読み込み中...大雪山(だいせつざん)とは、北海道中央部にそびえる火山群の名称である。一つの山ではないことを明確にするため、「大雪山系」という呼称もしばしば使われる。大雪山系と言われる場合、広義には表大雪、北大雪、東大雪、十勝岳連峰を包含する大雪山国立公園の南北63km、東西59kmと広大な広さとなり、その面積は神奈川県とほぼ同じであるであるが、「大雪山」は本来、現在「表大雪」と呼ばれている、お鉢平を中心としたエリアを指す呼称であり、「大雪山系」がそのように使われることもある。「だいせつ」ではなく「たいせつ」と呼ばれることもある。先住民・アイヌは「ヌタップカウシペnutap-ka-us-pe」もしくは十勝岳連峰と合わせて「オプタテシケop-ta-tes-ke」と呼んでいた。これらのアイヌ語には逐語訳は可能なものの現在のところ、適切な訳がまだ見つかっていない。国指定特別天然記念物(天然保護区域)及び国指定大雪山鳥獣保護区(大規模生息地、面積35,534ha)に指定されている。
狭義の大雪山は、以下の山などから成る石狩川と忠別川の上流部に挟まれた山塊をさす。
大雪山系には、やや南にあるトムラウシ山(2,141m)、忠別岳(1,963m)も含める。この付近には「神遊びの沼」と言われる場所がある。ここでいう「神」とはアイヌ語でキムンカムイ(山の神)、つまりヒグマのことであり、ヒグマが多数出現する場所である。
狭義の大雪山は下で述べる「東大雪」「北大雪」に対し「表大雪」とも呼ばれる。東大雪、北大雪を含めたものが広義の大雪山である。
なお、お鉢平の底部には、「有毒温泉」と呼ばれる温泉が湧いており、温泉とともに、強力な毒性を持つ硫化水素ガスが噴出しているため、立ち入り禁止となっている。お鉢平の北側の稜線から少し下った所、登山道に沿った渓谷の脇にも高温の湯が湧いている。ここは人間も入湯可能で、中岳温泉と呼ばれて最近の秘湯ブームで訪れる人が増えている。
大雪山の名を初めて著した書物は明治32年の「日本名勝地誌」とされる(小泉1918)。この書では「たいせつざん」と振り仮名があった。明治45年発行の「帝國地名辭典」には「たいせつざん」の見出しで掲載されている。国立公園名では「だいせつざん」とされ、大雪山固有の動植物の和名も「ダイセツ」を付けるものがほとんどであり、主なものにダイセツトリカブト、ダイセツタカネヒカゲ、ダイセツオサムシ、ダイセツタカネフキバッタなどの例があげられる。外国の研究者にローマ字で大雪山やこれらの生物を紹介する際、こうした整合性はある程度重視しなければならない。一方で大雪山を「たいせつざん」と呼ぶ例も決して定着していないわけではない。「たいせつざん」は、観光業者が濁音の混ざる「だいせつざん」の荒々しいイメージを避け、清音の柔らかなイメージを強調するために用い始められたとの説もあるが、「大雪山」の名を世に知らしめることになった大正7年の、大雪山の名付け親とも言うべき植物学者小泉秀雄の論文(小泉1918)では読み方にまで言及しておらず、旧制上川中学(現在の北海道旭川東高等学校)の校歌で学校創立(明治36年)以来「大雪山」と歌われていることを、この山域を大雪山と呼ぶべき論拠の一つとしているが(実際の作詞は明治40年)、その歌詞では「たいせつざん」である。現在においても、「大雪山」の名は、どの読み方を以って正式と決めるほどには成熟していない。