読み込み中...

政令指定都市

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
Wikipedia画像へのリンク(指定都市17市の位置)

政令指定都市(せいれいしていとし)とは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項で「政令で指定する人口五十万以上の市」と規定される市である。「政令市」とも通称され、2007年(平成19年)4月1日現在、全国に17市ある。法令では「指定都市」(同法)や「指定市」(警察法)などと表記される。

この項目では、政令指定都市を単に「指定都市」と表記することがある。また、地方自治法の条項については、法律名「地方自治法」を省略することがある。

概要

指定都市の制度は、日本の大都市等に関する三つの特例制度の一つであり、1956年(昭和31年)に運用が開始された。地方自治法第二編第十二章第一節「大都市に関する特例」に、指定都市に関する、特例を中心とした規定がある。指定都市は“人口五十万以上の市”とされている(第二百五十二条の十九第一項)。特例制度の他の二つは、第二節に規定がある中核市の制度(人口三十万以上、1995年開始)、第三節に規定がある特例市の制度(人口二十万以上、2000年開始)である地方自治法(昭和22年法律第67号), 法令データ提供システム. (総務省)2008年10月15日閲覧. 大都市に関する制度について 【PDF】, 2005年1月17日. (総務省): 総務省第28次地方制度調査会第14回専門小委員会(参照)における総務省配付資料。。→#指定都市の権能#人口要件も参照。

指定都市は、条例で区を設けるものとされている(第二百五十二条の二十第一項)。この区は、東京都の特別区などと区別して、「行政区」と通称される。→#組織も参照。

指定都市の制度は、地方自治法の1956年(昭和31年)の一部改正(昭和31年法律第147号)に含まれる形で、同年9月1日から実施された。同日から、指定都市を指定する政令が施行されて5市が指定都市に移行。以後、この政令の一部改正で新たに市が指定され、その施行日から指定都市に移行している地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の指定に関する政令(昭和31年政令第254号), 法令データ提供システム. (総務省)2008年10月15日閲覧. 指定都市一覧. (総務省)

なお、指定都市の制度により、大都市に関する二つの旧制度が置き換えられた。一つは、五大都市行政監督ニ関スル法律五大都市行政監督ニ関スル法律(大正11年法律第1号)の沿革, 日本法令索引. (国立国会図書館)を根拠とした制度で、対象は京都市、大阪市、横浜市、神戸市、名古屋市であった(この5市は最初の指定都市)。もう一つは、地方自治法を根拠に1947年(昭和22年)以降、法令上、存在していた特別市の制度で、人口五十万以上の市を法律で指定するものだったが、実際には一市も指定されなかった。→#沿革も参照。

指定都市及び行政区の一覧

都道府県width="110px"|指定都市width="80px"|指定日行政区
北海道80px
札幌市
1972年
(昭和47年)
4月1日
中央区北区東区白石区豊平区南区西区厚別区手稲区清田区
(北区に分区構想あり)
東北地方宮城県80px
仙台市
1989年
(平成元年)
4月1日
青葉区宮城野区若林区太白区泉区
(青葉区に分区構想あり)
関東地方埼玉県
千葉県 >|align="center"|
神奈川県
中部地方新潟県
静岡県80px
静岡市
2005年
(平成17年)
4月1日
葵区駿河区清水区
(さらなる分区構想がある)
愛知県 >|align="center"|80px
名古屋市
1956年
(昭和31年)
9月1日
千種区東区北区西区中村区中区昭和区瑞穂区熱田区中川区港区南区守山区緑区名東区天白区
(中川区、港区に分区構想あり)
近畿地方京都府80px
京都市
1956年
(昭和31年)
9月1日
北区上京区左京区中京区東山区下京区南区右京区伏見区山科区西京区
(伏見区は分区構想が数度出ては消えている)
大阪府
兵庫県 >|align="center"|80px
神戸市
1956年
(昭和31年)
9月1日
東灘区灘区兵庫区長田区須磨区垂水区北区中央区西区
(北区に分区構想あり)
中国地方広島県80px
広島市
1980年
(昭和55年)
4月1日
中区東区南区西区安佐南区安佐北区安芸区佐伯区
(かつては安佐北区に分区構想があった)
九州地方福岡県80px
北九州市
1963年
(昭和38年)
4月1日
門司区若松区戸畑区小倉北区小倉南区八幡東区八幡西区
(かつては八幡西区に分区構想があった)
80px
福岡市
1972年
(昭和47年)
4月1日
東区博多区中央区南区西区城南区早良区
(東区に分区構想あり)

