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外来種

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

外来種(がいらいしゅ)とは、他地域から人為的に持ち込まれた生物。この定義では、栽培植物の大部分は外来種となる。園芸の分野では、通常この意味でこの語を使用する。

一方、環境の分野でこの語を使用するときは、通常、特に野生化して世代交代を繰り返すようになり、生態系に定着した動植物をいい、1世代で死滅するものなどはこれに含めない。

類義語に移入種人為移入種帰化種があり、植物の場合特に帰化植物、動物の場合特に帰化動物ともいう。

通例、「」より下位の「亜種」または「変種」であっても「外来種」に含められるが、混乱を嫌って「移入個体群」のような用語を用いる場合もある。

外来種に対して、従来からその地域で棲息・生育するものを在来種という。したがって、国内の種が海外に侵入して広がる場合では、国内の種が外来種、海外に元々ある種が在来種となる。

人為的に持ち込まれたものであれば、意図的な栽培や放流等によらず、偶然に定着した場合でも、外来種という。実例として、ブドウ遣唐使らによって持ち込まれたものの種子が捨てられて発芽し、そのまま自生化して鎌倉時代以後に現在の山梨県地域で栽培作物化されたものであるとされている。またシロツメクサは、江戸時代にオランダから輸入されたガラス器の箱の中に敷き詰めてあったもので、種子が偶発的にこぼれおちて発芽し、日本全域に広まったものと考えられているが、これらも外来種に含まれる。

外来種の植物は、特に人為的な理由により環境に変化がおきた場所で多く生育することが多い。ただし、環境が復元されると、自然と勢力が減退することも多いので、外来種の生育状況で環境の悪化の指標とすることもある。

外来種か在来種か決めることが難しいものもある。ジャコウネコ科の哺乳類であるハクビシンは、日本以外では台湾から東南アジアに分布し、日本のものは外来種であるとする説が根強い。しかし確かな放獣記録があるわけではなく、在来種なのでは、とする見方もある。

移入種・外来種・帰化種、侵略的外来種

「移入種」「外来種」「帰化種」という言葉は、従来、混在して使われてきた。たとえば行政においては、環境省は「移入種」を、国土交通省は「外来種」を用いてきた経緯があり、いずれも主に国外から移入されたものを対象としていたが、最近では国内の他地域から人為的に移入されたものも含めて「外来種」と呼ぶのが一般的になってきている。

移入元が国外か、同一国内の他地域であるかによって、国外外来種(国外移入種)、国内外来種(国内移入種)と区別する言い方もある。

外来種の中でも、移動先で分布拡大したときに、在来種の絶滅につながるおそれがあるなど、特に生態系への影響が大きい種や、人間の生活に大きな影響を及ぼすような種を、特に侵略的外来種といい、これらは侵入種と呼ばれることもある。

外来種のうちの少なからぬものは侵略的外来種に該当するが、移入されて害獣害虫等の駆除に役立っている動物や、美味で知られるニジマスのように、外来種であっても、人間にとってその存在が好都合であるために、駆除の対象から除かれるものもある。

移入された外来種・外来個体群を駆除するか否かに関しては、生態系へ与える影響と、人間社会にもたらす利益を比較した議論が行われる(セイヨウオオマルハナバチなど)。

外来種のもたらす問題

外来種問題をめぐる動き

生態系や生物多様性の保護が世界的に関心を集め始めた1990年代から、生態系・生物多様性に悪影響を及ぼす存在としての外来種(侵略的外来種)の問題(外来種問題)が注目されるようになった。それとともに、日本でも、それまで事実上放置に近い状態にあった外来種問題が、にわかに脚光を浴びるようになり、行政・民間の双方で、さまざまな動きが起こっている。その成果の一つとして、2004年5月27日に可決・成立、6月2日に公布され、2005年6月から施行された外来生物法を挙げることができる。

外来種の引き起こす問題として、在来種への圧迫食物連鎖のバランスなど生態系に与える影響遺伝子の撹乱第一次産業等への被害等が挙げられるが、2つ以上にまたがるものも珍しくない。

