読み込み中...スター・システム (star system) とは、多くは演劇・映画・プロスポーツなどの興行分野において、高い人気を持つ人物を起用し、その花形的人物がいることを大前提として作品製作やチーム編成、宣伝計画、さらには集客プランの立案などを総合的に行っていく方式の呼称。また、資本力やニュースマスコミを利用した大々的な宣伝の反復などによって、その様な花形的人物を企画的に作り出すシステムの事もこの一環として指す。
近代以前より演劇分野、特に商業演劇を中心に定着し、20世紀以降は映画製作、アイドルタレントなどにも用いられるようになった。
転じて、漫画などで、同一の作家が同じ絵柄のキャラクターをあたかも俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させるような表現スタイルも、スター・システムと呼ばれている。日本の漫画分野におけるこの手法の祖は手塚治虫とされ、スター・システムを採用している宝塚歌劇の影響を受けて始めたものと言われている。
さらには、テレビマスコミの発達により、プロスポーツはもとよりアマチュアスポーツにおいてもテレビなどのマスコミが取材と報道を何度も行い、国際大会や世界選手権大会などのスポーツ中継の番組の宣伝の中でも選手紹介を反復的に繰り返す事で、選手の知名度を意図的に上げ、その競技のスター選手として祀り上げる事例が見られるが、これもスターシステムの一種といえる。
また、ワイルド・カード・シリーズではシェアード・ワールド、またはモザイクノベルと呼ばれ、ロジャー・ゼラズニィ他多数の作家が同一の設定・舞台を元に連作を成している。ある作家の作り出した登場人物が別の作家の作品に登場したり、またある作品で起こった出来事が別の作品でも起きたことになっているなど世界観を共有している。
アニメーションや漫画におけるスター・システムは、興行分野におけるそれとは意味合いを異にする場合がある。
アニメーションでは、アメリカのカートゥーンと呼ばれる劇場用短編作品が多く作られたジャンルにおいて、人気キャラクターを俳優に見立てて、その出演作が製作された。これは、アニメキャラクターは俳優であり、主演映画シリーズを持っているという点で、興行分野におけるスターシステムと共通するものであった。
リヒャルト・ワーグナーのライトモティーフ、シルヴァーノ・ブッソッティのラーラ・ツィクルス、カールハインツ・シュトックハウゼンのフォルメル技法も広義のスターシステムと呼ぶに相応しい。
日本もハリウッド方式を取り入れ、既に第二次世界大戦前の1920年代後半辺りには俳優の映画会社専属制が確立されていた。以下、戦前・戦後の映画会社と専属俳優達の代表例を挙げる(注 1.会社と俳優はどちらも順不同。2.戦前・戦後とも各社全員が同時期に専属だったわけではない)。
しかし、1960年代からの映画産業の斜陽やそれによる倒産(新東宝、大映)、成人映画への移行(日活)、専属俳優達の解雇(東宝)などにより、1970年代に入ってこの映画会社専属制はほぼ消滅し、長い歴史の幕を閉じた。以降、上記の俳優達も事務所・プロダクション制に移行した。
余談だが、今の若い映画ファン達にはあまり知る人が少ないが、なぜ、今も活躍中のベテラン俳優達が仲が良かったり、話のネタになるかというと、(上記以外の面々でも)このように過去に同じ映画会社の専属俳優として『同じ現場で飯を食った仲』だったからである。
逆に、現在は所属先が違ったり共演も全く無く接点が無さそうでも、今なおライバル関係が同じ専属だった昔のまま存在し続けているベテラン俳優達もいる。
また、当時を知っている世代のファンや俳優ではない有名人達が、今でも俳優名と共に所属していた映画会社名を言うのも、現在で例えれば引退したプロ野球選手やフリーになった元局アナに対してと同じ感覚、と言っても過言ではない。
大映が60年代が70年代にかけて宇津井健主演のザ・ガードマンをロングヒットさせ、宇津井はその後も大映テレビの顔として活躍した。70年代は「赤いシリーズ」で三浦友和、山口百恵のコンビが特に有名。「京都地検の女」と「京都迷宮案内」の主人公が同じドラマ同士で出演あり。石立鉄男も大映テレビの常連のスターであった。
1980年代のトレンディドラマを端緒として、フジテレビの「月9」と呼ばれるドラマの枠などで、ドラマの企画も決まっていない内から視聴率の取れる俳優のスケジュールを確保することがしばしば行なわれる。
