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スマートフォン

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
Wikipedia画像へのリンク(FOMA M1000、スマートフォンの例)

スマートフォン (Smartphone) は、携帯電話PHS携帯情報端末 (PDA) を融合させた携帯端末

通常の音声通話や携帯電話・PHS単独で使用可能な通信機能だけでなく、本格的なネットワーク機能、PDAが得意とするスケジュール・個人情報の管理など、多種多様な機能を持つ。

概要

端的に表現するなら、「カスタマイズ可能なPDA機能が付いた高機能携帯電話」である。

携帯電話・PHS端末を出自とするもの、PDAを出自とするもの、ページャー(ポケットベル)を出自とするものの三つに大きく分けることができる。

2008年現在日本国内で普及している一般的な携帯電話にもメール機能やブラウザ機能は搭載されてきているが、搭載OSのAPIが公開されてネイティブアプリケーションを追加導入することを含めた高度なカスタマイズができるかどうかという点を境目として、日本的な高機能携帯電話は「ブラウザフォン」としてスマートフォンとは区別できる。 だが、Pメールiモード写メールなど、現代の国際的なスマートフォンにつながる重要な要素は日本の高機能携帯電話開発競争の中から生まれてきた概念と無縁では無いため、日本的な高機能携帯電話が広義のスマートフォンにあてはまらないとは言い切れない。

動向、経緯

スマートフォンについて記述するとき、端末製造各社の多国籍企業化や、それによる地域・大陸ごとの発売次期の相違、そして日本・韓国においては携帯電話規格が世界の大勢的標準とは違っていることなどに留意する必要がある。

そうした前置きの上で、国際的にみた「smartphone」は原義としては「賢い電話」であり、日本語に意訳すれば「多機能電話・高付加価値電話」等となる。だが携帯電話に限らず「多機能化」自体は日本人にとっては特に目新しい概念ではなく、後述するように欧米でのスマートフォンの発達と同時期に日本の携帯電話は独自に高機能化を進めていた。そのため日本においてはスマートフォンという概念が極めて見えにくくなっている。

実際に、2007年の全携帯電話におけるスマートフォンの販売台数は、iPhoneBlackBerryなどが人気である北米では約17%であるのに対し、高性能な携帯電話が主流である日本では約2%にとどまっている。iモードメールにも対応予定――ドコモの山田社長が「BlackBerry

基調としてスマートフォンを定義づけるならば、 まず「携帯電話として、音声通話ができること」が当然ながら挙げられる。次に、「月間カレンダー表示程度ではない、ある程度以上の高度なPIM機能をもっていること」。ここではPIMの基本機能を、試みに「スケジュール管理」「電話番号メモにとどまらないアドレス情報管理」「電子メモ記入」の三つとしてみる。また、音声以外の何らかのメッセージングシステムの端末となっていることも重要な要素である。そして、ユーザーがオペレーティングシステムにアクセスすることができ、ネイティブアプリケーションを自由に選んで導入・利用できるものならば、よりスマートフォン像として実態に近いものになる。

3つの出自

上記の要件は、現在スマートフォンと呼ばれるもの、あるいは「スマートフォン的」なるものの出自から逆算できるものである。スマートフォンに分類される電子デバイスは、出自によって大きく3つに分けることができる。

  • 携帯電話出自 ? Nokia製のQWERTYフルキーボード内蔵機種に代表される高機能携帯電話など。1996年以降の日本のケータイ(携帯電話/PHS)も含めることができるが、ケータイはスマートフォンであるとは普通捉えられない。
  • PDA出自 ‐ Treoシリーズなど
  • メッセージングデバイス(ポケットベル)出自 ‐ BlackBerryシリーズなど

これらの状況から、特に日本国内においては、2G以降の携帯電話PHSに、1996年のPメールから始まる各キャリアでのショートメッセージ機能搭載を経てのEメール送受信機能搭載、比較的高度なスケジュール管理機能、スチルカメラ機能・ムービー撮影機能が次々と搭載されており、いつの間にか事実上のスマートフォンに近づいていたともいえる。

なお、アップルのiPhoneは、電話機能を有するインターネット端末にPDA的機能を統合したもので、上記3つのいずれとも出自を異にする、やや異色の存在である。

1996年

DDIポケットPメールを提供開始した1996年、ヨーロッパではNokiaが「Nokia 9000 Communicator」を発表した。これは、閉じた状態では縦長ストレート型携帯電話だが、クラムシェルを開けば640×200ピクセル画面及びQWERTYキーボードが現れるという、「携帯電話+PDA」を一台で実現したデバイスだった。これが、現在につながるスマートフォンの嚆矢であると考えられる。ただし、このとき「スマートフォン」という言葉はまだ存在しなかった。

