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セイコーエプソン

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

セイコーエプソン株式会社(Seiko Epson Corporation)は、長野県諏訪市に本社(登記簿上の本店は新宿区)を置く情報関連機器精密機器のメーカーである。略称はエプソン

手掛ける製品は幅広く、水晶振動子(クォーツ)などの単体部品から、液晶デバイスなどの半製品、各種のプリンタープロジェクターパーソナルコンピュータといった最終製品までを自社名で世に送り出している。

また、セイコーホールディングス株式会社、セイコーインスツル株式会社とともに「セイコーグループ中核3社」を構成しておりSEIKOブランドの腕時計の開発・生産も行っている。株式2003年6月東京証券取引所市場第一部への上場を果たした。証券コード6724。

概説

セイコーグループのひとつであるが、昔からセイコーホールディングス株式会社(旧服部時計店)との直接の資本関係は極めて薄い。しかし、セイコーの創業家の服部家が源流となった企業で、今も服部家(個人および一族の資産管理会社)が大株主で、役員を派遣している。今も創業事業であるセイコーブランドの時計の製造・開発を手がけており、事実上のセイコーのグループ企業といえるアニュアルレポート2007(PDF版、4.85MB)の「大株主との関係について」(53ページ)および「大株主の状況」(86ページ)を参照。そのため、今もセイコーインスツル株式会社と並んで「セイコーグループ中核3社」のひとつとして位置づけられている。ただ、1980年代以降のプリンタやパソコン事業の急成長により、源流企業のセイコーの数倍の事業収益を出しており、セイコーから完全に独立する動きを見せている。

デジタル腕時計の表示デバイスとして液晶ディスプレイの研究開発にはやくから取り組んでおり、小型の液晶ディスプレイの分野では国内でも有数のメーカーある。今日では携帯電話デジタルカメラの製造各社などへの供給を行っている。液晶ディスプレイ(液晶ライトバルブ)を使ったプロジェクターも生産しており、世界でトップクラスのシェアをもち、小型プロジェクターの普及に重要な役割を果たした。インクジェット方式による配向膜の成膜やカラーフィルタの形成技術を有しており、シャープの大型液晶ディスプレイ製造ラインなどにおいてエプソンのインクジェット装置が使われている。

主力事業であるプリンターの分野では、キヤノンと日本市場の覇権を争っている一方、世界シェアでは米ヒューレット・パッカード (HP) 社に大きく引き離れされているhttp://eri.netty.ne.jp/honmanote/comp_eco/2004/1227.htm。キヤノン、HPと同じく、プリンター本体を安価で供給し、インクカートリッジなど消耗品の販売で利益を得るビジネスモデル(消耗品ビジネス、レザー・アンド・ブレード・モデル)に大きく依存している。

高温多結晶シリコン(高温ポリSi)事業の拠点整理の他、日本国内に2つの製造拠点がある半導体事業などの先行きは不明である。過去に日本TI鳩ヶ谷工場(半導体)を購入したものの、廃止したこともある。またIBMとの合弁を解消した野洲セミコンダクタも、オムロンに売却された。

拠点の多くは長野県内に点在するが、酒田、千歳、鳥取 (EID) 、岐阜 (EID) にも工場があり、 信州まつもと空港庄内空港(酒田)、鳥取空港間に従業員の出張用に社有機が就航しているコーポレートシャトル導入事例 伊藤忠アビエーション株式会社

子会社にエプソン販売(国内市場向けエプソンブランド商品販売全般)、エプソントヨコム(水晶デバイス事業)、東北エプソン(半導体、プリンタ部品の製造)、オリエント時計(主にオリエントブランドの腕時計を中心に製造、セイコーブランド向けは本社塩尻事業所の管轄)や孫子会社エプソンダイレクトPC周辺機器のユーザ、法人向け直販)などがある。