また、2007年に終了した「火曜サスペンス劇場」枠のラストとなった「火曜ドラマゴールド」の最終回「監察医・室生亜季子」の完結篇では同じく同枠で不定期に放送されていた「女検事・霞夕子」「警部補・佃次郎」の主人公がそれぞれ登場し、「救急指定病院」の池上季実子や「警視庁鑑識班」の西村和彦、数々の火曜ドラマに登場した藤田まこと(しかも出演する左とん平はヘイ・ユウブルースをリクエストする)などの豪華キャストの登場で25年以上に亘った同枠の最終作を華々しく飾った。
広い意味でのシリーズ作品であるケース(クロスオーバー作品)、シャーロック・ホームズ等の有名キャラクターが登場するケースを除いた場合、小説におけるスター・システムを定義することは難しい。小説では個々のキャラクターよりも世界観や物語が重視されるため、キャラクター性による純粋なスター・システムは成立しにくい。特定キャラクターが大きく活用される際は元作品のジャンル、世界観なども引継ぎ、シリーズ作品の形態を取られることが多い。
菊地秀行作品には「外谷順子」という人物が多数の作品に出演しており、主人公となった作品もある。
大塚英志、白倉由美の小説、漫画には「大江公彦」「ロリータ℃」といったキャラクターが世界観の枠を超えて登場するが、これはシェアード・ワールド、スピンオフとしての性質も帯びている。
1980年代末以後、サンリオのキャラクターを俳優に見立てた出演作として、童話を題材にした『サンリオ名作映画館』シリーズ、オリジナルストーリーの『サンリオキャラクターアニメ』シリーズが製作されている他、2006年現在ではマイメロディを主人公にした『おねがいマイメロディ』シリーズやテレビ番組『キティズパラダイス』内でサンリオのキャラクターが主演するアニメ作品がテレビ放映されている。
また、オリジナルビデオアニメを中心としたメディアミックス作品『天地無用!』に登場していた脇役キャラクター「砂沙美」に人気が出たために、砂沙美を主人公にした別個の作品『魔法少女プリティサミー』、『砂沙美☆魔法少女クラブ』が制作された。これらは、スピンオフの一種とも言えるが、作品人気による続編や舞台背景を共通するサイドストーリーとも異なり、キャラクターを俳優に見立てたスターシステムに基づいた企画である。漫画では主に以下の種類に分類される。
ゲームも漫画・アニメ同様スターシステムを用いている作品がある。ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーションである『キングダムハーツ』シリーズはその典型例である。また、シリーズ作品とは別途に、キャラクターのみを全く別ジャンルのゲームに用いているものがある。日本における代表例として『スーパーマリオブラザーズ』のキャラクターが様々な作品に登場している。『マリオカート』(レース)、『マリオテニス』(スポーツ)、『スーパーマリオRPG』(ロールプレイングゲーム)、『ヨッシーのたまご』(パズル)など非常に多岐に渡っている。任天堂はこの他自社ゲーム登場キャラクターを一堂に会させるクロスオーバー作品を多く作っている。
1980年代以降、本来は日陰の存在であるアニメ・ゲームの声優にファンがつくことが多くなった。これを受けて、1990年代において、キングレコードのレーベルであるスターチャイルドが資本的に関連したテレビアニメ、あるいはスターチャイルドが発売元となったオリジナルビデオアニメで、その主役キャラクターやメインヒロインの声優を林原めぐみがほとんど独占した例がある。これなどはキャラクターに合わせて声優をキャスティングしたのではなく、林原めぐみ主演という前提でスターチャイルドが製作に関与したという意味で、興行的な意味合いが色濃く出たスターシステムと言えよう。
また、2000年代に入ってからは堀江由衣がそれを継承する形となっている。しかしながら、人気ゲーム『乙女はお姉さまに恋してる』のアニメ化にあたっては、原作者の意向を無視するかたちで、出演声優を強行して同社の看板声優ユニットAice5のメンバーに割り当て波紋を起こした。つまりこのケースは、(声優の)キャスティング主導型のプロダクトは各方面への根回しが重要であるという典型例であるといえる。
一方で現在、声優プロダクションとして「声優によるスターシステム」を最も強く推し進めている企業には株式会社ラムズが挙げられる。ラムズは「声優はエンタテインメント」をコーポレイト・ボイスに掲げ、野川さくらや宮崎羽衣、酒井香奈子など、マネージメントにスター・システムを積極的に導入し、所属声優を集中的に投入することで成功している。
