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牛革

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
Wikipedia画像へのリンク(製品に加工する直前の皮革と、代表的な工具)

皮革(ひかく)とは、動物皮膚を生のまま、もしくは、なめしてあるものを指す。20世紀以降では人工的に作られた人工皮革(合成皮革、商標名「クラリーノ」「エクセーヌ」など)があり、それらを含む場合もある。その場合、動物の皮膚をなめしたものを人工皮革と区別するため、天然皮革(てんねんひかく)という場合もある。

皮革の中でも、元々生えていた体毛まで利用するものは毛皮という。

皮と革

動物の皮膚をそのまま剥ぎ、製品として使用したものを(かわ・ひ)といい、動物の皮膚の毛を除去しなめしてあるものを(かわ・かく)という。しかし、後者を「皮」と表示する場合もある。これは、後者の文字が教育漢字となっていなかったことに由来する。

なめし

動物の皮は、一般にそのままだと固くなったり腐敗してしまったりする。これらを防ぎ、皮を柔らかくして耐久性や可塑性を加え、皮革として利用するために必要な作業がなめしである。

なめしの工程では、腐敗しやすい動物の脂やたんぱく質を除き、コラーゲン繊維を残す。また、柔らかくするために主に合成の脂(リンスと同じ)を再度入れる(加脂)。

なめしには、元来植物由来のタンニンなどが用いられてきたが、現在では化学薬品で処理されることが多い。主にはクロムなめし剤(塩基性硫酸クロム)が使用されるが、その作用機序は皮の蛋白質クロム錯体を作って、耐熱性等の性能が向上し、革となる。さらに、タンニンなめし剤とクロムなめし剤などの金属化合物を組み合わせたコンビネーションなめしという方法も用いられてきている。

タンニンなめしの特徴として、切り口(コバ)が茶褐色、型崩れしにくく丈夫、染色しやすい(染料の吸収がよい)、吸湿性に富む、使い込むほど艶や馴染みがでる、などがある。反面、タンニンでなめす場合、タンニンを革の中心部分に浸透させるために、タンニン濃度を徐々に上げる必要がある(濃度が高いと表面にだけタンニンが結合し、後で浸透しなくなる)。よって工程数が多くなり、30以上の工程を踏まえる必要があり高コストになる。よく皮革製品で「飴色になる」と表現されるが、それはこのタンニンなめしの艶と馴染みによるものである。靴、鞄用途はタンニンの割合が多いとされる。

クロムなめしの特徴としては、切り口が青白色、伸縮性が良い、柔軟でソフト感がある、吸水性が低く水をはじきやすい、耐久力があるほか、タンニンなめしに比べて工程の省力化からコストを抑えられる、比較的熱に強い、などがある。反面、なめし工程上で使うクロムが化学反応を起こし、人体に有害といわれる6価クロムが含まれる。衣料用途はクロムなめしとなる。

比較的安価なクロムなめしが主流だったが、昨今の環境問題からタンニンなめしが見直されている。

原材料と種類

皮革の材料としては以下の動物が挙げられる。製品種類とともに記述する。

ほ乳類

最も一般的な革であり、革靴に使用される革としては最大数量。一般に成牛の背中から脇までの皮を使用する。カウ・ブル等の分類があるが、基本的に全て肉牛の皮である。表面にエンボス加工を施すことにより、オストリッチ・ワニ・ヘビなどの模造をすることも可能である。外見上の特徴は特に無い。

ステア牛を原皮に、バケッタ製法と呼ばれる手なめし・手染めで仕上げた高級素材。
伝統的な職人の技術による植物性フルタンニンなめしを施した高級革。
スムースなオイルドレザー素材。

非常にやわらかい革を作ることも固く半透明にもできる。表皮の下には脂肪層があるので、牛革のように厚い革にはできないのが特徴。主に靴の内革に使用される。3本ずつそろった毛穴は一目で豚革と判別でき、価値が低いとして扱われてきたが、近年、デザイン性を生かした製品に使われるようになった。特に、柔らかくなめしてガーメント(衣料革)に使われたり、硬く半透明にして(アメ豚)ランプシェードなど工作用に使われることもある。日本から輸出される数少ない革でもある。

臀部以外の比較的柔らかい部分は靴の内革に多く使用。
  • コードバン(cordovan)-本来は、スペインコルドバ産の山羊皮である。それに似せた馬の臀部の分厚い皮も、コードバンと呼ばれ、高級ランドセルのかぶせ部分や名刺入れ等に使用されている。欧米で沼地などの狩猟でよく使用される狩猟靴にしばしば採用される。オイルドレザーのもある。