指定都市の権能

特例と政令

地方自治法第二編「普通地方公共団体」第十二章「大都市等に関する特例」では、指定都市、中核市特例市それぞれに関する特例制度が規定されている。特例により持ちうる権能は、指定都市が最も広い。三者いずれに関しても、権能の範囲など特例の具体的な定めは、ほぼ政令に委ねられており、対応する規定が地方自治法施行令地方自治法施行令(昭和22年政令第16号), 法令データ提供システム. (総務省)2008年10月15日閲覧. 第二編第八章にある。

事務

指定都市が特例で処理できる事務は、第二百五十二条の十九第一項(後に抜粋)で掲げる19の事務のうち、都道府県が法令に従って処理するとされているものから、政令で定められる(同条同項)なお、この指定都市の特例処理事務から中核市の特例処理事務を限定し、さらに特例市の特例処理事務を限定する仕組みになっている(第二百五十二条の二十二第一項、第二百五十二条の二十六の三第一項)。

また、事務処理への都道府県の関与については、都道府県知事都道府県の委員会
a.処分(許可、認可、承認等)を要すると法令で定めている事項のうちから、政令により、その処分を不要とするか、代わりに各大臣の処分を要するものとする、
b.命令を受けると法令で定めている事項のうちから、政令により、その命令に関する法令の規定を適用外とするか、代わりに各大臣の命令を受けるものとする、

ことになっている(同条第二項)中核市や特例市に関しては、処分についてa.に相当する特例規定は無い。命令についてb.に類似する特例規定はあるが、委員会の命令は対象とならない(第二百五十二条の二十二第二項、第二百五十二条の二十六の三第二項)。

一般の市から移行する場合、指定都市には都道府県が有する権能の8割が、中核市については指定都市の7割、特例市については中核市の3割に相当する権能が移譲されるといわれている第28次地方制度調査会第23回専門小委員会における総務省の説明による。

なお、地方自治法以外の、個別法令(例えば道路法河川法地方教育行政法など)の規定や都道府県の条例によっても権限が移譲されうる。

参考: 地方自治法から抜粋

第二百五十二条の十九の第一項までを抜粋。出典条文リンク: 法令データ提供システム, 総務省. 2008年9月5日現在.

組織

指定都市は、“市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置く”ものとされている(第二百五十二条の二十第一項)。この区は「行政区」と通称される。区の事務所、通称「区役所」の長は、当該指定都市の職員の中から市長が選出する(各市の行政組織によるが、一般的に局長クラスまたは部長クラスの役職)。指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区ごとに区地域協議会を置くことができ、その場合、その区域内に地域自治区が設けられる区には、区地域協議会を設けないことができる(第二百五十二条の二十第六項)。

区役所にどの程度の業務を担わせるかは、指定都市によって幅がある。戸籍、住民基本台帳、租税の賦課、国民健康保険、国民年金、福祉などの日常的・定型的な窓口業務のみを担当させる「小区役所制」(大阪市、名古屋市、京都市など)があれば、保健、土木、建築などの業務を幅広く行う「大区役所制」(川崎市、広島市、仙台市など)もある。

なお、東京都の区は特別区である。区(行政区)が普通地方公共団体たる指定都市の地域区分であるのに対し、都の特別区は独立した法人格を持つ「特別地方公共団体」で、ほぼ一般の市と同じ事務処理権限を有している。また、これ以外に「... 区」と名前が付く地域区分には、地域自治区合併特例区財産区がある。

