読み込み中...石灰岩(せっかいがん、limestone)は、炭酸カルシウム(CaCO3、方解石または霰石)を主成分とする堆積岩。炭酸カルシウムの比率が高い場合は白色を呈するが、不純物により着色し灰色や茶色や黒色の石灰岩もある。
フズリナ(紡錘虫)、ウミユリ、サンゴ、貝類、石灰藻などの生物の殻(主成分は炭酸カルシウム)が堆積して出来たもの。歴史上、古生代のオルドビス紀頃とペルム紀頃、中生代の白亜紀頃の3回、海生生物起源の石灰岩が大量に生成した。例えば古生代のペルム紀に存在した海域(テティス海)で生成した石灰岩は、現在アルプス山脈・ヒマラヤ山脈・中国・日本の各地で見られる。生物起源の石灰岩には明瞭な化石を含むものも多く、右上の写真は大垣城の石垣にあるフズリナの化石を含んだ石灰岩。また白亜紀の語源となったイギリスのドーバー海峡に見られる白亜(チョーク)も海生微生物起源の石灰岩である。
同様な生物活動は現在も続いており、グレートバリアリーフに代表されるサンゴ礁では今も石灰岩が生成されつつある。
水から炭酸カルシウムそのものが化学的に沈殿したもので、化石は含まれない。特に石灰質を多く含む温泉の沈殿物(石灰華)として生成することが知られている。日本では長野県の白骨温泉など、外国では世界遺産に登録されたトルコのヒエラポリス-パムッカレの見事な石灰棚が有名(一番下の写真参照)。
石灰岩は肉眼では結晶化しているように見えないが、ミクロのレベルでは結晶構造が存在する。現在地上の鉱物中に観られる炭酸カルシウムの結晶構造は六方晶系の方解石型と、斜方晶系のアラゴナイト(霰石)型がある。地上や地下浅くで結晶化させた場合は結晶質石灰岩(大理石)のように方解石型になるが、地下深くの高温高圧下で結晶化した場合はアラゴナイトになり、貝殻など生物活動で結晶化した場合もアラゴナイト型をとることがある。アラゴナイトは地上の雰囲気下では徐々に方解石に変化(転移)するので、一般的な石灰岩は方解石型である。
石灰岩が地下で熱変成作用を受けて炭酸カルシウムが再結晶し、方解石の結晶構造を成長させた岩石を結晶質石灰岩(大理石)と呼ぶ。
石灰岩は堆積・沈殿した元の場所に産出する原地性のものと、一旦出来た岩が運ばれて二次的に堆積した非原地性のものがある。日本の石灰岩産地は大部分が原地性であるが、世界的には非原地性のものも多い。
石灰岩は比較的風化されにくいので、山脈中の高いピークや大きな山となっている場合が多い。ヒマラヤ山脈のエベレストの頂きや、アルプス山脈のアイガー等は石灰岩で出来ている。日本では伊吹山や藤原岳、秩父の武甲山が全山石灰岩である。
石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは雨水に溶解するため、溶食によってドリーネや鍾乳洞を造り、特徴的なカルスト地形を形成する。日本では山口県秋吉台や岡山県西部から広島県東部にまたがる吉備高原、四国西部や北九州地域にカルスト地形が存在する。また風化に強いが溶食され易いことから中国の桂林のような特異な地形を形成する場合がある。
また沖永良部島のような隆起性サンゴ礁と呼ばれる島々では、現在も島周辺で大量の造礁サンゴが石灰岩を生成し、島自体は成長を続けている。これらの島は大部分が石灰岩で出来ている。
これらの山の岩場やカルスト地形の地では石灰岩地に特有の植物が見られる(ヒメフウロなど)ことから、それらを石灰岩植物、あるいは好石灰岩植物、その性質を好石灰岩性などという。動物にも例がある。
石灰岩は石材として一般的に使用されている。古くはエジプトのピラミッドに使われた例がある。石灰岩産地では石垣などにも多用されている。
白色の結晶質石灰岩を大理石と呼び、ヨーロッパではギリシア時代から建物や彫刻に使用されている。日本ではビルの内装等の装飾に使われている岩石を、結晶質石灰岩も石灰岩もひっくるめて「大理石」と呼んでいる。ビルの内装にアンモナイト等の化石が見られることがあるが、細部まで明瞭な化石が残存する場合は材質的には石灰岩であることが多い。また変成を受けた石灰岩の中にも大きな生物の化石痕跡が残る場合もある。
その他、ガラスの原料や白色の顔料の素材としても使われている。
日本には採掘しやすい場所に高品位の石灰岩が大量に存在する。石灰岩は数少ない国内で自給可能な鉱物資源である。しかし大規模な採掘により自然の地形が大きく改変され続けている。例えば右の伊吹山の写真では向かって左側の稜線が採掘によって幾何学的な直線状になっているのが分かる。
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