PDAという言葉は1993年にアップルが米国内でNewtonという新ジャンルのデバイスを発売したときに付けられた造語・概念である。PDAという言葉・概念が一般化したのはその3年後の1996年にパームコンピューティングが発売した pilot(Palm pilot)のヒット以降である。PDAとしてスタートしたいわゆるPalm系デバイスは、紆余曲折をへて現在では電話・通信機能を持ったTreoシリーズとして脈々と続いている。

1999年

1996年とともに重要な年が1999年である。 この年、日本ではNTTドコモによりiモードがサービスインしている。

そして同年カナダでは、Research In MotionRIM)社が「BlackBerry(ブラックベリー)」を発売した。これは、発売当初は電子メールの使えるキーボード付きポケットベルとでもいうべきものであった。しかし現在ではPIM機能のグループウェアとのセキュアなリモート連携・プッシュ型電子メール・音声通話機能や、インターネット上のウェブサイトの閲覧、さらに機種によってはマイクロソフトのOfficeアプリケーションファイルやPDFの閲覧・編集機能も備えたスマートフォンに変貌を遂げている。ブラックベリーは主に法人向けであり、2004年ごろから、米国のビジネスマンを中心に普及し、スマートフォンの米国でのトップシェアを誇っている。2006年にはNTTドコモが専用サーバ(BlackBerry Enterprise Server)とのセットでBlackBerry8707hを法人向けに国内販売を開始した。2008年には、POPIMAPメールやGmailWebメールのプッシュ型電子メールに対応した、個人向けサービスBlackBerry Internet Serviceを開始した。

影響し合うサブジャンル

現在スマートフォンと呼べるものまたは自称しているものは、商品展開において影響をお互いに与えていることが少なくない。

それまで独自の手描き入力「グラフィティ」をキーワードにしてきたHandspringは2002年1月に通話機能標準装備のPDAとして、初めてTreoシリーズを発売したが、初代となるTreo180(無印)には小型QWERTYキーボードを搭載した。これは前述のBrackBerryの影響である。ちなみにグラフィティ仕様のTreo180gも発売したが、後に終息した。

そのBrackBerryは、同年末以降に音声通話に対応した。これは、Treoシリーズあるいはその前身であるVisorシリーズの通話オプションアタッチメントハード「VisorPhone」や、2001年12月に「HipTop」という名前で発表され2002年10月に「SideKick」として発売された通話可能製品の影響がある。

SidekickHipTop)」は2002年1月の見本市・International CESでは「音声通信ができるBlackBerry」という捉えられ方で歓迎された。しかし、US200ドルを下回る低価格製品であり、カメラ機能だけはDDIポケット自社PHS用に発売していた「トレバ」というオプションハードとそっくりの外付けオプションだった。日本国内においては既に2000年11月に携帯電話「J-SH04」が内蔵カメラを搭載しており、その後各社・各キャリアが追随していったという歴史状況があるため、その目で見ると「スマートフォンなるもの」としては見劣りする感が否めない。

イメージング機能

イメージング機能をスマートフォンの要素と考えるなら、2002年に欧州のVodafoneへ対してNokiaが「Nokia 7650イメージング・フォン」を出荷した時期が、現代的なスマートフォンのスタートだと捉えることも可能だろう。もっともこれさえも、日本でのJ-Phoneによる「写メ」が、同社のVodafoneグループへの吸収という事情で国際展開のチャンスを得たということが背景にある。

ちなみに同じ2002年の11月には、「Sanyo 5300」が米国内では初めてとなるカメラ内蔵型携帯電話として発売されている。

そしてこれらの状況を受けて、米国で好調だったTreoシリーズが2003年、Treo 600でカメラ機能を初めて内蔵し、VGA撮影可能なカメラと通話およびメッセージングが可能な携帯電話、そしてQWERTYキーボード搭載のPDA機能を集約したデバイスとして登場している。

Windows Mobileベーススマートフォンの登場

その2002年、SideKickの発売元であるT-Mobile USA(VoiceStream Wireless)は、OSとしてPocket PC Phone Editionを搭載した携帯電話をUS549.99ドルで発売している。2002年時点では米国市場の受け取りかたはまだ、「PDAであるPocketPCに通話機能が付いた」というものだった。しかし、その流れを汲むWindows Mobileベースのスマートフォンはユーザーインターフェースに課題を抱えながらも、PCとの親和性などから2008年現在一つの大きな製品群となっている。Palmデバイスを先祖に持つTreoも、今ではWindows Mobileのデバイスである。またPalmデバイスの製造を請け負っていた台湾のメーカーhTcも、スマートフォンのメーカーとして躍進著しい。

iPhone

2007年、アップルが米国で「iPhone(アイフォーン)」を発売開始。独自のOS Xを搭載。これはMac OS X v10.5 のサブセットといわれる。第三世代携帯電話に対応し、70カ国以上とグローバルな展開を計る「iPhone 3G」が日本でも2008年7月11日にソフトバンクモバイルから発売。発売3日間で、iPhone本体100万台の売り上げ、800本以上のソフトのリリース、1000万本のiPhone用ソフトのダウンロードを達成等iPhone
iPhone
、注目度・商品名認知度は高い。