教育行政

地方教育行政の組織及び運営に関する法律には、指定都市に関する特例が定められている。指定都市の県費負担教職員の任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する事務、並びに研修は、当該指定都市の教育委員会が行う。

指定都市が扱えない事務

指定都市は、基本的に都道府県が行う事務のほとんどを独自に扱えるが、先述のとおり一般的には「8割程度」と評価され、都道府県の影響力が完全に排除されるわけではない。

以下に、都道府県と指定都市の間の役割分担の一例を示す。
  • 県費負担教職員の任免、給与の決定、研修

自ら警察を設置することはない。

ただし指定都市は、都道府県警察を管理する公安委員会の委員を、都道府県知事に推薦できる。指定都市が委員2名を推薦し、これに基づいて都道府県知事が委員を任命する。

また、指定都市の区域には、都道府県警察が「市警察部」を置く。詳細は当該項目を参照。  
事務 都道府県の事務 指定都市の事務
民生行政に関する事務
保健衛生に関する事務
都市計画に関する事務
文教行政に関する事務
農林水産行政に関する事務 農林水産行政に関する授権は特にない。
警察の設置に関する事務

このほか、後期高齢者医療制度においては、都道府県が直接事務に携わるわけではないが、指定都市も他の市町村とともに都道府県単位で広域事務組合を作り、そこで事務を取り扱う。指定都市の区役所は窓口代理業務を行うのみである。

留意すべき問題点

指定都市移行にあたっては、移譲にあたっての行財政上の問題として、概ね次のような留意事項の指摘がなされている。

財政上の問題

移行に起因する事務移譲により、指定都市に新たに発生する財政需要額は、概ね5,600億円程度とされる総務省. "平成19年度地方財政白書"「市町村の規模別財政収支」項において総務省が算定した額による。。これに対し、税制上の措置として指定都市に図られる増収対策の半分以上は、道路の管理に関する予算(道路特定財源の一部を増額交付するもの)指定都市市長会. "指定都市の事務配分の特例に対応した大都市特例税制についての提言" (H17.12.22)の指摘による。で、それ以外の特例事務との純計で、おおむね3,000億円程度、税制上の措置が不十分であるとされる指定都市市長会. "平成20年度大都市行政の実態に即応する財源の確保等に関する要望"「税制措置」項において指定都市側が主張することを根拠とする。。指定都市制度には、都道府県側から指定都市側に対して交付金を交付する制度があるものの、行政上の負担割合の変更に伴い、逆に減収となる項目も存在する。このため、負担事務の増加に見合った増収を十分担保する措置が、必ずしも確保されるわけではない。

こうした経緯から、新規に指定都市へ移行する市の場合、移行と行政改革がセットで語られることがある。とくに平成の大合併期に、スケールメリットを期待した合併を経て誕生した指定都市では、移行に併せて地方債の繰上償還、これまで一般市町村として担当した行政分野での職員定員削減などが行われるたとえば堺市静岡市の例。静岡市. "平成17年度一般会計決算の概要" 、堺市. "平成18年度当初予算の概要" など。

行政上の問題

上述のとおり、指定都市は各分野につき、完全に独立した行政を担当できるまでの事務移譲を受けるわけではなく、農林行政、防災行政については、ほとんど授権がない。一方で、都道府県と指定都市との間では、一部につき共通する行政を担当することから、両者の間での二重規制、二重行政に陥る可能性が指摘されることがある第28次地方制度調査会(総務省)。 "大都市制度のあり方に関する報告" の中で指摘。。法令上、指定都市は、一部の特例措置を除いては、一般の市町村と同列の制度の適用を受けるため、都道府県が市町村の行政を審査する行政不服審査制度に関する事項など、両者の関係について法令上あいまいな部分もある第28次地方制度調査会(総務省)。 "大都市制度のあり方に関する報告" の中で指摘。。新たな法令を制定することを通じ、都道府県に指定都市に対する勧告権を付与し、指定都市内の行政に関する関与権限を弱める案などが提唱される。

