読み込み中...公務員(こうむいん)は、国際機関或いは政府、地方公共機関、特定独立行政法人等の公的機関に勤務し、機関の職務を行う者をいう。
日本国においては、公務員とは、国ないしは地方公共団体の職に現にある者すべてを言い、その者の職の選任方法の如何を問わず、また職が立法、司法、行政のいずれの部門に属しているかも問わない。国際機関の職員は国際公務員といい、政府及び独立行政法人に属する公務員を国家公務員、地方公共団体に属する公務員を地方公務員といい、それぞれ国家公務員法、地方公務員法他、関係法令の定めるところにより職務を遂行する。
戦後の日本は、はじめに公務員の職(または官職)があって、法令で定められた方法により特定の職にあてられた者が公務員の身分を取得するとするアメリカ型の公務員制度を持っている。これに対して戦前の日本や、フランス、ドイツなどのヨーロッパ大陸諸国は、はじめに官吏という身分が存在し、法令に基づいて官吏の身分に任命された者が特定の職に補せられるという違いがある。
ここでは世界主要各国の公務員制度の概観は官僚に譲るものとし、本項では以下は主として日本国における公務員について述べる。
よくある誤解であるが、公務員とはそれ自体、身分であり、職業を意味するものではない。例えば官公庁の職員の場合、その官公庁職員たる地位が職業であり、公務員とはその職業の責務と権限に基づき定められている身分のことである。故に実質的に保護司や消防団員のような、ボランティア的要素を持つ非常勤の公務員も存在している。よって、これらの他の公務員や民間人が非常勤の国家公務員または地方公務員を兼ねたとしても、いわゆる兼職には該当しない。以下、日本国憲法下における公務員について詳述する。
日本国憲法のもとでは、公務員は日本国憲法第15条第2項に基づき、国民全体への奉仕者であって、一部への奉仕者ではないとされている。また、第99条(第10章最高法規)に基づき、「憲法を尊重し擁護する義務」を負う。
なお、日本国憲法第15条第1項では「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定されているが、これは「あらゆる公務員の終局的任免権」が国民にあるという国民主権の原理を表明したものであって、必ずしもすべての公務員を国民が直接に選定し、罷免すべきだとの意味を有するものではない(最判昭24.4.20)とされる。
日本の公務員は、勤務する機関の違いによって次の2つに大別される。
また、国家公務員と地方公務員のそれぞれの職は、主に任用制度上の違いや、職務内容の種別から、次の2種類に分けられる。
自衛官を除けば、就職から定年まで公務員として過ごす職業公務員の大半は一般職であり、単に「公務員」と言う場合は、一般職のみを含意している場合も少なくない。
また、一般職は現在、国家公務員であれば一般職の職員の給与に関する法律(一般職給与法)第6条の規定により、また地方公務員であれば多くの場合、一般職給与法に準じて制定された条例の規定により、職務の種別に応じて体系の異なる俸給表に基づく給与を支給されるが、この俸給表の種別が一般職を細分類する種目としてしばしば用いられる。
俸給表に基づく区分には、主に次のようなものがある。
上で主に述べてきたのは、任期を切らずに雇用された常勤の職員、すなわちいわゆる「正規職員」の場合である。国や地方公共団体の機関に勤務する公務員の中には、正規職員のほかに、雇用条件の違いによって次のような身分の違いが見られる。
国家公務員法、地方公務員法はともに、一般職の職員(一般職に分類される職(国家公務員にあっては官職ともいう)にある公務員のこと)の任用は、公開の競争試験(一般に「公務員試験」と総称されている)に基づいて行うことを原則としている。
日本の公務員制度は職が先にあって人がそれに充当されるという考え方を持っているため、公務員の組織は必ず定員が定められている。そして、特定の職に退職等による欠員が生じたときに、同格の職にある職員を転任させたり、下の格の職にある職員を昇任させたりして補充し、人事異動の玉突きの結果、最終的に欠員となった職に補充すべき人材を募集するために採用試験を行っている。そのため、採用試験に合格した者はいったんは「採用者候補名簿」に登載され、その上で国や地方公共団体の定員補充として採用されることになる。このため、「公務員試験に合格=公務員に内定」ではない。
なお、通常の採用試験では適格者を得がたい場合には、任命権者は、適任者を選考によって採用することも可能である。選考を公開の試験によって行う場合、これを選考採用試験という。
採用後は守秘義務等を厳正に遵守することが求められる代償として、また権力者の意向によって公務員が恣意的に罷免されることがないようにするため、本人の事情により退職する場合のほか、懲戒または分限処分によらず免職されることはない。