例えば、酒井香奈子はデビュー直後の初主演作『REC』において新人声優の恩田赤というキャラを担当したが、このキャラは彼女の立場が役に投影されたキャスティングとなっていた(ゲーム版では、オリジナル・ヒロインに所属声優を2名投入)。また、『マジカノ』には野川さくらや宮崎羽衣など同社所属声優を何人も投入。主題歌は野川さくら、エンディング・テーマも同社所属声優によるユニットクローバーが歌う楽曲が採用されており、スターチャイルド的なマネージメントを効果的に取り込んでいた。
逆の例を挙げると、仲間由紀恵とともに東京パフォーマンスドールの研修生(後に正式メンバー)でもあった徳永愛は、ラムズを離れて以後、フリーランスとなったこともあってめっきり露出が少なくなった。この他ラムズは、実写作品やゲーム、ウェブラジオ(アニラジ)のプロダクトなど、制作からプロモーションまで自社のブランディングを含めたその多角的な声優プロモート事業を展開しており、今後の「声優によるスター・システム」のビジネス・モデルとして、無視できない存在となっている。
2006年12月に放送された『ウィンターガーデン』は、『デ・ジ・キャラット』のキャラクターを使用したスターシステム作品ともいえるが、それぞれのキャラクターを同じ声優が声をあてていなければ、キャラ名は同じであっても同じキャラクターとして見るのは語尾が「――にょ」や「――にゅ」でないことも含めほとんど不可能な作品であった。事実、『ウィンターガーデン』がTBSアニメフェスタ'06の会場で予告なく上映された際には、エンド・クレジットではじめて『デ・ジ・キャラット』シリーズと関連のある作品であると分かったほどである。現在のアニメ・シーンにおいて、キャラクターとその声を演じる声優とが密接な関係となっているティピカルな例といえる。また、『デジキャラット』の主要声優3名は、スポンサーとして同じブロッコリーが関連する『六門天外モンコレナイト』でも3人セットのゲストキャラクターで2回声をあてていた例がある。
また、2007年4月から9月に放送された『アイドルマスター XENOGLOSSIA』は、コンピュータゲームの『THE IDOLM@STER』のキャラクターを用いる、「架空のキャラクターによるスターシステム」を導入するだけでなく、出演声優をゲーム版から入れ替えた際に、「その大半を『舞-HiMEプロジェクト』作品群に声をあてたことのある声優を起用する」「声優によるスターシステム」という2つのスターシステムを同時に行った稀な例となった。『アイドルマスター XENOGLOSSIA』のスタッフのほとんどが『舞-HiMEプロジェクト』のスタッフであることと、制作コンセプトが「アイマスのキャラでの『舞-HiME』」としていることから可能となったことであると言えるが、オリジナルである『THE IDOLM@STER』のファンからは、「元の舞台背景や今まで声をあててきた声優の存在を反故にしている」として賛否両論が起きている。
肝付兼太は、数多くの藤子不二雄アニメで声優をつとめていることで有名である。(代表例:『ドラえもん』(第1作、1973年)のジャイアン、『ドラえもん』(第2作1期、1979-2005年)のスネ夫、『忍者ハットリくん』のケムマキ、『パーマン』(第2作)のパーマン4号、『オバケのQ太郎』(1985年)のハカセ等)また、声優が前面に押し出されたゲームソフトも存在する。
音楽の分野では、古くから手塚漫画の音楽を手掛けている冨田勲が取り入れている。
しかし、さまざまな弊害や失敗はあるものの、この方法が莫大な利益をもたらすのは間違いなく、フリー・エージェント制になった現在のハリウッドでも、スター・システムは脈々と生き続けている。
スポーツの分野でもこの言葉が使われることがあるが、上に列挙した分野とは意味合いが大きく異なり、主にテレビやスポーツ新聞などのマスコミ報道や番組宣伝による要因が主体となって、スターが作られるという観点で用いられ、また負の意味合いをもって使用されている場合がある。
スポーツにおいてスターシステムという言葉が多用されるようになったのはサッカー日本代表の監督(1998年 - 2002年)であったフィリップ・トルシエが使い始めた事がきっかけである。彼は、テレビ・新聞などのマスコミが、知名度の高いスター選手や期待されている若手選手のことを過剰に持ち上げ、試合で彼らを起用しないことを批判したり、調子が下がると目の色を変えて批判を始めるなど、選手に過剰なプレッシャーを与える様な報道を繰り返している事を、皮肉を込めてスターシステムと呼んだ。