沿革

以下に大都市制度の沿革を記す。以下とは別に、首都圏整備法(昭和31年法律第83号)、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)などが大都市圏制度として制定されている(→三大都市圏)。

明治以降

  • 1878年(明治11年)7月22日郡区町村編制法(明治11年太政官布告第17号)を制定。同法第四条により、「人民輻輳ノ地」に法人格を持たないが置かれ、区会(議会)も設置された。また東京、大阪、京都の三都は勅令指定都市に指定された。通常、1都市1区であったが、東京には麹町区以下15区、大阪には東区西区南区北区の4区、京都には上京区下京区の2区と、人口密集地が広い勅令指定都市三都には1都市に複数の区を置いた。
  • 1889年(明治22年)4月1日市制(明治21年法律第1号)を施行。市制中東京市京都市大阪市ニ特例ヲ設クルノ件(明治22年法律第12号、三市特例)も制定され、人口が多い東京市大阪市京都市三市では区が存置された。を代表するのは市会であるが、一般市では市会が3人の市長候補を推薦し、内務大臣天皇に上奏して1人の市長が裁可(市会推薦市長。任期6年)されたのに対し、三市では、市長を置かずにその職務は府知事が行った。
  • 1898年(明治31年)10月1日:市制中東京市京都市大阪市ニ於ケル特例廃止法律(明治31年法律第19号)を施行。三市での反対運動により、三市特例が廃止されて一般市と同じ市制を適用し、市会推薦市長が生まれた。市制中追加法律により、三市では区制が残された。
  • 1908年(明治41年)4月1日:名古屋市に区制施行(4区)。「三市」(三都)以外では初の大都市制度導入例。
  • 1911年(明治44年):市制改正法律を施行。三市の区は法人格を持つこととなった。
  • 1922年(大正11年):六大都市行政監督ニ関スル法律を制定。「三市」に神戸市、名古屋市、横浜市を加えて六大都市とした。六大都市では、府県知事の許可等なしで市の実務実行ができるようになった。
  • 1927年(昭和2年)10月1日:横浜市に区制施行(5区)。
  • 1931年(昭和6年)9月1日:神戸市に区制施行(8区)。
  • 1943年(昭和18年)7月1日東京都制(昭和18年法律第89号)の施行により、東京府東京市が廃止されて東京都が置かれた(以降、東京については特別区参照)。「六大都市」から東京市を除いた5市に「五大都市行政監督特例」を施行し、五大都市(京都市、大阪市、横浜市、神戸市、名古屋市)とした。

戦後

要件

人口要件

指定都市になるための人口要件は、50万人以上である(人口要件を決めた当時、特別区最大だった世田谷区法定人口は40.8万人→参照)。しかし、実際の運用基準として、以下のものが並立して存在するとされる。そのため、以下の3.の根拠となる新旧の市町村合併支援プランが適用されている期間中にも関わらず、2.の基準でさいたま市が指定都市に移行した。 #旧五大都市を基礎にする市 #先行指定都市と同格の人口を擁する市 #(期間限定市町村合併をした自治体に対する運用基準緩和措置

以下に記載する人口は、指定日直近の法定人口地方自治法第二百五十四条“この法律における人口は、官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口による。 ”, 法令データ提供システム. (総務省)2008年10月11日閲覧. (合併市町村を含む国勢調査人口)。なお、比較のため、指定前年に国勢調査がなかった場合に限り、指定前年10月1日の推計人口緑字)も付記する。

旧五大都市

1956年(昭和31年)において、地方自治法上の有資格市(法定人口50万人以上の市)には旧五大都市および福岡市(54.4万人)の計6市が存在した(参照)。しかし、制度創設経緯から、旧五大都市のみが指定都市に移行した。なお、このとき特別区最大の人口を擁したのは大田区で、法定人口56.8万人。

神戸市は、1939年(昭和14年)に既に100万人(神戸市発表)に達していたが、戦争の影響で30万人台にまで落ち込んだ。戦後、周辺自治体と合併したが、1955年(昭和30年)の国勢調査時には100万人を回復していなかった。ただし、指定都市となった翌月の1956年(昭和31年)10月1日に、再び100万人(推計人口)に達した人口及び市域面積の推移(神戸市都市計画総局)

