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ウイグル人

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

ウイグル人ウイグル語)は、主に中央アジアタリム盆地に居住する民族。人口は1千万人弱。テュルク諸語ウイグル語を話すムスリム(イスラム教徒)で、伝統的にはオアシスに定住して農耕や商業に従事する。ウイグル人の居住地域はウイグル語で東トルキスタン(Shärqiy Turkistan)あるいはウイグルスタン(Uyghuristan)と呼ばれる。

現在は中華人民共和国新疆ウイグル自治区となっており、大多数のウイグル人は中国の少数民族として維吾爾(, )族と呼ばれている。また、カザフスタンやキルギス、ウズベキスタンなどにも少数居住する。これらの大多数は、19世紀後半以降、中国の支配を嫌って移住した人々の子孫である。

古代のモンゴル高原で活動したテュルク系遊牧民の回鶻(ウイグル)と、古代にタリム盆地に居住していたインド・ヨーロッパ語族の言語を話す諸民族を祖先とするとされる。人種的にはモンゴロイドとコーカソイドの混血といえるが、個人差も大きく、見た目は漢族と区別がつきにくい者もいる。

民族名の起源

ウイグル人の祖先たちを含め、東西トルキスタンオアシス都市の住民たちは、固有の民族名称をもたず、異教徒に対してはムスリム、よそものに対してイェルリク(土地の者)という意識を持つにとどまっていた。しかしロシア革命により成立したソビエト政権は、民族政策として「民族別の自治」を掲げ、西トルキスタンでも、遊牧諸集団やオアシス都市の定住民たちに対し「民族的境界区分」が施され、諸民族が「創出」されていった。西トルキスタンには、1881年のロ清イリ条約の締結の際にロシア領に移住したタリム盆地出身者が多数おり、彼らは1921年カザフスタンアルマトイにおいて、古代のウイグルという呼称を復活させ、自らこれを名乗ることを決定した。この呼称は中国統治下の東トルキスタンにも次第に知られるようになり、従来より当局が用いていた「纆回(ぼくかい)」という呼称を「ウイグル」に改めるよう求める運動がおこった。この改名運動は、盛世才政権のもとで受け入れられ、1934年、省府議会が正式にこの呼称を採用、「維吾爾」という漢字表記もこの時に正式に確定し、現在に至っている。

ウイグルとは、団結、連合の意味がある。

歴史

前史

20世紀

第二次「東トルキスタン共和国」の独立運動は、ソ連の後援をうけ、当時の新疆省当局による鎮圧行動を退ける強固な基盤を確立することに成功した。しかし中華人民共和国が成立するとその統治下に入った。しかし、新疆が中国共産党の支配下に置かれることになった経緯や、中国共産党の新疆統治に問題があると考える人々は国内外で独立運動を続けており、中国の抱える民族問題のひとつとなっている。

文化

宗教

ほぼ全員がスンナ派イスラム教を信仰しているが、トルコ系祖先が信じた古代シャーマニズムの儀式の名残が見られる。例えば、現代ウイグル人の民族舞踊の一つ「サマ踊り (Sama Usuli)」はシャーマンの儀式由来するとされ、実際ウイグル南部には呪術師バックシが存在する。

文学

カラハン朝の詩人ユースフ・ハーッス・ハージブの『クタドグ・ビリク』(1069年) 最初のトルコ語文学
  • マフムッド・カッシュガリ(11世紀)
  • アフマット・ユグナキ(13世紀)
  • ユスーフ・サッカキ(14世紀)
  • ルットフィ(15世紀)
  • ヒルキティ(17-18世紀のウイグル古典文学の代表)
  • ゼリリ(同上)
  • ノビティ(同上)

音楽

古典音楽として、「ムカム」(マカム、マカームとも)と呼ばれる楽曲(体系)が伝わっている。同様の伝統音楽は中央アジア・中近東に広く行われるが、ウイグルにおいては代表的なものとして、カシュガルのウイグルが伝えるムカム(12ムカム)などが比較的よく知られている。演奏に使われる楽器は十数種類と豊富であるといわれる。

舞踊

ウイグル人は音楽と踊りが好きなことで有名。次のような踊り(ウスーリ)がある。

セナーム・ウスーリ
最も一般的な自由な踊り。祭りや結婚式、パーティなどでよく踊られる。地方ごとに「カッシュガール・セナーミ」「イリ・セナーミ」「クチャ・セナーミ」等がある。
ドラーン・ウスーリ
楽曲「[ウイグルのムカム音楽|ドラーン・ムカム]](ムカムの一種)」に合わせて踊る古い民間のダンス。ヤルカンド河流域のマキット、マラルベシ、ヤルカンド、アワット等の地域に広まる。
サマ・ウスーリ
シャーマニズム信仰から来た踊りと言われる。主にカシュガル、ヤルカンド方面に普及された踊りで、普通は男性だけで踊る。
シャディヤナ
祭礼や大集会で踊る集団舞踊。
ナズリクム
これも祝賀や集会で人々が踊るものでトルファンのウイグル人の間に伝わる。

遊牧民の弓の文化が残っており、伝統的な弓の復興も図られている。

現在はアーチェリーも盛んで、中華人民共和国の代表選手も輩出している。

関連項目

外部リンク

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