読み込み中...ベッコウトンボ(鼈甲蜻蛉、Libellula angelina)は、トンボ目・トンボ科・ヨツボシトンボ属に分類されるトンボの一種。
かつては日本の東北地方以南の本州と四国、九州に広く分布していたが、池沼の減少と環境の悪化によりその数は激減している。繁殖にはヨシやガマなどの挺水植物が繁茂している池沼・湿地と周辺の豊かな植生が不可欠で、現在では静岡県、兵庫県、山口県と九州に少数が局所的に生息しているにすぎない。成虫個体のほとんどが生まれ育った水域に留まり、移出しないのも個体数減少の一因である。環境省のレッドデータブックではに指定されている。また、国内希少野生動植物種(種の保存法)にも指定されており、捕獲が原則として禁止されている。
比較的多数の個体群が定着している繁殖地として、静岡県磐田市の桶ケ谷沼と大分県中津市の野依新池が知られる。日本以外では中国中北部と朝鮮半島に分布(韓国では近年確認されておらず、絶滅した可能性もある)。
体長37-45mm(腹長♂25-31mm、♀24-28mm/後翅長30-34mm)。幼虫(ヤゴ)の体長は17-22mm。全体的に毛深いトンボで、何よりも特徴的であるのは翅に3か所ある鼈甲色の紋様である。未成熟な個体は体色も鼈甲色で、これが和名の由来となっている。雌雄による体色差はないが、性成熟すると雄は黒褐色、雌は茶褐色に変色する。
近縁種のヨツボシトンボ(L. quadrimaculata asahinai Schmidt, 1957)に似るが、本種の方がやや小さく、翅の紋様が大きいことで区別される。成虫は4〜6月に出現する。羽化のピークは4月下旬から5月上旬頃で、観察できる期間は短い。幼虫は主に夜間、挺水植物の茎や水面に出た杭などに定位して羽化する。数時間その水域周辺に留まった後に水際から離れてススキなどが立枯れる草地へと移動し(本種の体色は、枯草に紛れるための保護色だと考えられている)、ハエ類などの小昆虫を餌にして過ごす。羽化水域から離れた草地へ移動する習性は雌雄共に認められ、雄の場合は性成熟するまで、雌の場合は生殖行動を行う時以外は常時この草地で過ごす。繁殖に参加しないこの期間のことを前繁殖期と呼ぶ。
10日ほど後に性成熟した雄は水辺近辺に戻って縄張りを張るが、占有領域に対する執着はあまり強くない。このことが繁殖域での高密度の生息を可能にしている。
雄は雌を発見すると直ちに捕らえ、数秒から十数秒の短時間の交尾を行う。交尾後の雌は生い茂る挺水植物のなかに潜り込み、浅い水面に1,000〜1,200個の卵を打水産卵する。2、3日で輸卵管はまた卵で満たされ、成虫の寿命である約1か月の間に10,000個程度の卵を産下すると考えられる。20日ほど後に孵化した幼虫はボウフラ、ユスリカなどの水中の小動物を餌にして育ち、12月頃までには終齢幼虫となって越冬する。
前述のように、成虫が生息するためには豊かな自然環境を必要とするが、幼虫も環境の変化には敏感で、池沼・湿地の陸地化が進行して底泥が固くなったり、水質が変化すると姿を消すことがわかっている。また、幼虫は採餌のための徘徊が不活発で、餌となる小動物の密度が薄くなると生存率が著しく低下する。
プレイステーション2のゲームソフト「ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇」で、昆虫採集のターゲットとして本種が登場している。やはりレア種として扱われており、その数は極端に少ない。キングサイズはノコギリクワガタ99.9匹分と同等で取引され、ゲーム内の数多い昆虫中最も高価値である。
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