一方でトルシエ時代の中村俊輔の様に、批判をする事自体がタブー視される選手もいる。
また、マスコミ報道による過度のプレッシャーにより選手が潰されてしまった実例として、しばしばトルシエは前園真聖の名を挙げた。この言葉はサッカーに対するマスコミ報道を批判する時に度々引用され、それは2002年にトルシエが退任した後も続いている。その後も2003年における大久保嘉人、2004年における平山相太などで、マスコミによるスターシステム的扱いとその弊害を指摘する声が聞かれている。
トルシエが就任する以前からで言えば、カズこと三浦知良が代表的な例である。サッカー人気の上昇と共に日本代表の絶対的なエースとして君臨し、期待にこたえて活躍し続けた分、選手としての絶頂期を過ぎ、それまでのようなパフォーマンスを出来なくなってきた1997年のW杯予選では、ここぞとばかりにマスコミはカズを叩いた。また、高原直泰が所属リーグであまり活躍できていなかったとき、それにもかかわらず、ジーコが高原を代表戦で使い続けた。当然代表戦でも、思ったような結果が出せなかった。そのときマスコミが調子の上がらなかった高原に対して目の色を変えて批判し始めた。これもスターシステムの弊害の一種である。
日本テレビが1953年に試合のテレビ中継を開始したが、日本テレビのグループ会社に読売ジャイアンツの親会社である読売新聞があったため、読売ジャイアンツの試合ばかり中継するようになり、ジャイアンツファンの開拓に大きな役割を担った。このジャイアンツファンの増加に伴い、日本テレビ以外の在京キー局でも、相手のセントラル・リーグチームから放映権を得て、ジャイアンツ戦を中継するようになった。このことが、「プロ野球=巨人」、「セリーグ>パリーグ」といった、歪んだ構造を生み出した。
また、テレビ中継開始とほぼ同時期に、東京六大学のスター選手であった長嶋茂雄が読売ジャイアンツに入団したことにより、中継において長嶋茂雄を中心とした番組編成がなされることとなった。これは長嶋茂雄が引退して監督に就任した後も続けられた。選手を軽視して監督にばかり焦点を当てた番組作りは、一時的な話題こそ提供できたものの、視聴者であるプロ野球ファン、とりわけ青年層以下のニーズとは全く乖離しており、このことがプロ野球中継における視聴率低下、さらには野球の話題としての商品価値の低下につながった。
高校野球においても、甲子園大会で活躍した特定選手を、一高校生にもかかわらずスター扱いして祀り上げる傾向が古くより見られる。戦後で社会的ブームとなった存在を拾えば太田幸司、荒木大輔と列挙できるし、近年でも、2006年の甲子園大会で活躍した斎藤佑樹などで、「ハンカチ王子」というあだ名をつけ、大学進学後の現在にいたるまでマスコミのカメラが執拗に追いかけ回している。
2004年アテネオリンピックの際、女子バレーチームの各選手に愛称を付け、それを各報道機関で繰り返し使うことで、バレーボールマニア以外には知られていなかった選手たちの知名度を上げる事を企図した。栗原恵を「プリンセス・メグ」と呼んだり、「スーパー女子高生」や「帰ってきた五輪戦士」とひとりひとりに二つ名を設定した。
実況やゲストのタレントもこの二つ名を連呼し、イメージ定着を図ったが、あまりのそのしつこさに辟易した者はテレビ視聴者はもとよりバレーボールファンにも少なくなく、インターネット上などでは選手に対するアンチが発生してしまう原因となった。
世界陸上競技選手権(世界陸上)において、中継を担当したTBSが番組制作の過程で二つ名を設定し、番組の事前宣伝のコマーシャルや、選手名の表示において現地からの画像に重ねるように、それらを繰り返し前面に出す。
「マッハ末續(末續慎吾)」、「鉄人DNA(室伏広治)」、「ラスト・サムライ(為末大)」など単純明快なものばかりではなく、インパクトの強さを狙って「大英帝国のメダルハンター(ダレン・キャンベル)」「ブロンドのぶっとび娘(カロリナ・クリュフト)」「女王にたてつくミステリーハンター(アンナ・ロブフスカ)」など長いものを設定することもある。
確かに番組の宣伝や演出の効果はあったものの、これでもやはり上述のバレーボールと同様の弊害も発生する結果になってしまった。