農業に深刻な影響を与える場合、本格的な駆除が行われることがある。例えば南西諸島においては、ウリミバエが農作物に大きな被害を与えていたが、放射線を用いた不妊虫放飼法により、根絶に成功している。また、オーストラリアでは、移入種のウサギを駆除するため、致死性の粘液腫ウィルスの導入が行われたことがあるが、ウサギの耐性獲得とウィルスの弱毒化変異により失敗した。また、ニホンオオカミの絶滅に伴う生態系への悪影響を解決する手段として、近縁のオオカミの導入の是非についての議論がなされている(→オオカミの再導入)。ただし、オオカミ自体が外来種になってしまう可能性も指摘されている。

また、意図的に持ち込まれなくても、ある地方にいた在来種が、それまで生息していない地域へ自然に分布を拡大した場合、外来種と同様に見なされることがある。特に従来の環境や産業活動に影響を与えたり、病原体の媒介等に関与するときは、積極的な駆除の対象になり得る。このような生息域の拡大は、例えば地球規模での気候変動や人間活動に伴う環境変化、その他不明の原因によってもたらされる。この場合、新たに侵入してきた種を駆除の対象とすべきか否かについての基準は明確に定められていない。

在来種への圧迫

在来種の動植物を捕食したり、食物や繁殖場所など棲息環境を奪うことで競合種などを減少させたりする。いずれの場合も、生態系のバランスを崩し、二次的にも大きな影響を与える可能性がある。

  • ルアーフィッシングの流行により河口湖など人為的に放流された例を真似て、北米原産の肉食魚ブラックバス類(オオクチバスコクチバス)やブルーギルが、全国の河川や湖沼で密放流されている。このような所では、バス類が優勢となり、捕食による在来種の激減と、生物多様性の低下をもたらすため、有害外来種の典型例として頻繁に取り上げられる。
  • しかし、移殖放流の規制や駆除に向けての動きは、釣魚愛好家や(政治家を後ろ盾とした)公益法人、釣り業界等の反対を受け、難航した。外来生物法の対象選定においても、関連団体等によるさまざまなはたらきかけが報道され、実際、「釣り人の協力を得る必要がある」とする環境省によって、一旦はオオクチバスについては指定を先送りすることが決定された。しかし、環境相の指示によって方針転換した結果、2005年1月31日に決定された第1陣の指定リスト案に記載されることとなった。
  • 1910年にハブ駆除を目的として沖縄島に放され、その後奄美大島にも定着したマングースは、ヤンバルクイナアマミノクロウサギなど希少な小動物の多い両島の生態系に深刻な被害を与えている。しかも、生活時間帯の重なりの少ないハブの個体数にはほとんど影響を与えていないことが明らかになり、現在、国や自治体の主導する駆除活動が続けられている。
  • アニメーションの人気から全国的に飼われるようになり、アニメーションではあまり知ることのできない成獣の凶暴性などから全国的に持て余されたアライグマ(北アメリカ原産)は、1962年に愛知県で野生化が確認されたのを皮切りに、各地で同時多発的に放獣されたり逃亡したりしたものが定着し、現在までに本州各地と北海道で個体群の存在が確認されている。競合するタヌキ(アライグマより体が小さい)のほか、エサとなるカエルヘビなどへの影響も出ており、農作物や養魚養鶏業への被害も報告されている。
  • 1930年ごろ、阪神地方の養殖場から逃亡した個体が元になって西日本で分布を広げたチョウセンイタチは、在来のニホンイタチより食性が広くて人間の生活環境への適応力にも優れ、体も大きい。西日本の平野部からは、ニホンイタチが駆逐されつつある。また、ニホンイタチについても、ネズミ駆除の目的で移入された三宅島などの離島においてアカコッコなどの固有種に対する被害が生じている。
  • 里山に植栽されているモウソウチクは中国原産であるが、その竹林は戦後の里山管理の衰退により、放置されていたり逸出していたりして、生育域は拡大する傾向にある。これは天敵が存在しない為であり、生態系に影響を与えつつある。この問題は基本的に過疎の弊害として語られる機会が多いのは身近なが外来種であるという認識が薄いためである(竹害の項も参照)。