歴史

  • 1942年に諏訪市の時計商・山崎久夫により大和工業が創業するhttp://www.kkyamazaki.co.jp/company/history.htmlhttp://ebookbank.jp/murauchi/ep/item/1-19997/服部時計店(現在のセイコーホールディングス)の開発生産部門であった第二精工舎(現在のセイコーインスツル)の出資により、同社の協力工場(セイコー腕時計の部品製造、組み立て工場)としての出発であった。
  • 1943年に戦中の工場疎開により第二精工舎が諏訪市に工場を開設する。
  • 1959年、大和工業を母体として、第二精工舎の諏訪工場が独立し諏訪精工舎となる。
  • セイコーグループが東京オリンピックのオフィシャルタイマーになったのをきっかけに、子会社の信州精器(後のエプソン)がプリンタの開発を始める。予ねてから生産していた腕時計のメカニズムに関する技術を応用して、1968年に電子機器用の小型の電子プリンターを開発し、この電子プリンター(Electronic Printer) から発展した製品群、即ち子供(son)達が成長するようにとの願いを込め1975年に「EPSON」のブランドが制定された。
  • 機械式腕時計のクォーツ化のために、比較的早くからICの研究開発を行なっている。またデジタル腕時計のために液晶も早くから研究開発を行なっている。
  • 1969年に世界初のクォーツ腕時計(アストロン35SQマイルストンプロダクツ)を開発。腕時計の高精度化、低価格化をすすめた。セイコーの大衆・若年層向けブランドALBAは、諏訪精工舎の関連会社である塩尻工業(後にセイコーエプソンに合併吸収)などが開発製造してきたものである。現在も、低価格のデジタルクォーツ腕時計から新ムーブメントスプリングドライブ搭載の高級腕時計グランドセイコー、クレドールまで、セイコー向け腕時計の生産を行っている。しかしながら、1970 - 80年代以降、低価格で高性能なクォーツ腕時計が大衆に普及したことから、低中価格帯の腕時計市場は、時計メーカー・販売各社にとって営業利益率・市場成長率の低いものとなっている。今日、エプソンの時計事業はプリンター事業の数分の一の規模にすぎない。
  • 1982年に発売されたポータブルタイプのコンピュータHC-20のヒットにより、その後HC-40HC-88などの後継機種が発売された(海外ではHXのシリーズ名)。デスクトップタイプとしてはCP/Mが利用できるQC-101983年に発売され、その後8088を搭載して16ビットに強化されMS-DOSが動作するQC-11が発売された(海外ではHXシリーズ)。
  • * HC-88およびQC-10は、日本語入力の方法として豊橋技術科学大学で開発されたTUT-Code方式をタッチ16という名前で採用していた。
  • 1985年に米国で発売されたIBM PC互換機Equityシリーズの成功により製造技術、および営業戦略としての互換機路線の双方で自信を深めた。これが1987年からの日本電気 (NEC) PC-9800互換のパーソナルコンピュータEPSON PCシリーズの発売につながってゆく。その後、PC-9800シリーズの市場が縮小したことから、1995年頃にはPC-9800シリーズ互換コンピュータの生産からは撤退したが、パーソナルコンピュータそのものの製造は続けており、PC/AT互換機を市場に供給している。1993年には、子会社のエプソンダイレクトを設立し直販を開始、現在では購入者が注文時に比較的自由に仕様を選択できるBTO (Build-To-Order) による生産体制を確立しているが、シェアの面で縮小傾向にある。

