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ブロードバンドインターネット接続

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

ブロードバンドインターネット接続(-せつぞく)(BIA:Broadband Internet access)とは、通信速度が高速厳密には通信速度と言うよりはビット毎秒の方がより正確である。詳細はビット毎秒を参照。インターネット接続サービスを指す。

日本では、通信速度(スループット)がおおよそ下り512kbpsから1Mbps以上のときに呼ばれることが多いが、明確な線引きはない。比較的低速なダイヤルアップ接続や一部のPHSなどを「ナローバンド」と称しているが、これに比較して大幅に高速な場合に、「ブロードバンド」と称される事が多い。

「ブロードバンド」という用語の意味と経緯

通信工学上の意味

通信工学(および情報理論)上、ノイズの混入する通信路上では、情報の理論上の最大伝送速度は信号占有周波数帯幅に比例するという関係がある(シャノンの定理)。ここでいう占有周波数帯幅とは、信号(ふつう交流の電流ないし電磁波)の含む周波数の分布する幅(帯域, bandwidth)のことである。帯域幅を参照。

信号の波形は複雑な形をしているため、どうしても単一の周波数だけを含むことにはならず、一定の幅の周波数の信号をまんべんなく含むこととなる。ある信号の含む帯域と他の信号のそれが重複すると混信が発生するため、信号毎に一定の周波数の帯域を占有する必要がある。その幅が占有周波数帯幅である。ふつう、単に帯域といえば、占有周波数帯幅を指す。

また一方、通信工学上の意味で、電気信号の伝送時に、変調復調されてない状態の電気信号(特にデジタル信号)の帯域をベースバンド、またその電気信号をそのまま、変復調せずに伝送する方式をベースバンド伝送と言い、対義語として、変調された状態の電気信号の帯域を搬送帯域、また元の電気信号を変調して伝送する方式を搬送帯域伝送方式と言う。(なお、搬送波デジタル変調することによりデジタル信号を伝送および記録する方式は伝送路符号化と言う。)

一般用語化

以上のような通信工学上の意味を背景として、今日「ブロードバンドインターネット接続」と呼ばれる高ビット毎秒(高通信速度、また単に高速)(dummy)を実現するデジタル通信回線において、

と言う特徴があったことから、そのような高速回線、通信が高速(高スループット)であることを、単に「ブロードバンド」(broadband, 広帯域; broadは「広い」の意)と一般に認識されるようになった(後述)。

インターネット接続(サービス)のうち、一般向けのものであってすなわち、通信事業者用の回線分野や、通信工学上の観点において、高速であると言う意味で「ブロードバンド」を称することは皆無に近い。前述のような高速回線を使用するものが、いわゆるブロードバンドインターネット接続と呼ばれるようになった。

また、単にブロードバンドブロードバンド接続ブロードバンド回線等と呼ばれることが多く、また、高速インターネット接続などとも呼ばれる。

概略

高速回線はISDNが登場した時から存在しており、当時の速度は512kbpsから1.5Mbps程度、特殊なケースで6Mbpsから数十Mbpsのデジタル回線光ファイバー)で、回線料金や接続料金が高価(月額数十万円以上)であったため、主要なユーザは、大企業やコンピューター関連企業、さらには先進的な大学・研究機関が主であった。

それ以外の法人・団体や個人など一般的な利用者がそのような高速回線を利用する事はかつて希であり、一般的利用者が利用する回線は殆どの場合、アナログモデムやISDNによる低速(数十kbps〜128kbps程度)・時間従量制のダイヤルアップ接続サービスなどであった。

そのような状況下で、既存の電話線(金属電線・メタリック回線)で、従来使用していた電話よりも広い帯域を用いることで高速の信号が伝送できる技術(ADSL)が日本でも実用化・普及し、インターネット接続サービス向けに利用できるようになった。また、ほぼ同時期に、ケーブルテレビ(CATV)の伝送線(同軸ケーブルなど)を用いたインターネット接続サービスも開始された。それに少し遅れて、2003年頃からは、光ファイバーを直接・間接にユーザ個宅まで引き込むFTTHFTTxも普及を始めた。

これら手頃な価格で導入できるようになった高速回線を、それぞれの通信事業者などがブロードバンド回線と呼んで一般消費者・小規模事業所向けに激しく売り込んだのが、ブロードバンドという用語が広まった所以である。わかりやすく単に高速回線と呼ぶ場合もあったと思われるが、結果的にはブロードバンドという(比較的専門的色彩の強い)用語が広く普及した。

ブロードバンドによるインターネット接続は、課金体系が、電話・ISDN回線による従来のダイヤルアップ接続の従量制とは異なり、当初から定額制で提供され、通信料金や時間帯を意識せずに利用できるため、普及とともにインターネットの利用形態に大きな変化をもたらした。もっとも同様に、、フレッツ・ISDNなどのナローバンド定額制サービスも先行して提供されていた。

また、高速・常時接続である事を生かしたIP電話サービス、さらには動画像のような大容量のデータを短時間に送受信可能になった事によるビデオオンデマンドサービスなど、新しいサービスが普及し始めている。

無線によるブロードバンド回線(無線LAN第三世代携帯電話高度化PHS(W-OAM)、無線アクセスなど)も研究・開発され、一部はサービス開始されている。

日本での展開

日本では、定額安価で常時接続の可能な、ADSL、CATV、FTTHなどのサービスが2000年前後から徐々に普及し始めた。ユーザ回線が規格上は超高速域(実効10Mbps〜)へ速度向上するのに対して、アクセス回線の幹線網、バックボーンの回線容量やインターネットエクスチェンジの交換能力、プロバイダー(ISP)サーバの処理能力や回線容量が追いつかない(オーバースペックとなる)現象が、普及当初から現在までしばしば見られており、今後も続く見込みである。