公務員は、「安定している」「リストラの対象にならない」「休みもきちんとある」等の理由から、特に不況時には大学生、高校生に人気の職業となる。但し、最近ではバブル崩壊以降、右肩上がりの成長が期待できなくなった今日、税収の落ち込み、多くの自治体が財政危機の状態に陥っており、また国家公務員に至っては天下り規制法、待遇面(福利厚生の削減)の悪化等に加え、給与の伸び悩み(昇給が保障されなくなった)となった現在、国家公務員、地方公務員ともに公務員採用試験の受験者数が年々、減り続けている。国家公務員も地方公務員も民間と同様、中途採用や受験時の年齢制限拡大、撤廃というところも出てきてはいるが、根本的な解決策とはなっていないのが現状である。
現在、多くの地方公務員が世襲または縁故によりその職に就いている。 親類・知人に地方公務員がいない場合、地方公務員に採用されるの非常に難しく、場合によっては多額の賄賂が必要とされる。
この問題に鑑み、人事採用に関しては第三者機関を通じて監査を行うことになった。
一般職の公務員の給与については、「その職務と責任に応じて支給しなければならない」(国家公務員法第62条第1項、地方公務員法第24条第1項)とされている。すなわち、公務員の給与は、公務遂行のために提供する労働に対して、職階制に基づいて分類された職(官職)の区分に応じて支給される反対給付であり、職階制において定められた職級について、給与準則に基づいて支給されるべきものである(国家公務員法第62条〜第66条)とされる。
本来はこの原則を実施するため、職階制に基づいて、公務員の職(官職)は、職務の種類及び複雑と責任の度合いに応じて種別が詳細に分類され、それに基づいて給与準則等が実施されることになっているが、職階制は国家公務員、地方公務員ともに現在施行されていない。
そのかわり、国家公務員の一般職は給与準則が実施されるまでの給与支給の基本法として、「一般職の職員の給与に関する法律(一般職給与法)」が制定されている。なお、検察官は一般職の国家公務員でありながら例外で、「検察官の俸給等に関する法律」に基づいて給与が支給される。
地方公務員の一般職の給与についても、国家公務員の一般職に準ずる原則が認められている(地方公務員法第24条〜第26条、教育公務員特例法第25条の5)。
特別職については、国家公務員法・地方公務員法の適用を受けず、給与に関しては別の定めをもつ。すなわち、国家公務員の特別職については、「特別職の職員の給与に関する法律(特別職給与法)」に基づき支給される。また特別職の中でも国会職員、裁判所職員(裁判官を含む)、防衛省職員(自衛官を含む)等の一般職に近い性質をもつ公務員は特別職給与法とは別の定めによって給与が決められるが、この場合は一般職の俸給表を準用しているものが多い。
地方公務員の特別職も同様で、条例で別の定めをするなどして支給されている。
公務員には、労働基本権に対する制約があることから、その代償措置として国家公務員については人事院、地方公務員については当該地方公共団体の人事委員会が、民間の賃金との均衡を考慮して、人事院は国会・内閣・関係大臣に、人事委員会は地方議会・当該地方公共団体の長に、給与・諸手当等を改定するよう勧告する。この勧告に法的拘束力はないが、改定への影響力は強い。
公務員は、国民(具体的には国民の代表者である政府)に対し、法令や条例の定めにより、次のような義務・権利を有する。
すべて公務員は、憲法第99条に基づき、憲法を尊重し擁護する義務を負う。また、憲法第15条に基づき、「全体の奉仕者」として公共の利益のために勤務するという一般的な義務を負う。
その他、公務員の守るべき具体的な義務として次のようなものがある。いずれも一般職の公務員に関するものであるが、特別職でも個別の定めでこれに準拠した規定がなされていることが多い。
他に、会計に携わる者については、予算執行、物品管理において国に損害を与えた場合には、弁償責任の義務がある(会計法第41条第1項)。
また、公務員は次のような制限がある。
公務員は、職務上の義務の代償あるいは職務の公平性を担保することを目的として、次のような権利が与えられている。裁判所職員等の特別職でも準拠した定めがある点は義務と同様である。
中国では、公務員は人気のある職業となっている。2008年採用試験の倍率は、46倍(定員:1万4000人、申込者:64万人)『国家公務員の採用試験、46倍の難関に―中国』2007年12月11日付配信 Record China。
一方、公務員による公費の浪費や賄賂の横行が指摘されている。公費の浪費については、公費による飲食、海外出張、公用車に係る支出は9000億元(約13兆円)以上になるという北村豊「役人天国・中国 公費浪費の凄さ」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2006年4月28日付配信。規模についての参考として、2005年における中国の財政収入は約3兆1600億元であった。
賄賂については、贈り物や接待に加えて、性の賄賂も行われているという「急繁殖中!「性の賄賂」が「最も気をつけるべき誘惑」、党・政府幹部が回答」recordchina、2008年3月19日付配信。