先行指定都市と同格

神戸市を先例として、旧五大都市以外では、「人口100万人以上、または、近い将来人口100万人を超える見込み」が運用基準とみなされた。
  • 1963年(昭和38年)4月1日、北九州市(98.6万人。102.3万人)が指定都市移行。
  • 1972年(昭和47年)4月1日、札幌市(101.0万人。105.2万人)、川崎市(97.3万人。98.3万人)、福岡市(86.2万人。88.5万人)が指定都市移行。
これ以降、福岡市を先例として、「人口100万以上、または、近い将来人口100万人を超える見込みの80万人以上の人口」が運用基準とみなされた堺市指定都市推進協議会政令指定都市の概要(高崎市)
  • 1980年(昭和55年)4月1日に広島市(85.3万人。88.7万人)が指定都市移行。
  • 1989年平成元年)4月1日に仙台市(85.7万人。89.8万人)が指定都市移行。
  • 1992年(平成4年)4月1日に千葉市(82.9万人。83.5万人)が指定都市移行。
  • 2003年(平成15年)4月1日にさいたま市(102.4万人。104.6万人)が指定都市移行。

実際に、千葉市以外は見込み通りに人口100万人以上となった。ただし、北九州市はここ数年100万人を割っている(参照)。

期間限定措置

平成の大合併に際して市町村合併を行った自治体には、期間限定で運用基準の緩和がなされることになった(沿革参照)。すなわち、「近い将来100万人を超える見込み」がない市日本の市区町村別将来推計人口(平成15年12月推計)への指定が可能になった。静岡市を先例として、「70万程度の人口」があれば指定都市になれると言われている政令指定都市の概要(新潟市)
  • 2005年(平成17年)4月1日に静岡市(70.7万人。70.2万人)が指定都市移行。
  • 2006年(平成18年)4月1日に堺市(83.1万人)が指定都市移行。
  • 2007年(平成19年)4月1日に新潟市(81.4万人。81.3万人)、浜松市(80.4万人。80.7万人)が指定都市移行。

なお、以上の4市は、指定都市史上初めて、特別区最大の人口を擁する世田谷区を下回る人口で指定された。

行政能力要件

都市機能や行財政能力については特に法令で規定されていないが、これまで指定都市に指定された都市では主に次のような要件を満たしており、これに遜色ない条件を満たす必要があるとされる。 # 第1次産業就業者比率が10%以下であること # 都市的形態、機能を備えていること # 移譲事務処理能力を備えていること # 行政区の設置、区の事務を処理する体制が整っていること # 指定都市移行に関して県と市の意見が一致していること

手続き要件

指定都市移行の手続きは特に法令で規定されていないが、これまで指定都市に指定された都市では主に次のような手続きを経た上で、指定がなされている。

# 市議会で指定都市に関する意見書を議決 # 知事や県議会に対し、指定都市の実現への要望書を提出 # 県議会で指定都市に関する意見書を議決 # 総務大臣に対し、指定都市の実現への要望書を提出 # 関係省庁との協議 # 指定都市移行の閣議決定 # 政令の公布