企業略歴

  • 1942年5月 - 有限会社大和工業として設立。株式会社第二精工舎(現在のセイコーインスツル株式会社)の関連会社・工場として操業開始エプソンの歴史(PDF,291KB) アニュアルレポート2004
  • 1959年5月 - 有限会社大和工業を母体として株式会社第二精工舎の諏訪工場が独立、社名を株式会社諏訪精工舎に改める。
  • 1961年12月 - 子会社として信州精器株式会社を設立する。
  • 1982年 - 信州精器株式会社がエプソン株式会社と改称する。
  • 1985年1月 - 庄内電子工業株式会社(現 東北エプソン株式会社)設立。 
  • 1985年11月 - 株式会社諏訪精工舎がエプソン株式会社と合併し、社名をセイコーエプソン株式会社に改める。
  • 1986年 - 関連会社のサンリツ工業株式会社を営業譲渡により吸収。
  • 1989年4月 - 学校法人エスイー学園エプソン情報科学専門学校を開学。
  • 1990年9月 - 関連会社の塩尻工業株式会社(腕時計製造)、島内精器株式会社(腕時計製造)、松島工業株式会社(水晶デバイス製造)を吸収合併する。
  • 1998年 - 岡谷プレシジョン株式会社を吸収合併。
  • 2000年7月 - 日本TIの鳩ヶ谷工場を買収し、液晶ドライバICの製造会社エプソン鳩ヶ谷を設立する。
  • 2001年 - オリエント時計株式会社を子会社化する。
  • 2003年6月 - 株式が東京証券取引所第一部に上場する。
  • 2004年10月 - 三洋電機株式会社と液晶ディスプレイ事業を統合し、三洋エプソンイメージングデバイス株式会社を設立。株式の55%を保有し、連結子会社とする。
  • 2005年10月 - 水晶デバイス事業を会社分割して、東洋通信機株式会社と統合。東洋通信機株式会社がエプソントヨコム株式会社と商号変更し、セイコーエプソンが株式の68.25%を保有する特定子会社となる。
  • 2006年6月 - ロジック半導体製造の野洲セミコンダクター株式会社(IBMとの合弁)のIBM持分を取得して完全子会社化する。
  • 2006年11月 - ソフトウェア開発会社のエー・アイ・ソフト株式会社をエプソン販売株式会社に合併吸収。
  • 2006年12月 - 三洋エプソンイメージングデバイス株式会社の三洋電機持分を取得して完全子会社化し、エプソンイメージングデバイス株式会社と改称する。

インクジェットプリンタの大躍進

1993年に、ピエゾ素子を用いてインクを押し出す方式(マイクロピエゾ方式)エプソンのコア技術によるカラーインクジェットプリンタ、「マッハジェット(MJ)」シリーズの発売を開始する。

すでにキヤノンが同じくインクジェットプリンタ(「バブルジェット(BJ)シリーズ」)を発売しており、エプソンも1984年に「IP-130K」を発売していたが、当時としてはインクジェットプリンタは比較的高価なうえ大型で(主に熱転写カラーやドットインパクト方式のプリンタが家庭で使われていた)、カラー写真の印刷は粗く多少滲んで写ってしまい不適とされていた(しかもエプソンが出していたものはモノクロ)が、エプソンが1994年6月に「写真高画質」の謳い文句で名機「MJ-700V2C」を発売。

キヤノンのBJ方式とは別のピエゾ方式でカラー写真の印字画質は飛躍的に向上し、30万台以上を出荷するベストセラー機となり、当時のシェアNo.1であったキヤノンに追随し始める。この「MJ-700V2C」はカラーインクジェットプリンタに一種の革命を起こした機種と言える。

広報・宣伝活動

EPSONブランドを広く認知させるため、各種イベントアスリート等へのスポンサードの他、商品のテレビCMに工夫を凝らすなど、従来から広報・宣伝活動に積極的である。

巧みな販売戦略

人気タレントCMに使ってキャッチコピーを大胆に宣伝する販売戦略が優秀で、これまでに製品別で女優の内田有紀、タレントの優香、アイドルの松浦亜弥モーニング娘。(カラリオ大使)、声優のTARAKO、女優の柴咲コウらが出演してきた。その他に、鈴木蘭々飯島直子SPEED田村正和西村雅彦なども出演している。2005年10月からは釈由美子(オフィリオシリーズ)、長澤まさみ未唯高橋克実藤村俊二松岡修造中尾彬(以上カラリオシリーズ)などが出演中。

プリンタには鈴木蘭々の時代から「カラリオ(Colorio)」というブランドを使用し、最近もL版専用プリンタに「カラリオ ミー(Colorio Me)」という名称を付与している。カラリオプリンタでは2003年より「つよインク」、2006年度より「EPSON COLOR」のキャッチコピーでブランドイメージの向上を図っている。

インクジェットプリンタでは国内でキヤノンと市場シェアをほぼ二分している。1997年頃迄の広告で、カラリオは人気タレントが出演する一方で、キヤノンのBJシリーズにはペンギンなど色彩鮮やかな動物や鳥類・風景の写真が主に使われていた。