数ある日本のスポーツの中でも、最もスターシステムを派手に活用して、スター選手を企画的に作り出してきたのが、単純な勝負以上に興行としての色彩が濃いプロレスである。
一例として典型的なものを挙げれば、1980年代の新日本プロレスがあり、アントニオ猪木やタイガーマスクを興行の中心に据え続けた。無名外国人選手を招聘し、前述の二人を除く日本人レスラーを次々と倒した後に、完敗させることにより、スター選手(エース)の強さを演出し格と人気を保持していた。プロレスの場合、スターに倒されるやられ役であるジョバーが重要な役目を背負う。
ハッスルにおいては、学生プロレス経験者であるが本職はお笑い芸人であるHGや、インリン・オブ・ジョイトイを前面に出し、プロレスラーが彼らを際だたせるための役割を担っている。また、アントニオ猪木vs滝沢秀明など芸能人とレスラーが試合をすることも珍しくない。
また、女子プロレスでは選手の人気獲得の為の販売戦略として、ビューティ・ペアやクラッシュギャルズなどが試合前のリング上で自らの持ち歌を歌った様に、当時のアイドル芸能人的なプロモーションを大々的に行った例もある。
ただし、興行・エンターテイメントとしてプロレスを見るならば、スターシステムがもたらす宣伝・集客の効果は大きく、むしろ企画上必要不可欠な要素で、スターレスラーの人気は高ければ高いほど選手にとっても団体にとっても良い。逆にアマチュアスポーツや五輪競技、他の格闘技の様な、選手がスター化する事で発生する弊害はプロレスに限ればほとんどない。
ただし、ことテレビに限って言えば、プロレス番組は民間テレビ放送黎明期からのものであるだけに、長く培われたプロレス式のスターシステムのノウハウが、ここを起点に同じ番組製作会社やスタッフを通じて他種目のスポーツジャンルにも導入され、またエピゴーネンなどを生んだ事も事実で、プロレスのスター作成手法が、今日、スポーツ界全般にスターシステムを蔓延させる状況を作り出した一大要因となったという点は否定が難しい。
PRIDEでは俳優の金子賢、K-1 Dynamite!!ではタレントのボビー・オロゴンがアマチュアでの実績が無いにも関わらず、試合を行った。この場合は、テレビ局と興行会社の連動でプロモーションが行われた。金子はPRIDEを放送するフジテレビ、ボビーはK-1 MAX、HERO'Sを放送するTBSでそれぞれレギュラー番組を持っており、その番組で試合までのドキュメントが放送された。
ただし、総合格闘技というものは、見世物的な要素が多いプロレスへの反発が成立の一要因であり、『プロレスとは違う格闘家による真剣勝負』が最大の売りであるため、この様なあくまで格闘技のプロではない芸能人の参戦、そしてそれをマスコミが大きな対戦カードとして盛り上げようとする意図に対しては、特に当初の理念を墨守するコアなファン層からの批判が根強く存在する。
亀田興毅、亀田大毅、亀田和毅ら「亀田三兄弟」は、TBSの演出を受けてスターとなっている。タイトルマッチではなく、招聘禁止選手との試合でもゴールデンタイム・プライムタイムで試合が放送され、彼らを紹介するドキュメンタリー番組なども製作された。
上記の斎藤佑樹選手と同じ手法で、高校生の石川遼選手にも「ハニカミ王子」というあだ名をつけ、執拗なまでにカメラを追いかけ回し、プレッシャーを与え、さらに過剰なまでのCM出演など、もはや半芸能人扱いをしたり、他に宮里藍選手や横峯さくら選手なども同じといえる。
上述してきたものの他、幼少期から全国大会に参加するなどして話題になっている選手を、ニュース番組のスポーツコーナーなどでドキュメンタリー的に何年間も追い続けて、『将来の日本代表のエース候補』などと持ち上げ、知名度を上げて行く手法も現在では見られている。その結果として、年端もいかない、また実力的にもまだ低い幼年の選手が、日本トップクラスの選手を遥かに上回る知名度を得てしまう事態も見られる様になっている。
この場合、最初期から目を付けて取材していたテレビ局や製作会社へ、選手の関係者、競技統括団体の側もより多くの情報や取材機会を結果的に提供している事も多く、事実上はマスコミと組んでその情報伝播力を利用して競技のスター選手を作り上げているともいえ、これは企画的にスターを作り出すスターシステムとさして変わらぬ手法である。
具体的には柔道の田村亮子(現・谷亮子)、卓球の福原愛などがその典型といえる。
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