遺伝子の攪乱

外来種が在来種と交雑することにより、在来種の遺伝子が変容することがある。この現象を遺伝子汚染、または遺伝子流出という。外来種の遺伝子が広範囲に拡散すれば、それまでの遺伝子プール(その個体群が共有する一定の変異幅をもつ遺伝子の総体)の状態を回復することは、事実上不可能となる。固有種・固有亜種に外来遺伝子が流入した場合、長い進化の歴史を経て形成されてきたそれらの種や亜種が消滅することになるため、問題は特に深刻である。

農作物家畜の品種改良の場合、人為的条件での適応、すなわち人間にとって優れた特性の獲得が、交配により達成され、原種と大きく異なった形態の品種が生み出されることが多い。このような例を踏まえて、遺伝子の攪乱は種としては新たな適応の機会であり、悪い事ではないという意見も見受けられる(池田清彦は「遺伝的多様性が増す」ともコメントしている)。しかし、自然環境下の動植物で遺伝子の攪乱が広がった場合、攪乱前の状態に戻すことはできず、交雑種が新たな害を及ぼしたり、生態系全体のバランスに大きな影響を与える恐れもある。沖縄で、タイワンハブハブと交雑した結果、従来よりも強力な毒性を持つ雑種が誕生している例などもある。

  • 1920年ごろから、日本では狩猟愛好家の手によるコウライキジ(朝鮮原産)の放鳥が開始され、現在でも毎年10万羽以上のコウライキジが全国で放されている。これにより、コウライキジと在来種であるニホンキジの交雑が進み、純粋なニホンキジは(日本の国鳥とされているにもかかわらず)野生状態ではすでに1羽も存在しないと思われる。体が小柄で、胸全体が緑黒色であり、首にコウライキジのような白い輪状の羽毛をもたないことがニホンキジ独自の特徴だが、そのようなかつてのニホンキジの遺伝子を完全に復元する方法は、おそらく存在しない。
  • タイワンザルは1940年に伊豆大島で野生化したが、1955年ごろに和歌山県で、1975年には青森県でも、野生化が確認された。タイワンザルはニホンザルとの交雑が可能であり、実際に、和歌山県でも青森県でも、雑種が生まれている。これが全国に広がれば、純粋なニホンザルは消滅してしまうことも考えられる。
  • 日本全国で、逃亡したり、狩猟目的のために放獣されたりしたイノブタイノシシブタの雑種)と在来種のニホンイノシシの交雑が進み、ニホンイノシシの純粋性は失われつつある。
  • タイリクバラタナゴは1940年代前半に、中国から他の魚(ハクレンソウギョなど)に混じって利根川水系に導入されたが、1960年代以降、人為的に全国各地に分布を広げた。西日本各地で在来のニッポンバラタナゴと交雑し、雑種個体群として累代を続けた結果、純粋なニッポンバラタナゴの生息地はきわめて局所的に残るのみとなり、ニッポンバラタナゴの絶滅が懸念されている。

ペットとして輸入されて逃げ出した外国産クワガタムシカブトムシによる在来種の遺伝子攪乱も、よく知られている(ヒラタクワガタと亜種の間柄であるオオヒラタクワガタとの交雑が有名)。またスッポンは渡来人が食料として持ち込んだ個体が交雑し、既に本来の在来種と異なる状態になっていると思われる。

  • 家畜種なので本項の例には不適当だが、ニホンネコ(種ではなく、イエネコの地域変種の1つとしてとらえられる)には従来、縞模様はあっても斑模様のものは存在しないなど、独自の特徴があったとされる。しかし、明治以降、外来ネコが移入されると、戸外で自由に暮らすイエネコの生活形態から急速に交雑が進み、現在では外来ネコの遺伝子をまったくもたないニホンネコは存在しないと考えられる。