日本での状況

Wikipedia画像へのリンク(W-ZERO3 WS004SH(G) ガンメタリック)

日本ではこれまでに「GENIO」(東芝)や「DataScope」(京セラ)といった"PDA的要素を附加した携帯電話/PHS"はいくつか発売されたが普及は進まず、むしろ一般の携帯電話自体の急激な高機能化を受け入れるユーザー層の増加が目立った。しかし、3G(第三世代携帯電話)の普及にともなって、日本国外で生まれたカテゴリーであるスマートフォンを日本語化して発売することが可能になり、2004年にはボーダフォンから「Vodafone 702NK」(ノキア)が、2005年にはNTTドコモから「FOMA M1000」(モトローラ)が発売された。また同じく2005年以降、シャープウィルコムWindows Mobile 5.0 for PocketPC を搭載した日本独自開発の「W-ZERO3」シリーズを出すなどの動きに、ここにきて日本でも本格的なスマートフォンが普及するきざしが出始めている。日本国外製の3G対応のスマートフォンを個人輸入して使う人もいる。

しかし全般的に日本でのスマートフォン事情は、携帯電話事業者が提供している携帯電話向けのWebやメールのサービスとの相性は良いとは言えない。特に携帯電話におけるプッシュ配信型のメールサービスと、既存のPC同様のPOP3やIMAPをベースとしたスマートフォンのメール機能の使い勝手の違いは大きい。運用の利便性や、本格的に使用するためには特別な追加契約を必要とする等のコスト面からも、高性能化した携帯電話の普及と比べ、"マニア向けなガジェット"に留まっているのが現状である。今後は、従来のスマートフォンと大きく異なるインターフェースを持ったiPhoneや、インターネットとの親和性に注力したAndroidの登場により、使い勝手がよいスマートフォンが一般層に広がることが期待されている。

2008年9月現在スマートフォンを発売しておらず、「スマートフォンはすきま産業である」との考えからスマートフォンを取り扱う予定はないとしていたKDDIau)も、2007年5月の新製品発表会では「スマートフォンは現在開発中で、発売を検討している」と発表していたが、2008年9月の発表で台湾HTC社製スマートフォン「Touch Pro」をようやく投入することが明らかとなった。

日本国外の状況

日本国外ではHTCRIMPalmノキアサムスン電子などが多数機種を出しており、一定の市場を形成している。Symbian OSWindows Mobile for SmartPhoneなど専用のOSも作られており、他にもPalmOSWindows Mobile for Pocket PCなどPDA用OSを一部改良し搭載された機種も存在する。さらにスマートフォン向けに作られたアプリケーションソフトも多数提供されている。

PDA用OSを搭載した場合、それまでに作られたアプリケーションソフトが利用できるという利点がある。

日本国外ではスマートフォンは一定の市場地位を獲得していて、日本と比べるとスマートフォン向けのアプリケーション開発やマニアによる改造も盛んである。

日本のように携帯電話事業者と端末がほぼ固定的な関係とはなっていない日本国外では、スマートフォンに採用されている技術はPCに準じた既存の一般的な方法を利用していることが多く、iPhoneのようにベンダーが通信事業者を限定したいような場合を除いては広く互換性を有しているため、技術的な競争や洗練が起きやすい環境にあるのが特徴である。

そのためスマートフォンのラインナップもPCに準じた大画面でかつキーボードを搭載したようなものから、日本の携帯電話のような小型の端末まで幅広く供給されており、電話というカテゴリーに収まらない展開がなされている。

日本で発売されたスマートフォン

携帯電話/PHSキャリアごとに整理して記す。

日本で発売予定のスマートフォン

  • BlackBerry Bold-リサーチ・イン・モーション製 NTTドコモ
  • Touch Diamond- HTC製-NTTドコモ イーモバイル ソフトバンク対応予定http://www.htc.com/jp/press.aspx?folderid=2342
  • Touch Pro- HTC製 NTTドコモ KDDI ソフトバンク対応予定http://www.htc.com/jp/press.aspx?folderid=2342

脚注

関連項目

外部リンク

マーケット調査会社Canalysが2008年に発表した、ワイヤレスハンドヘルド製品を含むスマートフォーン・モバイルデバイス市場の調査結果
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