指定都市に関連する事項

都道府県と同格

指定都市は権限の移譲等により都道府県の影響力が少なくなることから、実質的に都道府県と同格に扱われ、県の中に県ができると見られることもある。都道府県に準じた権限を手にする事で、自由に様々な事に取り組めるようになる一方、何かあった場合の責任は重くなると言われている。
  • 県を通さずに直接と接触できるようになる。
  • 統一地方選挙において行われる指定都市の市長選挙や議会議員選挙は、都道府県の知事選挙や議会議員選挙と同じ、いわゆる前日程で実施される。
  • 慣例として、指定都市の住所を表記する際は都道府県名を省略することが多い(例:愛知県名古屋市中区栄 → 名古屋市中区栄)。これは慣例というよりは、昭和45年の旧自治省通達により、指定都市および、県名と同じ県庁所在地市以外は、公文書において県名を省略してはならないとされたことの裏返しである。
  • スポーツ大会の場合でも一部で特別扱いされており、全国障害者スポーツ大会全国健康福祉祭(ねんりんピック)では各都道府県の他に指定都市独自でチームを組むことが可能となっている。
  • 市のドメイン名として "city.市名.都道府県名.jp" の代わりに "city.市名.jp" を使えるようになる。ただし、堺市と浜松市については、該当ドメインが他者によって取得済みであったため、"city.市名.jp" を使用できなかった。公共機関については"city.市名.lg.jp"で地方公共団体ドメイン名の代替はあるが、一般地域型ドメイン名"区名.city.市名.jp"は使用できないの公共機関以外は救済されない。
  • 職員採用において、大学卒業程度の採用試験が道府県と同じ日程の6月の第4日曜日(俗に「地方上級」と称される。)に行われる。短大卒業程度・高校卒業程度の採用試験が道府県と同じ日程の9月の第4日曜日(俗に「地方中級」・「地方初級」と称される。)に行われる。また、択一試験の問題は道府県と一部を除き同一のものが使用される。
  • 地方債において、都道府県と同様に市場公募債を発行出来るようになる。ただし、利回りが市場によって決められてしまうため、財政状況や信用力により資金繰りに差が出る。
指定都市の所属道府県に対する人口比率
  • 北海道および札幌市のみ登録人口。それ以外は推計人口
    • 法定人口701,568人、推計人口}}人。相模原市#平成の大合併及び相模原市#政令指定都市移行に向けて参照。
    • 繋がりの深い東京都町田市との合併構想が戦前からあったが、県内の隣接する津久井郡4町と合併した。(2006年(平成18年)3月に津久井町相模湖町、2007年(平成19年)3月に城山町藤野町を編入)。市は2010年(平成22年)の指定都市移行を目指しており、県も支援する方針を表明した。2007年(平成19年)7月26日、「神奈川県・相模原市政令指定都市移行連絡会議」が設置され、指定都市移行に際して県から市に移管される事務についての協議が開始された。
    • また、2007年(平成19年)9月25日に相模原市は市議会9月定例会「政令指定都市に関する特別委員会」で、区役所位置も想定した行政区の区割り検討試案を明らかにした。
    • 法定人口669,541人、推計人口}}人。熊本市#熊本都市圏と合併・政令市問題参照。
    • 県では、特例法期限内に熊本市が人口要件を満たす合併をし終わり、2012年度(平成24年度)に指定都市に移行すると想定して、2007年(平成19年)4月26日には検討会議を設立して移譲事務などを検討している。熊本市側も指定都市移行に備える庁内検討会議を設立した(現在は「政令指定都市推進室」に改組)。
    • 熊本市は、富合町を2008年(平成20年)10月に編入合併して68万人弱となったが、人口要件がまだ満たされていないと考えられるため、さらなる合併に応じる自治体を模索している。2008年(平成20年)1月に城南町との間で任意合併協議会が設置されたのに続き、同年4月21日に植木町とも事実上の任意協議会となる「熊本市・植木町合併問題調査研究会」が設置され、同年5月12日には益城町との任意協議会の初会合が開かれた。これら協議中の3町を含めた人口は76万人を超え、特例法下での人口要件を満たすと考えられるが、これまでの周辺各自治体との合併協議の経緯や合併反対派の動きもあり、必ずしも法定協議会に移行して合併が実現する見込みとなっているわけではない。
人口道府県人口比率統計日
札幌市
仙台市
さいたま市
千葉市0,
横浜市
川崎市
横浜+川崎
新潟市0,
静岡市0,
浜松市0,
静岡+浜松
名古屋市
京都市
大阪市
堺市0,
大阪+堺
神戸市
広島市
北九州市0,
福岡市
北九州+福岡

市警察部

指定都市自体が、独自に警察を設置・運営することはできない。ただ警察本部は、その管轄区域内に指定都市がある場合、指定都市に対応する市警察部を設置する(警察法第五十二条第一項)。市警察部の役割は警察本部によって異なるが、主に指定都市と警察本部の連絡や指定都市に所在する警察署の管理に関する業務を行う。

