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硬度 (水)

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
Wikipedia画像へのリンク(炭酸カルシウム。硬度を表す基準となる。)

硬度 (こうど) は、に微量含まれるカルシウム (Ca) 塩やマグネシウム (Mg) 塩(あるいは同じことだがCaイオンやMgイオン)の濃度をある方法で表現したもの。

本質的には物質量濃度(物質量 ÷ 体積)だが、1種類の塩に換算して質量濃度(質量 ÷ 体積)で表される。

硬度が低い水を軟水、高い水を硬水という。

種類

単に硬度といえば、通常は総硬度のことである。

総硬度
各種塩の総濃度。
一時硬度
炭酸塩炭酸カルシウム炭酸マグネシウム)の濃度。煮沸すると沈殿するので「一時」という。
永久硬度
硫酸塩硫酸カルシウム硫酸マグネシウム)や塩化物塩化カルシウム塩化マグネシウム)の濃度。煮沸では取り除けないので「永久」という。
カルシウム硬度
カルシウム塩の濃度。
マグネシウム硬度
マグネシウム塩の濃度。
つまり、
総硬度 = 一時硬度 + 永久硬度 = カルシウム硬度 + マグネシウム硬度

である。

なお、炭酸塩や硫酸塩が水に溶けると、実際は倍のモル数炭酸水素塩硫酸水素塩となるが、炭酸塩や硫酸塩が溶けていると説明することが多い。以下でもそのようにする。

計算法

日本では戦前はドイツ硬度が広く用いられていたが、戦後はアメリカ硬度を用いることが多い。

名称 記号 質量/体積 SI (kg/m3) 換算 種類
アメリカ硬度 mg/L, ppm mg/L 0.001 Ca塩とMg塩 CaCO3 総硬度
ドイツ硬度 °dH mg/100cm3 0.01 Ca塩とMg塩 CaO
フランス硬度 °f mg/100cm3 0.01 CaCO3 - Ca一時硬度
イギリス硬度(クラーク度) °E gr/gal 0.0142537675 CaCO3 -

例えばアメリカ度では、水中のカルシウム塩とマグネシウム塩の濃度(総硬度)を炭酸カルシウムに換算した値を、mg/L ( = 0.001 kg/m3) を単位として表す。

アメリカ硬度は特別の単位記号がなく、水溶液のw/v濃度を表す一般的な単位であるmg/Lやppmが使われる。

炭酸カルシウムが100 mg/L 溶けた水の硬度は、次のとおりである。
  • アメリカ硬度 = 100 × (100.087 ÷ 100.087) ÷ 1 = 100
  • ドイツ硬度 = 100 × (56.077 ÷ 100.087) ÷ 10 = 5.603
  • フランス硬度 = 100 ÷ 10 = 10
  • イギリス硬度 = 100 ÷ 14.254 = 7.016
炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが100 mg/L ずつ溶けた水の硬度は、次のとおりである。
  • アメリカ硬度 = {100 × (100.087 ÷ 100.087) + 100 × (100.087 ÷ 84.32)} ÷ 1 = 218.699
  • ドイツ硬度 = {100 × (56.077 ÷ 100.087) + 100 × (56.077 ÷ 84.32)} ÷ 10 = 12.253
  • フランス硬度 = 100 ÷ 10 = 10
  • イギリス硬度 = 100 ÷ 14.254 = 7.016

塩の量の換算

アメリカ硬度では、カルシウム塩・マグネシウム塩の量を炭酸カルシウム (CaCO3) の量に換算する。それぞれの原子量はCa=40、Mg=24.3、分子量はCaCO3=100なので、カルシウム濃度・マグネシウム濃度からの計算は以下のようになる。
硬度 (mg/L) ≒ カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1

ドイツ硬度も同様だが、酸化カルシウム (CaO) の量に換算する。

水の分類

硬度の値によって、硬水軟水という名称で呼ばれる。世界保健機関 (WHO) の基準ではアメリカ硬度に従い以下の通り*東京都水道局-水の硬度

軟水 :0 - 60未満
中程度の軟水 :60 - 120未満
硬水 :120 - 180未満
非常な硬水 :180以上

ヨーロッパの水はほとんどが硬水であり、一方日本の水は軟水が多い。硬水は日本人の口には合わないとされる。フランスの有名なミネラルウォーターであるエビアン (Evian) やヴィッテル (Vittel) の硬度は300を超え、WHOの基準では「非常な硬水」に属する。同じフランスのミネラルウォーターでも、ボルヴィック (Volvic) は軟水である。

軟水は赤ちゃんのミルク作り、お茶やだし汁などに適している。 一方、硬水はミネラルウォーターの名の通り、ミネラル分の補給、また灰汁(あく)を析出しやすい為、灰汁の出る料理に適している。

また、硬水は石鹸の泡立ちを抑えてしまう。特にアルカリ性の石鹸は成分が結合・凝固して増粘する為、すすぎで非常に苦労する。

脚注

関連項目

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