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助動詞 (国文法)

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

国文法学校文法)でいう助動詞(じょどうし)とは、時制(テンス)、(アスペクト)、(ヴォイス)、(ムード)などの文法機能を表す品詞である。付属語だが、助詞と異なり活用する。

活用の様式は多岐にわたっており、動詞の活用をするもの、形容詞に近い活用をするもの、形容動詞に近い活用をするもの、独自の活用様式を持つものなどがある。

口語

接続rowspan=2|意味colspan=7|活用形rowspan=2|活用の型rowspan=2|備考
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
未然形受身
尊敬
自発
可能
れるれるれるれれれろ
れよ
下一段型五段動詞とサ変動詞に接続する。可能には命令形がない。
られるられられられるられるられれられろ
られよ
下一段型上一段・下一段・カ変動詞に接続する。可能には命令形がない。
使役せるせるせるせれせよ
せろ
下一段型五段動詞とサ変動詞に接続する。
させるさせさせさせるさせるさせれさせよ
させろ
下一段型上一段・下一段・カ変動詞に接続する。
打消ないなかろなかっ
なく
ないないなけれ形容詞型動詞と動詞型活用の助動詞に接続する。

ぬ(ん)ぬ(ん)特殊型動詞と動詞型活用の助動詞に接続する。
推量
意志
勧誘
不変化型形容詞・形容動詞と未然形の最後が「ろ」「ょ」で終わる助動詞に接続する。
ようようよう不変化型五段活用以外の動詞と下一段型の助動詞に接続する。
未然形
終止形
打消推量
打消意志
まいまいまい不変化型五段活用以外の動詞と下一段型の助動詞に接続する。
連用形希望たいたかろたかっ
たく
たいたいたけれ形容詞型動詞と動詞型の助動詞に接続する。
たがるたがら
たがろ
たがり
たがっ
たがるたがるたがれ五段型動詞と動詞型の助動詞に接続する。
過去
完了
存続
確認

たろ
だろ


たら
だら
特殊型用言と「そうだ」「む」以外の連用形のある助動詞に接続する。
丁寧ますませ
ましょ
ましますますますれませ
まし
特殊型動詞と動詞型の助動詞に接続する。
様態そうだそうだろそうだっ
そうで
そうに
そうだそうなそうなら形容動詞型動詞と形容詞・形容動詞の語幹に接続する。
ぞんざいやがるやがらやがり
やがっ
やがるやがるやがれやがれ動詞型動詞と動詞型の助動詞に接続する。
終止形伝聞そうだそうでそうだ形容動詞型用言に接続する。
推定らしいらしかっ
らしく
らしいらしいらしけれ形容詞型用言と助詞に接続する。ただし形容動詞は語幹に接続する。
当然べきだべきだろべきだっ
べきで
べく
べきだべき(べきな)べきなら形容動詞(同じだ、こんなだ等と同じ活用)型動詞と動詞型の助動詞の終止形に接続する。連体形「べきな」はのでが接続する場合のみ。(形容動詞「同じだ」「こんなだ」の類)
連体形比況
例示
推定
ようだようだろようだっ
ようで
ように
ようだようなようなら形容動詞型用言と下一段型の助動詞と助動詞「た(だ)」と格助詞「の」に接続する。
体言助詞断定だろだっ
なら形容動詞型体言と一部の助詞に接続する。
丁寧な断定ですでしょでしですです特殊型体言と一部の助詞に接続する。