車とバイクとの違いを考えてもわかるように、製品が型番で呼ばれる時代はマニア向けで少数の男性にしか製品が売れないが、愛称が付けれられるようになると社会的認知が高まり、大衆化するようである。その点、各社がパソコンを型番で呼んでいた時代に、自社のパソコンに比較的早く「vividy」というシリーズ名を付けていたことも興味深い(内田有紀がCD-ROMドライブ風に舌を出し入れしていたCM)。もっとも「vividy」自体の売れ行きは決して好調とは言えず、同社ではその後パソコン関連事業を子会社のエプソンダイレクトに移管している。プリンタについても、車のように個々の製品に異なる愛称が付与されるようになるには、まだまだ時間が掛かりそうである。

なお近年モデルチェンジは年1回(年賀状の12月)というのが通例であったが、現在はパソコンほどではないが競争が激しいため、年数回行う。

歴代イメージタレント

内田有紀
優香
松浦亜弥
モーニング娘。
柴咲コウ
鈴木蘭々
飯島直子
SPEED
田村正和
西村雅彦
釈由美子
長澤まさみ 未唯高橋克実藤村俊二松岡修造中尾彬堀ちえみ
竹内結子
緒形拳

中嶋悟

レーシングドライバー中嶋悟は、長年のパートナーとして広く認識されている。

1983年に全日本F2のハラダレーシングのスポンサーとしてモータースポーツに初参戦した時、同チームのドライバーが中嶋であった。速くてマシンを壊さないドライビングスタイルの中嶋が商品とオーバーラップさせられる選手であったことから、翌年以降も中嶋と中嶋のレーシングチーム(中嶋企画)への支援を継続することになった。 1987年には中嶋のF1参戦に伴いパーソナルスポンサーとしてF1に参入。1988年 - 1991年は中嶋の所属チーム(ロータスティレル)のスポンサーとしての活動も展開。この時期には中嶋を起用したテレビCMも制作され、当時のF1ブームも重なり企業イメージと知名度が飛躍的に上がり、就職希望者が大幅に増加するといった現象もみられた。

中嶋の現役引退後も中嶋企画の主要スポンサーとして支援を続けており、現在スーパーGTに「EPSON NAKAJIMA RACING」として参戦し、フォーミュラ・ニッポンではサブスポンサーとしてマシンにロゴが貼られている。

なお、2000年以降のスポンサー活動は、セイコーエプソングループで販売・マーケティングを担当する子会社・エプソン販売が行っている。

主要製品

プリンタ・スキャナ系統ブランド(日本国内向け)

  • カラリオシリーズ (家庭向けインクジェットプリンタ・スキャナ・デジタルカメラなど)
  • エスパーシリーズ (オフィス向けインクジェットプリンター・モノクロレーザープリンタ・スキャナなど) わざわざ他社から購入した商標であったが、現在はOffirioシリーズに吸収されている
  • Offirioシリーズ (レーザプリンタ用ブランド)
  • MAXARTシリーズ (大判用紙向けのインクジェットプリンタ)
  • CRYSTARIOシリーズ (プロフェッショナル向けポートレートプリンティングシステム)
  • インクカートリッジ、 トナーカートリッジ、インクジェットプリンタ用紙(写真用紙、光沢紙、マット紙など)、 リボンカートリッジなどのOAサプライ

液晶プロジェクター

  • dreamio:家庭用プロジェクタ
  • offirio :データプロジェクタ(ビジネス用)はビジネス用プリンタと共通ブランド

デジタルカメラおよび関連機器

パーソナルコンピュータ

電子デバイス

  • 半導体、水晶振動子、液晶パネル、マイクロデバイスなど

ウオッチ

  • 腕時計・腕時計部品
  • * 塩尻事業所(ウオッチ事業部)では、セイコーホールディングス株式会社(旧服部時計店)の事業子会社であるセイコーウオッチ株式会社向けに、腕時計の開発・設計・製造を行っている。

FA製品

  • 水平・垂直多関節型ロボット、精密組立ロボットなど産業用ロボット
  • ICテストハンドラ

関連企業

提供番組

現在

過去

関連項目

注記・参考資料

外部リンク

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