柔らかいのが特徴。脂肪の穴が多いので、なめしても革に空隙(くうげき)が多く残り、断熱効果が高いので、防寒用の衣料にも多く使用される。

山羊

羊皮より充実した繊維組織を持ち、強くやや硬い。銀面は特有の凹凸をもち耐摩耗性に優れている。

カンガルー

近年特に使用が増えた皮革である。軽くて丈夫なのが特徴で、陸上選手のスパイクシューズやオートバイレース用の革ツナギなどにも使用される。世界的に肉牛の需要が減少し、副産物としての牛革が減少するに伴い、徐々に採用された。基本部位は肉牛と同じく背中から脇であるが、カンガルーは二足歩行するため、革の形状も三角形に近い形を成しており、製造過程で若干の技術的困難が見られた。外見上は牛革と大差なく、見分けはつきにくい。

その他の哺乳類

は虫類

鳥類

  • *ダチョウ-羽毛を抜いた跡のクイルマークが特徴。オーストリッチ

魚類

皮革の加工

表皮を銀(吟)と称し、薄手の革を作るために銀面がついた層(銀付き革)と内部の繊維層(床(とこ)革)に割る(スプリット)なめし前工程を施す場合がある。 #エナメル:革にエナメルペイントを施すことで光沢と耐水性を持たせたもの。ドレスシューズ(社交の場などで着用される装飾性・デザイン性の高い靴)などに多用される。 #スエード:革の裏側をやすり等で起毛させたもの。柔らかく、ビロード状に仕上がる。床革を使用する場合もある。 #ヌバック:革の表側をやすり等で起毛させたもの。デザイン目的でドレスシューズにも用いるほか、傷を目立たせないという目的で登山靴にも用いられる。 #型押し:牛革などにプレスで模様をつけたもの。模様は、ワニ革を真似た模様や格子模様など様々ある。 #クラッキング:皮革にあえてひび割れを施したもの。カジュアルに多いダメージ加工。

#色づけ:色むらを出すために、色づけする場合もある。靴を成型した後に、脱色した革に色づけする場合もある。

歴史

皮革製品

Wikipedia画像へのリンク(サッカー・ボール)

皮革は、一般に衣料品装身具などに利用されることが多い。とりわけ、衣服コートパンツライディングウェア第二次世界大戦中までのフライトジャケットなど飛行服潜水艦乗組員の作業服など)、革靴ベルトなどによく見られる。他に椅子の表張りなど、耐摩擦性、引っ張り強度などの耐久性が求められるものに多く使われる。馬具球技用の野球グラブなどスポーツ用品にも多く用いられる。

かつてはなど防具にも多く使用された。

サメの皮のワサビおろし器(サメの表皮の特性を利用)、ビリヤードキュー先端に取り付けるタップ(牛皮が併せ持つ弾力性と緩衝性を利用)など、皮の特性をうまく利用した製品も多い。

太鼓三味線三線などの楽器にも利用される。

一般の皮革製品は、ほとんど何らかの皮革用塗料ワックスも含め)が塗装してあり、なめしの時に染色したり、塗装の時にスプレー染色するなど、染料顔料で着色してある。

製品の保存方法(手入れ)

皮革は、長期間放置すると硬化する傾向がある。硬化すると、製品としての美しさや機能性が損なわれるのみならず、ひび割れて使用できなくなるおそれがある。そこで、革の柔らかさを維持するため、保革油を塗ることがある。 保革用の塗り物には様々あるが、製品に適した塗り物を用いないと、染みや劣化の原因ともなるので、注意が必要。

保革油を塗る前に汚れを落とさないと、染みや劣化の原因となることもあるので、ブラシや布でよく汚れを落としてから塗る。

スエードやヌバックなど起毛革には、専用の洗浄剤やクリーナー、スエードブラシを用いる。

スエードブラシには、細い真鍮の針金が使われていて、起毛革を毛羽立たせる効果がある。ただし、起毛革以外に使うと傷の原因となる。

また、高湿度や汚れによって、カビが発生することがある。皮革の製造過程でカビの原因となる有機物は取り除かれるので、主なカビの原因は製品になった後に付着した汚れである。従って、表面をきれいにすることが保存性を高めるのに効果がある。 多くの製品には塗料が塗られているので、汚れ落としのためにベンジンなどの有機溶剤を使用すると、その塗膜が損傷することがある。

革の構成要素であるコラーゲンは蛋白質の一種であり、熱で変性して強度や柔軟性を失うので、濡れた皮革製品を乾かす目的で火の近くに置くのは避けた方がいい。

このように、天然皮革は手入れが大変であるにもかかわらず、使えば使うほど馴染んできて美しくなることから、現在でも合成皮革に取って代わられることはない。

合成皮革

合成皮革(フェイクレザー)とは、基布に樹脂等を付着させて、天然皮革類似の風合いとしたものをいう。天然皮革と異なり、水に濡れたりしても手入れが簡便であることから普及している。

なお、広義の合成皮革は、狭義の合成皮革と人工皮革とに分類される。

ものによるが、天然皮革に比して劣化が早い傾向がある。

関連項目

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