  • 1998年頃から、CATVによるサービスが普及しはじめる。放送周波数帯とは別の770MHz帯を活用、基幹に光通信を用いたFTTN(HFC: Hybrid Fiber Coaxial)/DOCSIS1.0。この頃の一般的な下り(プロバイダ→加入者)実効速度は、数100kbps〜1Mbps程度であった。
  • 1999年2001年頃にかけて、ADSLによるサービスが普及しはじめる。既存の電話線が使用できることや、価格競争による低価格化により、現在ブロードバンド回線の主流となっている。
  • *当初、下り公称速度1.5Mbps、実効速度でも1Mbps程度であり、その後、技術の向上により下り公称速度は数10Mbpsまで上昇したが、それでも平均的な下り実効速度はせいぜい数Mbpsに止まっている。
  • *IP電話(050番号)の提供が一般化。
  • 2001年以降、FTTHによるサービスが開始され、2003年頃から低価格化が進み、都市部では主流となりつつある。また、CATVもFTTN/DOCSIS2.0による超高速化サービスが郊外でも普及展開し始めている。
  • *当初は下り公称速度10Mbpsで開始された。その後回線サービスの増強により、FTTHでは100Mbps、CATVでは30Mbpsが主流となり、最近はFTTHは1Gbps、CATVは100Mbpsを提供するものも現れた。下り実効速度も、FTTHでは公称速度の50%〜70%が一般的である。
  • *(なお、FTTHは幹線網のみ1Gbpsでユーザ末端は100Mbpsの物が多いが、末端まで1Gbpsの物もある。CATVは海外では1Gbpsを提供する物もある。)
  • *IP電話(通常の市外局番《0AB〜J》)が利用可能。また、超高速性を生かしVODやIPテレビ電話の提供が本格化し始めた。
  • *FTTHやCATVにおいては、速度がWANLANとで大差なくなり、PCの処理速度やネットワーク(LAN)転送速度等の性能がボトルネックになる現象が見られる。

社会的側面

都市部では、ブロードバンド回線事業者によるサービス展開競争が進み、ADSL・CATV・FTTHの複数サービス・複数事業者をユーザが選択できるようになっている。

地方部でも、2001年(平成13年)、国がe-Japan計画を策定し、ネットワークの構築に国の補助が出始めたのに伴い、それまで足踏み状態だった地方部への展開にも弾みが付き始めたが、道府県庁から遠い市および町・村・離島に至っては、現在もなおFTTHどころかADSLすらも提供していない地域が多い。

一部の地方自治体では、自治体によるケーブルテレビ(CATV)の整備・ブロードバンドが普及し、過疎地においてもある程度は利用可能となっている。CATVの整備においては、HFC(FTTN)を構成する基幹線(光ファイバー)、引き込み線、加入金などに国・自治体から補助が出ることが多く、都道府県に於いては国道県道に光ファイバーが張り巡らされ、広範に渡りFTTH/FTTxおよびCATV(HFC/DOCSIS)が普及している地方自治体も出始めている。一方で、自治体によっては対応の遅れなど差が付いており、過疎地方では整備が全くなされない地域も多く、情報格差が生じている。

今後の展開

  • サービスエリア拡大によるブロードバンド回線の地域格差解消。(情報格差
  • 光回線においては、技術的には、通信系光ファイバー(光通信)と放送系光ファイバー(光放送)との統合・多重化(光波長多重通信)も検討されている。
  • 技術的な面のみならず、法制度・各種制度的にも「通信と放送の融合」に対する検討も行われている。
  • *「フルIP時代」総務省研究会
  • 光回線においては、転送速度の超高速化(WAN-LAN間速度差の縮小)により、次のような新しいサービスが一般に普及する可能性があり、また一部では実際に営業開始されている。
  • *IP放送(IPテレビ)、ブロードバンドビデオ・オン・デマンド(VOD)などの動画放送サービス
  • *SoIP、インターネット接続経由でストレージにアクセス(オフサイト・データ・ストレージ)
一般的ユーザの要求レベルを考慮すると、最新性能のPCが、一般的ユーザに対してはオーバースペックであり、また高性能化にも一服感が見られるのと同様に、インターネット接続回線の高速化についてもオーバースペックさと一服感が見られつつある。(後者についてはADSL登場初期に見られたような速度(下り1Mbps・上り512kbps)による比較的低速だが、より安価なADSLサービスが、一部で開始されている。技術的には、通常サービス用のDSLモデムを用いて、帯域制限装置を使用した物が多い。)

また、末端のユーザ回線(ラストワンマイル)の光接続回線による超高速化に、プロバイダのコアネットワークの回線等が追いついてないとも言える。つまり、末端の超高速化によるバックボーントラフィックの過度な増大が問題になっている。

現状、バックボーン回線も大手のISPでも n Gbps〜 n ×10Gbpsのオーダであり、ルータースイッチも n ×10Gbpsのオーダ(10Gbpsは、100Mbpsの100本分)である。すなわち、ラストワンマイルの回線がバックボーンに対してオーバースペックとなっている。言い換えると、前者に対して後者がボトルネックになっている。

ネットワークの全体的な高速化による上記のジレンマの解消だけではなく、今後暫くは、エンドユーザ・エンドサービスの視点でサービス満足度の向上がより重要視されると言える。

脚注・出典

関連項目

外部リンク

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