第一次産業等への影響

  • 戦前まで毛皮獣として盛んに飼養されたヌートリアは、戦後、需要がなくなるとともに放され、中部地方以西の各地の河川や沼地に定着した。イネ野菜などの農作物に大きな被害を与えていることが報告されている。
  • 第二次世界大戦中の日本では、食糧増産のために中国から四大家魚(ソウギョ・ハクレン・コクレンアオウオ)を利根川水系に導入した。しかし戦後、これら4種は食糧問題の解決には十分資さないまま、ソウギョを水域の除草目的に転用することとなった。ソウギョの過剰な放流で、在来の水生植物群落をほぼ壊滅的な状態に追い込んだケースも見られた。また、富栄養化した水域ではソウギョによる水草除去が一段落した後、植物プランクトンが大量発生し、水草が繁茂していたとき以上に環境が悪化して問題となった。
  • ブラックバスやブルーギルも導入当初は、食用としての利用が本格的に検討されたものの、日の目を見ることはなかった。特にブルーギルについては、養殖試験まで行われたが稚魚期の成長が遅く、養殖には適さないと判断された。その後1970-2000年代に、人為的かつ無秩序な移殖放流がなされた結果、内水面漁業のみならず日本の生態系に大きな負荷を与え続けている(「在来種への圧迫」の項参照)。2005年、この2種が「外来生物法」によって「特定外来生物」に指定されるに前後して、駆除個体を食用として利用する試みが行われている(キャッチアンドイート)。例えば、滋賀県立琵琶湖博物館では、館内のレストランでブラックバスを天ぷらフライにして「バス天丼」・「バスバーガー」(バーガーは夏休みのみ限定販売)のメニューを提供している。

その他

  • 病原菌や寄生虫の持ち込み
従来その地域では見られなかった病原菌や寄生虫が外来種とともに移入された場合、人間や在来種に被害を与える場合がある。1905年ごろのニホンオオカミの絶滅の原因の1つとして、輸入犬からの伝染病による個体数の減少が指摘されている。(タヌキキタキツネにも同様の伝染病の被害が出ている)
  • 植生の破壊
  • 生活環境等への被害
電線の切断、家屋への侵入など。

野生化した家畜

野生種よりも繁殖力が旺盛なヤギカイウサギイエネコイエイヌなどの家畜種が野生化し、国内外来種となった場合、地域の生態系に深刻な影響を与えることがある。

生態系のサイズが小さい島嶼地域では、ノヤギ(粗食と悪環境に強く、草を根こそぎ引き抜いて食物とする)の放置によって、植生へ壊滅的な打撃を与える場合がある。八丈小島小笠原諸島聟島など例があげられる。

また、ノネコ・ノイヌによる小動物の捕食・競合種への圧迫や、寄生虫などを含めた伝染病の媒介も、島嶼でこそ特に深刻な被害となりやすい。特にノネコなどの場合は、野犬のように狂犬病予防法や各都道府県の動物保護関連条例を摘要する根拠がないため駆除捕殺等ができず、活動自体が動物愛護団体等の反対を受け、物議をかもすことがある。最近では、ノネコが原因と思われる、いわゆるネコエイズが、ツシマヤマネコに感染した事例も見つかっている。

史前帰化生物

人類の移動・定着、あるいは農耕などによる新しい環境の作出によって、新しい地域に移入したと推定されるが、先史時代であるためにその記録のない生物を、史前帰化生物という。

日本の例としては、畑作とともに移入されたモンシロチョウアカザナズナ、稲作と縁の深いスズメ、人家にすみかをとることの多いアブラコウモリドブネズミクマネズミハツカネズミなどの家ネズミ類、ジャコウネズミなどが挙げられる。これらの生物は、数千年以上の長い年月を経て在来の生態系に組み込まれているとものと見なされ、原則として生態系への影響を理由に駆除を求められることはない。一般的には外来種と認識されることも少ない。

日本で棲息・生育する主な外来種

動物

脊椎動物

哺乳類
鳥類
爬虫類
両生類
魚類

無脊椎動物

扁形動物
軟体動物
節足動物

植物

帰化植物も参照

海外で棲息・生育する、外来種となっている日本産の動植物

外来種と言うと、海外から日本に侵入して定着した動植物の事だけを指すように錯覚しがちであるが、逆に日本から海外に侵出して定着した日本産の動植物も、外来種に分類される。外来種の問題は単に日本だけの問題ではなく、海外での生態系にも大きな影響を及ぼしている事実も否定できないのである。外来種として日本から海外に侵出して定着した日本産の動植物の内、生態系や第一次産業に大きな影響を及ぼしている種を以下に挙げる。また、カッコ内は大きな影響の出ている地域である。

動物

脊椎動物

無脊椎動物

植物

関連項目

参考文献

外部リンク

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