文語

種類colspan=7|活用形rowspan=2|活用の型rowspan=2|接続rowspan=2|意味rowspan=2|備考
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
受身るるるれれよ下一段型四段・ナ変・ラ変の未然形受身・尊敬
らるられられらるらるるらるれられよ四段・ナ変・ラ変以外の未然形
|れるるるれ四段・ナ変・ラ変の未然形自発・可能
らるられられらるらるるらるれ四段・ナ変・ラ変以外の未然形
使役するすれせよ下一段型四段・ナ変・ラ変の未然形使役・尊敬・謙譲・助動詞「る」の代用上代文法では「しむ」のみが使役を表していた。
さすさせさせさすさするさすれさせよ四段・ナ変・ラ変以外の未然形使役・尊敬・謙譲・助動詞「らる」の代用
しむしめしめしむしむるしむれしめよ用言の未然形使役・尊敬・謙譲中古になり「す」「さす」の発達に伴い一事消えかけたが、中世になり再び使われるようになった。
過去しか特殊型連用形直接過去・詠嘆カ変に接続するときはこし・こしか・きし・きしか
サ変に接続するときはせし・せしか・しきの形でしか接続しない。
けりけらけりけるけれラ変型間接過去・回想・詠嘆上代では過去完了を表していたが転じて中古では間接過去を表すようになった。
完了つるつれてよ下一段型連用形完了・強調・確認・存続・並立人為的な場合に使う。
ぬるぬれナ変型自然発生的な場合に使う。
|たらたりたりたるたれたれラ変型完了・存続現代語の接続助詞「たり」はこの助動詞から転じたものである。成立にはいくつか説があり、「〜てあり」から転じたとも言われているが、「り」利用範囲の狭さから生まれものというのが通説となっている。
四段の命令形とサ変の未然形中古になり「たり」の発達に伴い使われる事が少なくなった。
丁寧四段型連用形丁寧「さうらう」から転じて。使用例も稀で、ほとんどの教科書・参考書には載っておらず、文章に出てきたとしても尊敬の「す」で訳されてしまうことがある。
推量む(ん)む(ん)む(ん)四段型未然形未来推量・意思・仮定・当然・適当・勧誘・希望・婉曲・反語現代語の助動詞「う」はこれから転じたもの。意味が非常に多いが、基本は推量・意思・勧誘であり他はこの発展と考える事が出来る。
むずむずむずるむずれ推量・意思・当然・適当・婉曲成立は中古の口頭語と言われ、清少納言も『枕草子』の中で手紙などでは決して使うべきでないと記している。(そもそも清少納言は言語の乱れをよく批判しているので、書かれるのは当然といえる。)
ましませましましましか特殊型推量・反実仮想・反実希望・ためらい「ませば(ましかば)〜まし」で反実仮想を表す。
|けまけむ(けん)けむ(けん)けめ四段型連用形過去推量・過去伝聞「らむ」よりも過去を表す。
|○らむ(らん)らむ(らん)らめ終止形とラ変型の連体形現在推量・仮定・伝聞・婉曲・反語「けむ」よりも現在を表す。
らしらしらし
らしき
らし特殊型推量・推定中古以降はあまり使われなくなり、上代語として扱う参考書も若干ある。但し、室町時代の口頭語において再び使われるようになり、現代語では「らしい」となっている。
めりめりめりめるめれラ変型推量・婉曲「目あり」から転じたもの。
べしべく
べから
べく
べかり
べし
べき
べかる
べけれ
ク活用型推量・意思・可能・当然・命令・勧誘・適当・予定これの派生形が「べらなり」である。
べらなりべらにべらなりべらなるべらなれナリ活用型推量中古に一時的に見られたもので省略する教科書や参考書も多い。
打消

ざら


ざり


ざり


ざる


ざれ


ざれ
ラ変型・四段型・特殊型未然形打消活用にはいくつか説かあるが此処ではあえて可能性のあるもの全てを記した。
打消推量特殊型未然形打消推量・打消意思・不適当助動詞「む」の打消に当たる。
まじまじく
まじから
まじく
まじかり
まじ
まじき
まじかる
まじけれ
ク活用型終止形とラ変型の連体形打消推量・打消意思・打消当然・禁止・不適当・不可能助動詞「まし」の打消に当たる。この助動詞の元の形が「ましじ」であることからも分かる。
希望たしたく
たから
たく
たかり
たし
たき
たかる
たけれ
ク活用型連用形希望口頭語では「たし」、文章では「まほし」が使われる。
まほしまほしく
まほしから
まほしく
まほしかり
まほし
まほしき
まほしかる
まほしけれ
シク活用型未然形
断定なりならなり
なりなるなれなれナリ活用体言と連体形断定・存在・資格現代語の「だ」に当たる。
たりたらたりとたりたるたれたれタリ活用体言断定主に使われたのは中世以降で、文章や和歌でしか使われない。
伝聞なりなりなりなるなれナリ活用終止形とラ変型の連用形伝聞・推定「音(ね)あり」から転じたもの。
比況如(ごと)しごとくごとくごとしごときク活用型連体形比況・同等・例示形容詞に含める場合もある。
ごとくなりごとくならごとくなり
ごとくに
ごとくなりごとくなるごとくなれごとくなれナリ活用連体形と体言比況・同等「ごとし」を形容詞と見る場合にはその補助活用と見られる。
やうなりやうならやうなり
やうに
やうなりやうなるやうなれやうなれナリ活用体言比況・同等・例示・不確かな断定・願望上代ではあくまでも「やう」と「なり」の形として使われていて、助動詞の形になったのは中世と言われている。

上代文法

種類colspan=7|活用形rowspan=2|活用の型rowspan=2|接続rowspan=2|意味rowspan=2|備考
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
受身ゆるゆれ下一段型四段・ナ変・ラ変の未然形受身・尊敬後に助動詞「る」になった。
らゆらえられ四段・ナ変・ラ変以外の未然形後に助動詞「らる」になった。
尊敬四段型四段・サ変の未然形尊敬後に助動詞「す」「さす」に吸収された。
推量ましじましじましじきク活用終止形とラ変型の連体形過去推量・過去意思後に助動詞「まし」になった。
打ち消しなふなはなひなふなへなへ特殊型未然形打ち消し東国方言。後に形容詞無いとの混同で助動詞「ない」になった。

※なお言語とは時代によって変化するものであり時代によって助動詞の表す意味も変わってくる。この表は一時的でも使われていた意味は記し、なるべく備考の欄に使われていた時期などを記した。

関連項目

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