なお、自治体警察 (旧警察法)を参照のこと。

特別区と指定都市

推計人口で、東京都世田谷区は85万人以上、練馬区は70万人以上の人口を有するものの、現在の法律では、指定都市への移行はに限られるため、これら特別区は指定都市となることができない。因みに、合併特例法下で指定都市となった4市は、いずれも世田谷区より人口が少ない(参照)。

なお、世田谷区議会第2回定例会(2007年6月)において、特別区再編と世田谷区の指定都市移行について代表質問があった際、副区長が「政令市を視野に入れておく必要もある」と答弁している平成19年第2回定例会世田谷区

JR線・特定都区市内駅制度

特定都区市内制度は、国鉄(現在はJR)の運賃制度のひとつである。大都市制度の1つとも見られるが、同制度と指定都市制度との整合性はない。

1969年5月10日、同制度が六大都市に導入された。しかし、当時、既に指定都市となっていた北九州市には適用されなかった。1972年9月1日には、1970年国勢調査人口が50万人以上だった未適用の市にも拡大適用された。ただし、新規適用市には、当時指定都市ではなかった都市(仙台市、広島市)や、指定都市であっても市域全域が適用されない市(川崎市)があった。これ以降、国勢調査人口が50万人以上の市や指定都市が生まれても、同制度は新規に適用されていない。

指定都市を目指している地域

指定都市移行準備作業を進めている市

岡山市は、2009年(平成21年)4月1日に指定都市へ移行することが政令改正の公布で正式決定している相模原市は2010年(平成22年)3月の指定都市移行を目指しており、県と市との間で移譲される事務権限や区割り、議会の議決や総務省との協議などについて具体的段階に入っている。熊本市は2012年(平成24年)の移行を目指した合併協議が進んでいる。
岡山市岡山県
相模原市神奈川県
熊本市熊本県

構想段階の地域

市町村の合併によって、現在以下の地域が指定都市移行を目指している。しかし、市町村合併協議の難航などにより、実現の見通しが立っていない都市が多い。また、実現可能性の高い中核市移行へ切り替え、将来的な目標として指定都市への意向を視野に入れるとしている市も増えている。

