシミュレート基盤/計算基盤を、日本の産業界は未だに持てない現実もあるシミュレーションについては、ローマクラブが1970年代に発表した「成長の限界」やベトナム戦争時における米軍の戦略シミュレーションなどもあるが、普遍的なシミュレーションは、残念ながら破綻するケースが多い。シミュレーションの専門家、もしくは経験者ならば良く理解できるものと思われるが、基本的に計算物理学や計算化学等によって計算を行う分野のため、有限要素法や境界要素法などによって、計算できるモデルが中心のためだからである。。
特に、産業面でのスーパーコンピュータ利用の普遍化と相対して、経済立国の足場である物造りの競争力を維持できる必要最低限のシミュレーション能力とその基盤の確保において、積極的な投資も行われず、多くの問題も内在している。そのため、民間主導での小規模でも積極的なプロジェクトの立ち上げとその強化が行われるべきであろう。しかしながら、計算機資源を確保し、有効活用するためには、開かれた計算機利用環境が必要不可欠であり、現在、政府内でも知的もの作りに関して議論が進められている。今後の民間の課題としては、せっかくあるインフラストラクチャーの有効活用であり、有効活用しながら、改善提案などを運用機関との間の協議によって深めていくべきであろう。
日本国内の官学による大型スーパーコンピュータ計画は汎用京速計算機(概念設計段階)を構築することへと目標を統一しているところもあるし、また他のプロジェクトも実施が行われ、全体としてみれば、スーパーコンピュータ(HPC)開発に、関連する分野の産官学あげてプロジェクトに取り組んでいる状況である。
現状、高速ネットワークを使用し、動作スレッド上のジョブ展開などの問題点をクリアする事が課題とされており、複数の改善施策が執られている。(詳細はスーパーコンピュータ技術史参照)これにより飛躍的に伸びる計算能力は、学術研究機関における高度な研究における計算能力の活用、さらには産業界において世界的に激化している研究開発競争のために生かされるであろう。
各地の計算センターの複数のスーパーコンピュータを統一的に利用するための手段として米国で主唱・開発そもそもアメリカ合衆国では、インターネットの産みの親になった、ARPANET(現在は、軍事用にMil-netが、研究用に、Internet-2が稼動している)が稼動したときのように、もしも核戦争になってしまったとき、計算センターが生き残れるようにと、計算センターを全米に分散させる措置が取られたといういきさつがある。分散してしまったコンピュータを活用して、超大型スーパーコンピュータにも匹敵する性能を引き出せるように出来ないかということで、グリッドコンピュータの誕生へと繋がったいきさつもある。され、大規模な分散コンピューティングが必要とされる分野において世界的に開発が進められているグリッドコンピューティングの技術開発に関して、日本国内においてもNAREGIが国家プロジェクトとして採択を受け、研究と構築が進んでいる。
また、国内の学校を含む、研究・教育機関に教育用に導入されているPCにグリッド基盤パッケージを導入し、現時点では利用されていないCPU資産をグリッドコンピュータの一部として活用する計画への参加を呼びかけている。
近年の米国の計算機開発は、核兵器維持管理のためのコンピュータシミュレーションや高信頼性代替核弾頭など各種兵器の開発設計、作戦シミュレーションなど軍事利用の傾向が強い。そのため現在の技術開発は国防高等研究計画局とエネルギー省国家核安全保障局が中心となって進められている。国家プロジェクトに参加することで開発ベンダーに培われたHPC技術は、民間用スーパーコンピュータとして商品化され、生命科学、金融工学、VFX・コンピュータグラフィックスなど広範な分野で使用されている。
防衛高等研究計画局の方針では今後はハイブリッド型計算機の開発に取り組み、PFLOPS越えだけではなく、その先を見越した研究を展開するという。今後も、米国は世界最先端・最速のスーパーコンピュータの構築に挑戦し続けるであろう。
グリッドコンピューティングの走りとして世界中のPCが参加しているSETIやグリッドによる分散処理に向いた研究素材を集めて、共通のグリッド基盤で処理を進めるBOINCといったプロジェクトが軌道に乗っており、世界各国のプロジェクトが相乗りして成果を挙げている。
日本の計算科学分野における科学技術政策では、国立大学や国立研究機関などへの スーパーコンピュータの導入に関してNLSとNISという位置付けがしばしば用いられる。
例として、1993年時点で世界最速を競っていた航空宇宙技術研究所の数値風洞や筑波大学の CP-PACS はNLSとして使用が始まり、その後2年ほどでNISとして利用された。2004年まで2年半の長期に渡ってTop500http://www.top500.org/の第1位を占めた地球シミュレータもNLSとして開発され、2007年頃にはNISとして供用されると見られる。
2006年現在、地球シミュレータに代わる次期 NLS として汎用京速計算機が構想されており、その後も政府の国家戦略として、最先端の性能を持つスーパーコンピュータの研究開発を持続的に推進していくべきであるとする提言が文部科学省科学技術・学術審議会等で出されているhttp://www8.cao.go.jp/cstp/project/super/haihu01/siryo2-3.pdf。
| ベンダ名 | 2005年06月 | 2005年11月 | 2006年06月 | 2006年11月 |
|---|---|---|---|---|
| 富士通 | 4台(全て国内のみ) | 4台(全て国内のみ) | 3台(全て国内のみ) | 2台(全て国内のみ) |
| 日立 | 0台 | 1台(全て国内のみ) | 3台(全て国内のみ) | 2台(全て国内のみ) |
| NEC | 2台(日本1台、ドイツ1台) | 2台(日本1台、ドイツ1台) | 3台(日本2台、ドイツ1台) | 2台(日本1台、ドイツ1台) |
| 日本設置台数 | 9台 | 10台 | 15台(日立と富士通の共同構築1台) | 8台(日立/富士通、NEC・SUNの共同構築それぞれ1台) |
| ベンダ名 | 台数 | 占有率 | 100位以内の台数 |
|---|---|---|---|
| IBM | 233 | 46.6% | 71 |
| HP | 218 | 43.6% | 8 |
| SUN | 2 | 0.2% | 0 |
| SGI | 13 | 2.6% | 6 |
| 日立 | 5 | 1% | 1 |
| NEC | 6 | 1.1% | 2 |
| 富士通 | 5 | 1% | 4 |
| クレイ | 15 | 3% | 7 |
| インテル | 3 | 0.6% | 1 |
輸出対象外である中国を含む世界全体を見通した市場規模調査でも多くて400億円/年程度であり、今後、予算的な都合で性能の向上についていけないベンダが撤退・脱落していくと予測される。なお、グラフィック処理用サーバでの赤字とスーパーコンピュータへの過剰な経営資源の投入のため、SGIが2006年5月に連邦倒産法第11章の適用を申請し、受理された。その後、財務面での整理が行われ、06年11月に第11章適用対象から外れ、建前上、一つのコンピュータメーカとして再生を果たした。
WindowsCCSを導入した組織として、東京工業大学がある。他のHPCはLinux,UNIXベースの似通ったシステムが多く、学生が将来就業する際にそれらのOS以外にもWindowsも学んでおく必要があるというのが導入の理由である。
なお、技術的詳細に関しては、スーパーコンピュータ技術史の現在の項を参照。