※注釈;広域行政圏と、都市圏(都市雇用圏など)は一致しない。
水戸市など(茨城県
水戸市は、水戸都市圏の市町村との合併による「50万都市構想」を持っている。指定都市はさらに将来の展望。
宇都宮市など(栃木県
宇都宮市長は、2006年(平成18年)第1回定例会(第1日目2月28日市議会)での市政運営の基本方針演説において、「政令指定都市も視野に入れ、河内町との合併協議に向けて具体的に意見交換を行ってまいります」と述べた。
なお、河内町および上河内町とは2007年(平成19年)3月31日に合併し、人口は50万人を超えた。宇都宮都市圏の人口は約90万人。
埼玉県埼玉県の市町村合併(埼玉県)
埼玉県庁による市町村合併推進構想の枠組み構想対象市町村の組合わせ(埼玉県)に、指定都市移行を想定した枠組みが見られる。県庁の構想による春日部市草加市越谷市八潮市三郷市吉川市松伏町の枠組みは人口約109万人(実際、越谷市以外と結びつきの希薄な春日部市を除いても85万人を超える)、所沢市飯能市狭山市入間市日高市の枠組みは人口約78万人、川口市蕨市戸田市鳩ヶ谷市の枠組みは人口約72万人となっている。
東葛飾・葛南地域(千葉県)
柏市野田市流山市我孫子市松戸市鎌ケ谷市の6市で構成する「東葛広域行政連絡協議会」では、2006年(平成18年)5月8日に「政令指定都市問題研究会」を設置した政令指定都市問題研究会(柏市)。この6市の人口の合計は約140万人である。一方、この6市のうち松戸市と鎌ケ谷市は2007年(平成19年)4月27日船橋市市川市とともに、将来的な指定都市移行を研究する「東葛飾・葛南地域4市政令指定都市研究会」を設置した東葛飾・葛南地域4市政令指定都市研究会(船橋市)。この4市の人口の合計は約162万人である。なお、1997年(平成9年)には船橋市、鎌ケ谷市、習志野市八千代市の議長経験者の間で、4市の合併で指定都市移行を検討する動きがあった。千葉日報の1面トップに掲載され、旧自治省ホームページにも長く掲載されていたが、結局具体的な動きには至らず頓挫した。この4市の人口の合計は約102万人。
金沢市石川県
平成の大合併と前後して、経済界を中心に合併による指定都市移行を提唱する動きがあった「石川県 県都政令市推進経済人会議」(現在「構想いしかわ経済人会議」)など。しかし、金沢市との合併の筆頭候補に挙げられている野々市町は単独市制施行を目指しているほか、周辺市町の同意が得られない状況にある。なお、金沢市と同じ市外局番076の地域(金沢MAかほく市白山市=2008年(平成20年)3月1日以降=、野々市町、内灘町津幡町川北町)の合計人口は約72万人。また、金沢都市圏と一体性のある小松都市圏(金沢都市圏の項参照)を合わせた人口は約87万人となる。
岐阜市政令指定都市構想(岐阜市)岐阜県
岐阜都市圏の人口は80万人を超えているが、岐阜市で産業廃棄物の不法投棄が発見されたために合併協議が難航し、結局岐阜市と合併したのは1町のみであった。
北勢地域(三重県
四日市市を中心とする三重県北勢地方の人口は80万人を超えている。指定都市構想は将来の展望。
東大阪市大阪府
八尾市や柏原市などとの市町村合併の構想があり、指定都市への移行計画にまでは至っていないが将来の展望である。
姫路市兵庫県
2006年(平成18年)3月27日家島町夢前町香寺町安富町を編入合併、合併後の人口は53万人となった。同市では、指定都市の法定の人口要件である50万人を適用しての指定都市移行を国に要望するとともに、今後も周辺自治体との協議を進めていく方針。姫路都市圏の人口は約74万人。

構想が白紙になった地域

湘南地域(神奈川県
湘南市を参照。平塚市藤沢市茅ヶ崎市寒川町大磯町二宮町の6市町が合併して指定都市を目指す「湘南市構想」がかつて存在したが、2003年(平成15年)5月26日に白紙撤回された。
駿東・伊豆地域(静岡県
静岡県東部 政令指定都市構想を参照。静岡県三都の一角を構成する沼津市を中心とする地域。静岡市と浜松市が指定都市に昇格したため待望論がある。静岡県庁自体が、県内合併再編に積極的。
指定都市化の研究会参加市町は、沼津市三島市御殿場市裾野市伊豆の国市函南町小山町長泉町清水町であるが、合併への意欲について各市町で温度差がある。また、研究会参加市町だけでは現時点で70万人に満たないため、隣接する富士総合庁舎管轄地域、あるいは伊豆半島の全市町を取り込もうという意見も出ていたが、2008年(平成20年)2月8日に白紙撤回し、研究会の解散を発表した。

その他

法令で単に「政令で指定する市」と書かれている場合、各法令により指定基準が異なるため、指定都市(政令指定都市)と必ずしも一致しない。特定の市を「政令で指定する市」として定めている法令には、中小企業支援法国民健康保険法地方税法、国際観光文化都市の整備のための財政上の措置等に関する法律などがある。

また、地域保健法第五条第一項では、都道府県のほか、指定都市、中核市その他の政令で定める市又は特別区が、保健所を設置するものと定めている。これらの保健所を設置する市を保健所政令市という。

脚注

関連項目

外部リンク

以下に示す法令は総務省行政管理局提供の法令データ提供システムにより閲覧できます。
政令指定都市の関連ワード
 読み込み中...

ブログレシピコミュニティお小遣いふくびき壁紙写真

Copyright(C)2008 GMO Media, Inc. All Rights Reserved.